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四百四十生目 飲込

 爆発的に増す神力と威圧はドラーグだけではなく近くの女性たちすら飲み込む。

 これまずくない?

 白き竜の尾が床を叩く。


「ううっ」


「こいつ、的確に白き竜の御方の逆鱗に触れるとか、バカか天才かどっち!?」


「白き竜よ! どうぞお怒りを鎮めてください! 我々すら息が……!」


 ドラーグもふたりとも苦しそうにしている……

 神としてぶっちゃけ結構な実力派かもしれない。

 まさか奥に匿われている男の子イコール神とは思わなかったけれど。


 王様の背後に控えていたのまではわかったけれどそんなニンゲンっぽいやつだとは思っていなかった。

 自称白き竜だけれど。

 ドラーグの激運は本人の望みに拘らず1番の当たりを引き当ててしまう……か。


 こういうときもまさしくそのままで困るなあ!


『ドラーグ! 脱出できる!?』


『も、もうちょっと、もうちょっと粘らせてください!』


「ご、ごめんなさい、こんなに怒るとは……! 僕は一応、その男の子を助けるために来た身で……!」


巫山戯(ふざけ)るな! 慰め物の身として(あわれ)みをかけに来ただと! しかも、朱トカゲの仔が……! 舐めた口を利くな! 余は尊厳を凌辱され、赦すほどの阿呆ではない!!」


「「わああっ!?」」


 それは爆発だった。

 白き竜の身体から強い爆発が発せられたように見える。

 ドラーグや女性たちは爆発に巻き込まれ視界や意識が二転三転とする。


『ドラーグ!』


『いてて……でもそんなに威力は……あわわわわ!?』


 視界が戻った。

 と思ったら何故か濁流が溢れかえってきていた。

 周囲から落ちていく元からあった水すらも勢いを増し濁流として何もかもを水圧にかけていく。


 ドラーグは慌てて空へと駆けていく。


「お前は、外の国から来た来賓のひとりか!? 全員か! 全員だな! 余を侮蔑しおってからに!」


 それはどこからか響く声。

 声だけ聞けば子供が地団駄を踏んでいるようにも思えたかもしれない。

 実際にはその地団駄で辺り一面凄まじい水流が発生したのだが。


 そうして他の王宮にも水が流れ込み……

 時は現在に戻る。







 濁流自体に攻撃性は一切ない。

 しかし生き物は濁流に飲まれれば多くの要因を受け窒息して死ぬ。

 外に出たのにどんどん嵩が増す水を見て四の五の言ってられなくなった。


「ノーーーツッ!!」


「生命救助システム起動、生命救助のために一時的な倫理常識的行動の無視。飛行」


 ――それは空からやってくる。

 鋼鉄の塊が空を飛ぶなんて非常識。

 だれがそんなことを言ったのか。


 今空を飛ぶものは何か。

 

 鳥か。

 竜か。

 飛空艇か。


 それらはみんな違う。

 なぜならば……


「今度は空からゴーレムが降ってくるー!?」


 誰かが見つけて叫べば現場は上や下に大パニック。

 しかしいざドカンと落ちればその衝撃で静まり返った。

 ……銃がうなりを上げだす。


「全員、防御姿勢でワタシの後ろまで速度を上げて退避」


「な、何をする気だゴーレム! ゴーレム……?」


「ラーガ王子、味方だから素直に下がって!」


 ラーガ王子が槍を持って威嚇していたところを下げさせる。

 急いで引くと王宮の屋根や柱に向かって爆発する銃弾やミサイルが次々打ち込まれた。

 生き物では狙ってやりにくい効率的な破壊を1つ1つ正確に撃ち抜いていく。


 すると天井や柱が崩れて瓦礫の向こう側に水が埋もれていく。


「製作者」


「うん!」


 私はそこに土魔法"ストーンウォール"で石壁を生み出し……


[アースウォール 岩盤の壁を生み出す]


 地魔法を使って片っ端から塞いでいく。


「王宮がー!?」


「どうせこれだけ濁流だらけなら全面改築が必要ですよ王子!」


「フレイ王女も運び出せました!」


「遅れを取るな! 何でもいいから道を塞げ!」


「逃げ遅れはいるか?」


「あの場にいた者は全員外に! メイドやボーイも続々と外に逃げています!」


 中の逃げ後れは一応あらゆる手を使って探っているもののいない。

 ガンガンと濁流の進行速度を抑えていく。

 それだけじゃあだめだ。


「はあっ! おい、こっちに道を作った。大河方面に水流を逃せないか!?」


「わかりました!」


 ラーガ王子が朱雀の槍を投げ炎の鳥が地面を剥ぎ庭の低木を食い破って外に突き抜ける。


「手伝わせてくださいー!」


「王子! もう拘束といて良いですよね!」


「もう例の王もここにいない、早く手を増やせ!」


「ウグッ……わかった! オレの責で解いてやれ!」


 アール・グレイにドラーグそしてローズクオーツ。

 全員の拘束がラーガ王子の指示で騎士により解かれる。

 一斉に動き出した。


 錬金をして強固な壁を作り……

 たくさんの土嚢を積み上げ……

 とまどう人々に次々指示を出した。

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