四百六十九生目 撮影
私はリュウの前に出る。
ちなみに"観察"済みなので直視可能。
「中身は、この箱に。開けてもらえればわかります」
「フカ」
「はい。受け取らせていただきます」
フカが前に出て私の手から大きな箱を受け取る。
フカは箱を持って下がり机の上に置いた。
普段は机なんて無いがこのために用意したらしい。
「大きいですねー、琴とかなら良いなあ」
「それで喜ぶのはオマエだろう……」
「ふむ……仕掛けは無さそうですね。開けます」
アサイが演技力ですっとぼけしている間にフカが検査したらしい。
能力を使ったのだろう。
手早く封をとく。
中はたくさんの緩衝材と……
「ん、なんなんだこれは、棒……? いや筒か?」
フカは箱の中から金属の筒らしきものを取り出し……
さらに埋まっているものにも気づく。
そちらを取れば靴。
靴の種類は3つあった。
「これはもしや、義足というやつか? こんなに金属なものは初めて見た気がするが……」
「ほう、義足?」
リュウがちらりとアサイを見る。
アサイは平然とした顔で立っていた。
うーん入れ知恵なのがバレているな!
「白き竜よ。詳しい仕組みはまったくわかりませんが、とりあえず妙な殺意あるものは感じられません。そもそも義足なのかすらよくわからないのですが……アサイ、どうだ?
白き竜にお見せし耐えうるものか?」
「少々お待ちを」
今度はアサイが表に出てきて義足を見る。
そのときふと目があった。
……ウインクしている……
「ええ、白き竜は金銀のような大衆向けの色合いにも深い理解がございますが、繊細にしつこいくらい丹念な磨きを、触るだけでわかる上質な素材で作り上げたものも好まれますから」
アサイが太鼓判を押すことでリュウが頷く。
アサイとフカは筒と靴をそれぞれ持って王の前に跪き手を高く上げた。
「これ、どう使うのかは我々にはさっぱりですが……」
「白き竜よ、ぜひこちらを我々民からの贈り物とさせてください」
「ああ、ただ余もそこまで細かくはわからないのだが……」
そもそも義足づくりは細かい打ち合わせと型取りと何回もの修正にて行われる。
そんなことリュウに絶対させられないので……
あの義足は秘策がある。
まずノーツが靴のサイズ含む大方の長さは測っていた。
本当にわからなかったのはちゃんと脱いださいの付け根位置やそのサイズそしてどんな感じになっているのかという点。
それに関しては結局複雑な形までは断定が不可能。
ゆえに錬金術や科学そして魔法が合わさったこの義足がちゃんと動いてくれれば……
というかノーツのすごさがちゃんと再現できさえすれば。
あれは動くはず。
「オレも詳しいことはしらんが、そもそも誰にでも使えるように仕立てた物らしいぞ」
「まず、使用者はエネルギーを込めてください」
「なるほど、そら」
光に包まれ義足たちが浮く。
フカとアサイがそそくさとリュウの横に帰ると義足パーツたちがリュウの目の前へ。
あれは……念力かな。
「む、うお!?」
念力に反応し義足の筒側の一部が機械的に開く。
のぞき込むのはレンズ。
「暗器!?」
「フカさん、義足を持って正面と横をその開いた部分を向けてください。撮影されるので」
「写し絵……? ナゼここでそんな機能が」
「姿をこの義足に取り込みます。撮影は自動で行われるので上手くおさめてくだされば大丈夫です」
フカたちに説明するやいなや手早く撮ってくれた。
リュウは不機嫌そうだが顔は機械の写真評価に関係ないので問題ない。
「ツギハ、足ヲ撮影シマス」
「喋ったあ!?」
「安易なメッセージは伝えられるようになっています」
「足……ないほうのだな。良い、それは余がやる。というより見るな、ほら、向こうむけ」
「「は、はい!」」
アサイやフカも外を見て私やキサラギも仕方なく外を見る。
義足が空を浮いたのは見た。
「ハァ、外して……こうか? ムムゥ、ナゼこのような……おっとと、ここもか、ここもか?」
「モウスコシ、背中側カラノ撮影モシマス」
「こっちか、ほらもういいだろう?」
「撮影データ検証中…………完了シマシタ」
なんとか終わったようなので向き終わる。
ちゃんと脚の支え部分ははめ直したようだ。
「で、今度はどうすれば……」
「診断、完了シマシタ。自動的二展開シマス」
「あ、ちゃんと前のは外して。後はその子が勝手にやってくれるんで」
「何? ほら、もっかい向こうへ向け!」
私の指摘にまた向こうへ向く羽目に。
そりゃ義足だからね……
ちゃんとハマるところ見たかったんだけれど。




