四百五十一生目 自滅
ドラーグと白き竜の間にある場に炎の壁がしかれる。
これで1ターンの間攻撃を互いにできなくなった。
「だが、それでカードは全消費しきったぞ」
「もちろんまだ終わりません。ホエハリ以外の4体を、繋がる道筋に。特殊召喚です。召喚条件は炎を含む魔物4体!」
『来ました! 魔物4体での特殊召喚! あ、使われたカードはこの場合山札に戻ります』
「炎を纏う魔人です! 炎の魔人は特殊召喚に成功した際、一切のバトル行動を放棄することで、炎、火と名のつくカードを、特殊召喚した魔物の数分山札から手札に加えます。その数は4枚!」
「うぐ、インチキ効果め……!」
『さっきあなたも割と似たような事してたじゃないですかー!』
『なお、一切の戦闘行為とは、攻撃を受けた際も無抵抗で破壊されることを示す。かなり危険な行為ではあるため、見返りが大きい』
中央にある本がルールを読み取って勝手にドラーグの山札から4枚カードを出しそのあとシャッフルしている。
炎とか火とかついているやつらが集まったようだ。
「ここで、火の精霊ボワンを呼び出します。消費AP1です」
「精霊のカード! 余の国が……」
「そうです。フィールドの精霊の国効果発動。通常召喚したら同程度か以下の魔物を手札からコストなしで呼び出せます。火消しの妖精ジン!」
「炎属性ですらないではないか!」
「火消し、で入ってますからね火!」
『カードの文字指定というのはこういうことがありますからね。めちゃくちゃ怖いんですよ』
『フレイム、ファイアなども検索範囲内の模様』
ズルかはともかくジャッジメントブックはそういう裁定をくだした。
ならば通るというものだ。
キュートな火のぽよぽよした固まりにとってつけたような顔が描かれているものと……
竜巻を身にまとったようなキュートな妖精が並び立つ。
「ここで、場に風属性がいることで火の精霊に効果が発動! 酸素をたっぷり取り込んで、より強くなります。トランス! 剛腕の炎精ボガワン!」
「火を消せてないではないか!」
「そういうときもありますよ」
山札からトランスするボガワンのカードが飛ぶ。
ボワンの光が変化してボガワンとなった。
「そして、ボガワンとジンで特殊召喚! 召喚条件は炎を属性を含む魔物2体、溶岩の中から這い出る者らヘルリザードです!」
「炎蜥蜴……」
『ヘルリザードは地味に炎という単語をカード内には含んでいません』
『ヘルリザードが1番大きいのは、特殊能力』
「ヘルリザードの特殊能力! 場に炎魔物がいる場合、炎魔物の数だけストックします。炎魔物の数は1体、ストックは1。このまま発動させます。炎の岩球を吐き出して、山なりに放ちます!」
「バトルではない、ということか!」
『もっとたくさん用意できればよかったんですが、それは仕方ないですねー』
『バトルではない攻撃、炎の壁を越える。ヘルリザードの攻撃力は3。そして、敵は反撃不可のため、防御値のみ測定』
「攻撃力は跳ね上がっているけれど、防御力は3のロウエンを狙います。発射っ!」
ヘルリザードから溶岩状の岩が射出される。
グツグツで熱そうだ。
「グッ、やらせるか! 罠カードオープン! 聖母の慈愛! 魔物がやられそうなとき、このカードと手札から2枚捨てることにより、ダメージをなくす!」
『またカードを捨てましたね!』
『効能は大きい。ロウエンは無傷』
飛んでいた火炎球が途中で防がれる。
光の盾が代わりに受けたようだ。
「いいですね。こちらはカードを1枚伏せて、ターンエンドです」
「なに……? 中途半端な所で終えたな……」
もはや戦いが難しすぎてカードやSPを使い切らなかったら疑われる世界になってきている……
私にはついていけない。
『その、これそろそろ終わるか?』
『こちらからでは終了時間を測りかねますね』
『現実では思ったより時間は進行していないことだけはお伝えしておきます』
ラーガ王子も落ち込みタイムが終わって当然の疑問をぶつけてきた。
まあ時間差から考えるにそろそろなのは間違いないんだけれど。
「このターンはバトルができないか……次のターンで炙り倒すために、余はドローする!」
そこからはまた凄まじい回転が始まった。
説明するまでもなくガンガンスダンエリアにカードが増えて行き。
エース魔物の火鳥神をスタンエリアから呼び戻し周りも強化するのにデッキをかなり浪費。
多分あんまり運が良くない回り方したのだろう。
すでに山札には数える程度しか残っていない。
「――最後に効果を発揮させターンエンドだ」
『まともな攻撃も出来ず、ターンを終える! 戦力は盤石でも資源が枯渇している!』
最悪自滅まで見えてきた。




