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四百五十生目 燃費

 白き竜は体勢を整えた。


『バトルだ! バトルはアイアンゴーレムの装備効果により、対象はアイアンゴーレムのみになる。バトル時、ロウエンの特殊効果発動! 死者の慟哭、これはバトル時ロウエンが破壊されても、ロウエンは手札に戻る! まずはロウエンの攻撃!」


『何か対策があり、消えても良いようにしてますね!』


『ロウエンの現在攻撃力は7。アイアンゴーレムの攻撃力は2、防御力は5。よって破壊』


「うわっ!」


 ロウエンの振るう刃によりアイアンゴーレムが派手に散る。

 さらにオーバーしたダメージ分の2がドラーグに加わる。

 ドラーグの近くにSPと表示された札が出て20が減って18と書かれる。


『何か出たが、あれが……』


『ソウルポイント、つまりSP! 残りの体力です!』


『気を付けなければ、この破壊された余波という仕様により一気に削られる。直接攻撃は基本、魔物が場にいないときにのみ行われる』


『全員が素直に殴られれば計算上、ドラーグさんは負けてしまいます!』


「ここで火神鳥の特殊能力でバトル! 火神鳥の攻撃力より2小さい防御力または攻撃力を持つものを全て焼く! 火神鳥現在の攻撃力は10! 8以下……つまり貴様の持つ魔物全員灰燼に化す! ファイアーストーム!」


 火の鳥みたいな魔物が大きく羽ばたくと炎の竜巻が生まれる。

 ドラーグのほうへと竜巻が迫る!


「そんなこと……!」


「さあ、焼き焦がしてやろう! 貴様の親が得意なように! その身に屈辱を刻め!」


「そんなこと……してくれるって信じていました! 伏せカードオープン! サイレンスウォー! もしこちらの魔物が全滅する攻撃を受けたさい、相手のバトル全てを強制終了させる!」


「何!? カードは……くっ、対策カードはない!」


『良いですねー! あの感じを見るに、もし反撃破壊系の罠だったら、逆に壊されていました!』


『そのためにロウエンで警戒していた。ここまでピンポイントな伏せは、なかなか刺さらない』


「読んでいたというのか、余のカードを……!」


「いえ……偶然です」


 テレテレとドラーグはしているがおそらくあれは本当に完全な偶然。

 ドラーグの動きって基本的にカードに限らずハチャメチャがおおい。

 その行動全てが何かに刺さる。

 それが激運だ。


「チィッ、こっちは……」


「いえ、まだこちらの行動は終わっていません。ホエハリの特殊効果! もし何らかの方法で攻撃対象になった時に無効化した場合、相手魔物に同等の攻撃力を与えます! 火鳥神の攻撃力10を火鳥神自身へ!」


「何っ!?」


 火鳥神の竜巻が消されホエハリが突っ込む。

 ホエハリの背についた針が火鳥神に当たり……砕けた!

 現実だとありえないジャイアントキリングだ。


『火鳥神の防御力は4、よって6のダメージが白き竜へ行った! 手痛いダメージ!』


「バカなっ!」


 白き竜が『完璧』に堪えているがしっかり6のダメージが入りSPがのこり14となった。

 さらにバトル自体が終わってしまう。


「くっ……カードを2枚伏せターンエンドだ」


 まさかの初心者ドラーグがずっとカードを擦ってそうな白き竜に食らいついた!

 わざわざ思わなかったけれど白き竜が集め組んでいる時点である程度はカードからバレてしまう。

 つまりこの時点でかなり想定より上だということ。


「さあ、こちらのターンです」


「フフ、しかしどうする気だ? そちらの手札は引いて1、APは5回復して6……逆転の一手には遠いぞ?」


「それがわかるのは、これからです。ドロー!」


 ドラーグが引いたカードは……


「来た! 魔物カード召喚! 3APで、うち焦がす炎の樹を召喚!」


「む……攻撃力0の魔物か!」


『攻撃力0? なぜここで弱い魔物を出すんだ』


『お、キサラギさん良い質問ですね! このカードはもうこれしかないタイミングで引いて出したんです!』


『2ターン目先行ドラーグ』


「この魔物の特殊能力です。通常召喚したターン、炎の壁を築きます。この壁は1ターンの間消えることはなく、互いにバトルが不可能になります」


「そうだ……! 厄介なカードを、あの短時間で良くも見つけたな……!」


『時間稼ぎカード……! しかしそこまで状況が好転するとは思えないが』


『まあ、これ単独ならそうですね。ただ、相手のデッキにはひどい刺さり方をしましたよ今』


『後攻白き竜のデッキは、大量にカードを浪費して魔物を整える。よって、破壊されたエース魔物も大量のカードを使い戻すと予測。ただ、このゲームは敗北条件に山札の消失があり』


 つまるところ攻撃できないターンがかさむと勝手にガス欠を起こす可能性が高いのだろう。

 私が燃費のいい戦いをするのと真逆だ。


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