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四百三十一生目 刺抜

 辺り一面聖魔力で満たされ空間を"リザレクト"使用可能準備段階へと落とし込めた。

 あの場所に運んだり書き込みまくったりする作業工程すっとばせるのほんと助かる。

 ざわつきがひどくなってきた気はするが気にしない。


 なんとか私はやりきらなくちゃならないのだから。

 急いで術式展開していく。

 この本の中身はもちろんそちらも補助してくれる。


 魔法陣が次々多重に広がっていく。

 この部屋を仮想的に変えたのはお菓子の家魔法をいじったものだ。

 ちゃんと研究と研究は繋いでいる。


 数分で展開をしきるだろうけれど私はその間"リザレクト"に集中しないと。

 魔力を送り込み魔法を練って形を成す。

 特に"リザレクト"はその部分が繊細だ。


 周囲で捜索したり死体を慎重に検死しているのを見つつも大事なのは本と剣ゼロエネミー。

 私の石だけではブーストが足りないから剣ゼロエネミーを介してより早くより強くしなくてはならない。

 余裕はあると思うけれど余裕にあぐらをかくほどはない。


 そのまま続行させていく。

 王女は私達の念話を盗聴しようとしていたからあまり良いイメージはないが同じく暗殺されるような経緯はあったらしい。

 周囲から声がポロポロと聴こえてくる。


 話を統合していくと彼女は好かれると同時に嫌われ者でもあった。

 味方をあちこちから奪う分敵をその元派閥たちから作る。

 簡単に言えば逆ハーレムの男たちにはちゃんと元相手の女性もいた形だ。


 派閥をグチャグチャにかき乱し自身の内側に取り込んで権力を集める。

 それは全方位に喧嘩を売るのとほぼ同等だった。

 恨みは大きく好まれも大きく。


 彼女を殺す理由も死んだことで起こる利益を多数ある。

 そんな渦中にいたフレイ王女が死ぬ可能性もなぜ殺されたかも多数あった。

 そしてフレイ王女もそこに自覚的で危うい橋を渡ることで人をより惹きつける。


 崖っぷちにいたとしてそこに突撃してくる脅威は全て周りにいる誰かが払ってくれる。

 そこまでをコントロールしきっている。

 そのはずだった。


 きっと彼女すら予想すらしないところから……

 例えば崖の裏側から刺されたのならば。

 想像でしか無いが導き出してくれるはずだ。


「調子はどうだ?」


「アール・キサラギさん……だいぶ順調です。このままいけば、10分ほどで蘇生できるかと」


「10分! 蘇生で聞いていた話よりもだいぶ早いな……とりあえずオレは別の場所もチェックしてくる。少し気になることが出来た」


 言いたいことだけ言って足音が遠のいていく。

 とりあえずそのままならば問題なさそうだ。

 向こうも情報はわりとあると。


 そのまま10分。


 辺りには大量の(エフェクト)による文や紋様が浮かび。

 魔術的印や魔法陣が描かれて。

 パーティ会場が既に静謐で純度の高い空間へと変貌させれている。


「これが、蘇生の儀式……」


「本物見たこと有るか?」


「あるけれど、その時はこんな感じじゃなくて、もっと穴が抜けていたような……」


「そもそも聖堂以外で復活出来るなんて、聞いたことないですよ」


 ザワザワという声すらもまるで静けさの中に消えゆくようで。

 この場の支配はこの本がしているのは確実だった。


「よし……展開」


 私は本を直接持つ。

 すると本が自動的にめくれだし。

 1つのページで止まる。


 おおきく円が描かれた見開きのページ。

 私は直接死体の胸上へ置く。


「みなさん、これから復活の魔法を発動させます。一定距離離れないと魔力に当てられる可能性があるため、離れてください!」


 ざわつきながらも騎士たちが素直に動くおかげてみんな少し遠ざけられる。

 さあ……やるか。

 剣ゼロエネミーを手にとって全力でエネルギーをこめていく。


 まとう輝きは増し神秘のオーラを放つ。

 それを……思いっきり本の上に突き刺す!


「「ええ!?」」


「何をやってるんだ女!」


「見てて……来るよ」


 周りからどよめかれるが説明するより見てもらった方が早い。

 何かが集うような音が高まって行き……

 手応えがあった。


 剣を引き抜く。

 すると服も本も破れてはおらず代わりに……

 何かが飛び出した。


「「ひいっ!?」」


「これは……?」


「アール・キサラギさん! 殺害された証拠です!」


「何?」


 アール・キサラギがその液体を見ているうちに……

 私は本を片づけ少し離れる。

 いまので道が出来たはずだから……


 ――死体から突如凄まじい魔力が放たれる。

 同時に死体が大きく跳ねて。

 そのまま脈打つ。


 復活の時だ。

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