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四百七十生目 跳躍

「自動展開開始シマス」


 こっそり"鷹目"で見る。

 リュウは脚の支えを外し……

 当て布を外す。


 脚のない部分に当てると。


「ぬおっ!?」


「白き竜!?」


「なんでもないっ」


 ついに機械が作動しだす。

 筒が展開して脚の断面に張り付いた。

 いきなりだしヒンヤリするしで驚いたのだろう。


 金属って意外に冷たいよね。

 そのまま(エフェクト)が伸びると共に金属が生成され組まれていく。

 それはノーツが取り出す武器のように。


 一瞬で脚を覆ったかと思うと服の裏側にフレームが伸びていく。

 反対側の脚にも行ったかもしれない。

 これが自動換装義足……


「お、終わったか?」


「白き竜よ!」


「白き竜、これは……?」


「今この脚部分はキミの全体バランスを見てもっとも稼働サポートしやすいバランスになったよ。まあパワードスーツとかスケルトンとか言われるけれど……魔法的には補助型ゴーレム。靴もつけてみよう」


 脚の部分は筒が展開したら比較的細くなった。

 同時に軽いと思う。

 見た目は少し頼りないが効果は普通の脚より高い。


 医学的見地から体幹バランスまで感が考えられ義足の大変さを全てカバーしてくれる……そうだ。

 当たり前だけど私は義足履いたことないので。


「神経リンクヲ開始シマス」


「な、なんだっ?」


 高い音と共に義足が少しきらめく。


「靴パーツガ設置サレテイマセン。靴パーツヲ近ヅケテクダサイ」


「む……いくつかあるが」


「普段使いのと、運動用、それに式典用だよ。その靴が普段使い」


 靴がもう片方とほぼ変わらない用に作られている。

 外部も靴素材だ。

 ……信じられないくらいこれがいい材質で確保に悩んだのは秘密だ。


 映像解析して割り出せだのは良かったんだけれどね。

 普段の靴は片側の脚がない部分まで覆われるものをリュウが履いていた。

 これで見た目は義足に見えなくなる。


「これをつければ……なるほど」


「靴パーツ認識」


 義足のパーツ同士がカッチリハマり合う。

 細かい音が鳴ると靴同士が一体化したらしい。

 組み込まれるとまた淡く光って。


「ムウ!? なんだ今の感覚は。まるで今のは……」


「誰でも使える義足とはいえ、慣れるまではどうしても違和感が大きいはず。少しずつ慣れる必要があるから」


「白き竜よ、壁になりますから、どうか一度……」


 フカとアサイがリュウの真横へつく。

 リュウはそれを見てからそっと玉座から立った。

 それは支え棒の時より不安定とも言えるほどにゆっくりと。


 2本の脚はこうして並び立つ。

 1歩リュウが前へと脚を踏み入れると。


「ま……まただ」


「どうしました、白き竜よ」


「信じられぬ……まるで錯覚のようで、まだどこか遠いが……足裏の感覚がある」


「「えっ!?」」


「聞いていたとおりに動作している……ぜひ他のも、動作を試してみて!」


 必死に歩きの感覚をつかもうとしているリュウに声をかける。

 擬似的感覚フィードバック…、

 実際には存在しない部分の感覚を再現する機能。


 ただ本人の感覚を掴ませるのが重要ですぐには無理だ。

 やがて足首まで脳からの指令で自由に動かせる……らしい。

 どこまで出来るかは未知数。


 玉座周りを適当にぶらつき今度は運動用に変える。

 運動用は思いっきり靴ではない。

 私の4足時な後ろ足に似ている。


「ム、先程より先程より締め付けが強くなった……?」


「駆けるための足になるから、普段使いだと負担が大きいはず」


「どれ……」


 おそらく軽く足の具合を確かめるためだろう。

 軽く屈んでからはねるように跳ぶ。

 それだけのはずだった。


 義足が唸り声を上げなければ。

 気づけば影ははるか上。

 数メートル跳んでいた。


「「え!?」」


「は?」


 ただのジャンプ。

 故に地面へ落ちる。

 しかもその衝撃や体勢すらきれいに整い脚が吸収する。


「……なんだ……今のは。義足じゃない方も……」


「全身をサポートしているらしいけれど……聞いていた以上だった……」


「なるほど、普段使いには負担が重い、か」


 リュウはしみじみと納得した。

 さらに最後の足。

 こちらは普通だと単なる足の構造に近く色合いがリュウの肌色を思わせる。


「なるほど、どの靴を履いても運用が出来るのか」


「あと、一番軽くて弱いらしいよ。普段使い用は力強く歩けるけれど、これはいまいちらしいからから気を付けて」


「なるほど……これは、足を組めるんだな。なぜ動かせるのか、未だに良くはわからないが……まあ良い」


 リュウからたくさんの神力が水のように空へ舞う。

 みんなには見えていないだろう。

 これは……


「良くよく考えれば、クソザコのあやつらから力を得ていても、もはや余は大差がないな。良いだろう、協力してやる。この力は、もういらん」


「リュウ!」


 神力の流れはどこかへと消えていった!

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