四百十九生目 剣技
ラーガ王子がジャッジするこの試合……
詳細なルールとは。
「オーソドックスな2本先取だ。1本取るためには、相手を跪かせる、転がすなどで足ではない部分が地につき、致命的なスキを晒したと認められれば入る。そのため、自分から屈むことや後ろへ避け飛ぶのに地面に手をつくことはカウントされない。つまり、スキのない状態のことだな。相手を致命的に怯ませることが肝要だ。また、クソほどつまらんつかみ合いや逃げ戦法はこちらが判断して所定位置に戻す。積極的かつ動きのある姿勢を取るように」
聞いている以上は普通だ。
相手をダウンさせればいいと言うだけ。
……審判が明らかに不公平でない場合はね!
「そして、枠外の地を触れれば場外として1本だ。先に言っておくが、場外の空中、場外の壁、天井は許される。ただし長ければ逃げ戦術として警告の上所定の位置に戻す。警告は2回で1本となるため、無闇に警告されぬように。また、戦闘において卑怯な戦法は良いが非倫理的な……例えば、相手を殺す、部屋を破壊する、部屋内全てを破壊範囲にする、空中以外の安全な場を無くすなどの行為は御法度として即負けや警告とさせてもらう。こんなつまらない終わり方はするな」
うーん……ちょっと考えていたけれどやはりだめか。
空から爆撃したり地魔法"クエイク"や"ランドホンス"ですっころばしたりする戦法。
わざわざ言うあたり全員私の有名所なデータは知っていると。
うーん……
だとしたら私が取る戦法は。
「その他細かいことはその時に語る。全力で斬り結べ。では……構え」
私は静かに剣を下ろして構える。
相手はバトルアックスを肩に担いだ。
『――というデータです。健闘を祈ります!』
『わかった、それだけわかれば負けないですよ』
さて……私の能力はと。
[ニーダレス Lv.15→21 ポイント6
"繋がりの無敵12" "イバラ戦師20" "魔眼を持つ者12"
"言葉を超える教師13" "疲れ知らずの魔毒獣13 " "獣の賢者14" "神魔行進3 " "光神術6" "小神罰" "大地の神域1→3" "分神1→2" "バトルマニア1→2" "宣言"]
[ガンナー Lv.5] ハンドガン ビーストセージ
新しい体はレベルが上がりやすいのは良い。
そのかわり戦う相手はこれまでの比じゃない相手も多いんだけれど……
いくら上がりやすくても経験を得られない相手ではだめだ。
その分日々地道に鍛えるのは良い。
しっかりやれば経験が入る。
目に見えるというのはすごく励みになるなあ。
最近は学術的資料も良く読んでいるし良本を読んだらわかりやすく経験が増す。
こうやって書くとえらそうに見えるが案外娯楽目的の本も多い。
昔から好きだし。
"大地の神域"は順調に伸びているが"神魔行進"は使い所がなかなかなくて伸びないね。
もうちょっと本番想定で使い込みたい……
5ポイントは20レベルに上がった時に使った。
[魂分・同体の奇跡 自身の魂を分けてもう1つの本体を作り出す。また、神器など自身に適性のあるものを一時的に取り込む]
書いてある内容そのものから魂を安全にわけたり体を増やしたりモノを取り込む力など。
時空魔法を使え影と闇魔法を新たに会得する。
どこかで聞いたこと有るなあというのはその通りでこれはドラーグの力に近いところがある。
同時に時空と闇に耐性を得る。
空の上位スキルが時空で影の上位スキルが闇。
まあ受ける際の系統としては同じでも使う際の感覚はまったくちがうのだが……
さあて。
私がこれからすることは時間稼ぎ。
ドラーグが探索し終えるまで稼ぐぞー!
「ごめんね」
「ん?」
「始めっ!」
私はゆらりと構えたまま待つ。
リラックスリラックス。
普段と同じ動きをしたらまず間違いなく破けるから服の強化が先決だ。
魔法を多重に唱えつつ待つ。
「くっ、やはり魔法を! なんて魔力だっ!」
先手を打つようにフルーエがダッシュで詰めてきて斧を振りかぶる。
セオリー通りの動き。
剣ゼロエネミー……力を貸して!
ゼロエネミーの腹に指を沿わしながらゆったり持ち上げて……
最小限の動きを意識。
大丈夫……動きは見えている。
「ふっ!」「らあっ!」
敵は最小限の動きで袈裟斬りの動きから突きにつなげる。
聞いていた通り!
私は剣ゼロエネミーを振るう。
とにかくリビングアーマーさんの教えを思い出して。
あれにくらべれば技術はともかく速さがない。
相手は[かなり弱い]と書かれていたがニンゲンは技量と武具が強いはずだ。
剣の刃を上手く添わせるようにしてフルーエのバトルアックス内側に回り込んで。
武技!




