四百五十四生目 態度
白き竜と対面する。
そうだずっと気になっていたことがある。
白き竜の『完璧』さについてだ。
しかし完璧であればあるほど白き竜という名前が浮く。
何せどう考えても人の形をした神だ。
蒼竜パターンとはまた違う。
やってみるか。
"観察"!
[白き竜Lv.100 比較:計り知れなく畏れ多い 危険行動:水流の津波]
[白き竜 表の神話から追放されし真なる神にして唯一たる存在。それは世を統べる者にして裏から浄化を奏でるもの。白き竜は完全たる6番目の竜であり、王を見定め導き権威を与える、真なる神であられる]
うわ。
色々言われたり調べたりここまでの経緯でわかるけど"観察"結果がバカだ!
つまり偽装。
偽装ができる者は今までも何名かあってきているがこのパターンは初めてかもしれない。
隠すと騙すって近いようで結構差異があるんだよね。
「白き竜……だったか、完璧なる少年よ。ここで起こった一部始終は、今全て共有させてもらった。どうやら親父が世話になったらしいな」
「……は? おい、まさか……」
「後から、お知らせしましたよ。あと騙す気はなかったんですが……」
ドラーグ1%の姿が影のように姿を変えてドラーグ10%の姿にすいこまれる。
ドラーグ10%はお面を外してその姿を白日の下に晒す。
いつも見慣れた黒き竜の顔だ。
「竜……魔物だったのか!」
「いったた……結構痛いですよこれ!」
白き竜が念力を込めてしれっと脚を回収し亜空間かどこかに入れたのを見た。
キサラギが驚きに赤黒い目を丸める。
ドラーグは右脚を浮かせ痛そうに振っている。
痺れるように引きつった動きも見せているからダメージがあるのは間違いないだろう。
今度こそ……神力での"観察"!
[リュウLv.33 比較:少し強い(特殊点あり) 危険行動:偽竜・水]
[リュウ 人の身に宿った、竜を自称する顔の無い神たちの1柱。偽装の心理誘導をまとい完璧だと思い込ませる。人の姿形を深く理解しているものほど、破綻しやすい。人に権威を与え、自身を保護させる]
顔のない神……スイセンと同じ言葉が使われている!
あのときはてっきりスイセンの顔が花に覆われているから顔がないだと思ったのだが……
どうやら5大竜みたいな枠組みだったらしい。
詳しいことはしらないがとりあえずニセモノの竜だとはわかった。
ちなみにホワイト・ドラゴン的な表記だったのが龍っちゃん的な表記になったのでだいぶ名前の差異が大きい。
「何っ!? ウグッ!?」
白き竜……じゃなかったリュウは突如全身にヒビが入ったかのようなうめきをあげる。
実際パリンという音と共に見えていたはずなのに見えていなかったリュウの姿が見えだした。
「むっ!?」
「ん?」
「気持ち悪く……ならない!」
まず全身。完璧じゃない。
それはそうだ。
そもそも見ただけで完璧だと思う存在なんてそうそういない。
両腕と左脚がないのは先程の通り。
さっきここを見て気持ち悪くなったりひとによっては倒れそうだったのは多分人の考える完璧と差があるから。
人が考える人の姿に置いて四肢の欠損は障害と表記される。
ドラーグやノーツがイマイチな反応だったのは自分の中に刷り込まれた人という概念が育ってないからだ。
蜘蛛が6本足か8本足か。
目は2個か6個か1万個か。
そこまで複雑に認識をしていないのだ。
しっぽは割とそのままだが王冠に見えた部分はよく見えると角の一種だろう。
装飾はされて逆さの王冠らしきものが入れてあるが1本角だ。
「私が本当の姿を見破ったら、みんなにも影響が……」
「無礼な! 白き竜は白き竜! そこに違いはない!」
「ふ、フカ、暴れないで……思ったより、拘束がきつくて……」
「まさか、このような辱めを受けるとは……」
アサイが針金みたいなのでフカの拘束具を解こうとしているけどスキルがあっても難しい気がする。
そういう相手を捕らえるためのものだから……
リュウは静かに怒りを募らす。
「そうだった! 白き竜よ、ワタクシの名前はアール・グレイ。先程は早とちりからの失言、大変申し訳ありませんでした」
「ムウ、このような正体も掴めぬ輩に謝るなど……」
「あ、そのことについて僕もごめんなさい! まさか神様だとはまったく思わなくて……」
「ムウ……」
ラーガ王子は納得言っていないようだがふたりは素早く謝る。
ただそれは構えをといたわけじゃない。
「謝罪の言葉など要らぬわ。余が辱められ、ついでに先程殴られたのも事実。しかと認識を改め、その後余に対する姿勢を持ってして改めて不問とする。余は寛大だからな……それで、正直余はそれどころではないほどこの集団に疑問を感じているが、説明はあるのか?」
めちゃくちゃわかりにくい。
わかりにくいけど明らかに態度が違う……!




