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四百五十七生目 救援

「何?」


 リュウの頭上から紅蓮の槍が強烈な炎を纏いまっすぐ落ちてくる!


「まずい!」

「待って!」

「白き竜!」


 私やドラーグそれにフカが気づき三者三様の動きをする。

 フカは白き竜にタックルするようにかぶさって行き……


「っ……! ……え?」


「危なかった……なんて槍の力」


 私とドラーグがそれぞれの力で止めて……

 そこにもうひとり影がいた。

 それは一見するとひとりの女性。

 

 しかしその服の腰から長く続く尾は銀鱗。

 分神だがその力はこの中でも高く。

 というよりほとんど槍はこの竜が差し伸べる腕から放たれた力で静止され鎮火された。


 槍は空を舞って転がる。

 凄まじい力がぶつかり合ったせいが何か軋むような音がしていたけれど大丈夫だったのだろうか。


「フカ、周りが見えん。ありがたいが、別に余はお前が焼き刺されるのを見たいわけではないぞ」


「す、すみません! あれ? 白き竜に触れても大丈夫……?」


「今は少し特殊でな。ただ、ずっとではない。気をつけたほうが良い」


「は、ハッ! 馴れ馴れしく接近して申し訳ありませんでした!」


「ああ、いいなあフカ、わたしも触りに行きたかった……」


 私が"観察"で看破したから見たり触ったりしても平気ということなのだろうか。

 ただそれは私が観測している範囲内でだけだ。

 私の観測から逃れた場合また元に戻るだろう。


 そして今槍を止めたのは。


「祖銀さん……どうしてここへ!?」


「ふう、やっと見え……な!? 何故ここに!? (すず)蜥蜴!!」


 リュウが祖銀を見て驚きの声を上げる。

 やはり神力である程度わかるらしい。

 こちらや祖銀にせわしくなく視線を向けている。


「どうやら、少し面倒な事態に巻き込まれているようでしたので、ワタクシが来ました。【手紙】の件、受け取りました。知らせてくださり、ありがとうございます」


「は、はい……?」


 確かに興味本位で聞きはしたがなんで祖銀さんがここへ?


「その……白き竜よ、助けてくださったあの方は……?」


「騙されるな! あやつは錫蜥蜴、つまるところの銀竜だ! なぜ、どうやって余の居場所を割り出した!」


「「ええっ!?」」 

「銀竜!?」

「このご婦人が!?」


「おや、嬉しいですね。ちゃんと婦人に見えていましたか。人に接する時、人に見えなければどうしても恐れられすぎてしまうので、長年見栄えの調整しているんですよ。さて……貴方が白き竜ですね」


 みんな私の方を見て祖銀を見ているが私も否定する。

 私だって何がなんだかわからないよ!?


「……いかにも、余が白き竜。錫蜥蜴、何をしにきた。今、余たちは大事な話を――」


 その時あまりに複雑な魔法陣が銀竜の前に展開される。

 見た目はシンプルだ。

 ただの読み取り防止フェイクだけど。


 実際は神力をベースにしたとんでもない機構をした私でも理解しきれない魔法陣。

 ソレをリュウへと投げつける。

 ――リュウの動きが止まった。


「え? 何を……?」


「人がベースを開発していた、時止めの魔法陣です。すごい効果ですね、小神を完全に固めましたよ」


「ひっ!? か、神の力……!」


 フカやアサイが恐怖に身を震わせながら白き竜の前に立ちふさがる。

 しかし興味がないようで祖銀はそちらの方を見なかった。


「あまり長い間止められないから、今のうちに詳しい話をしましょう。結局、彼は死んでも生きても困るような立場にいる神、という考えであっていますか?」


「え?」


「あー、うん、まあ……そうなるのか? なんなんだこの状況……」


「キサラギさん、私もついていけてません」


「まあ、こういうタイプの神は昔ならよくいたのですが、中々地上に残っているのは珍しいですね。どういたしましょうか? おそらく死と生の狭間に落とし込んで死ぬことも生きることもできず、ただ力を絞るだけの存在に出来なくもないのですが」


 祖銀はさも当然のように言ったがこの場にいる全員がドン引きしていた。

 ただ祖銀がまた違うのはこの空気をしっかり感じ取れるということ。

 祖銀は咳払いをひとつ。


「……出来るというだけで、別に推奨はしていませんよ」


「そもそも、力自体が割と問題なんです。搾り取ればとか止めればとかなればいいものではなくて……」


「白き竜……早く起きてください……こいつ異常者です……!」


「どうやら、私が推測できる範囲以上に厄介な事になっているようですね。お聞かせください」


「ええ。あと、してほしいことは――」


 祖銀に全員で話をする。

 なんとか矛をおさめてもらえたが……

 ここからが問題だ。


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