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四百十七生目 宴会

 正式な挨拶が王と交わされていく。


「……承ります」


 ここらへんは事前にアール・グレイと打ち合わせた通り進んでいくだろう。

 私達はあくまで招かれた側。

 立場は下だが基本流れに沿えば良いはずだ。


 王が手袋をした指を首元へと持って行き。

 首飾りに振れると行動力を込める。

 そして(エフェクト)が……え!?


 王にこびりついた神力のにおいが首輪を介して(エフェクト)に乗る。

 形ができてゆきまるで指。

 神力でできているから周りは気づけない!


 指は私達にゆったりと(エフェクト)と共に飛んできて。

 ……えー。これって食らっていいのかな。

 肝心の行使者に明確な敵意や悪意がないしそもそも見えてないだろうし。


 本当にやばかったら蒼竜のお守りが守ってくれるはず。

 とりあえず受ける!

 指たちは私達にそれぞれ1つずつ当たる。


「「ウッ!?」」


 指が触れた途端にかかる力が跳ね上がった!

 顔すらまともに上げられず全身に重力が加算したかのよう。

 それなのに這いつくばるような跪きにむりやり持っていかれる。


 寝かせようとするような力はなくわざわざ低姿勢で固め力が止まる。

 向こうの正解以外は許さないのか……!

 一応事前注意でこういう能力は負うが優れているむねは話していたがこれ能力じゃないよ!


 彼は神ではないはずなのになぜか神力を振るえていてるんだ。

 そう……私のなかで1つ思い当たることがある。

 神使という存在だ!


 神使だとしたらこの背後に神がいるのは確実になる。

 小神とはいえかなりの規模ある国を乗っ取るぐらいの力……

 神使がいるのは警戒すべきだったか。


 ただまだ大丈夫。

 強制力とか精神にねじ込んできそうな気持ち悪さはあるがこの場でどうこうなるような種類ではない。

 あとついでに私含めて3匹とも跳ね返そうと思えばやれる。


 今は揉めたくないからこのままで。


「この場に集まった者たち、感謝の言葉と共に、挨拶を贈ろう……」


「「承ります」」


 同じ用に祈り用の光が飛んでいく。

 神力がわずかずつこびりつき形がとなる……

 わずかずつとはいえ単なるニンゲンたち。


 とてもじゃないが跳ね除けられないだろうし何が起こっているかもわからないだろう。

 そして誰も何も言わないあたり慣れてもいる……と。


「こちらも、挨拶を返させてもらいます」


 ラーガ王子が不思議と響く声で話す。

 ……あれ。

 そういえば王子と王女はなんでここにいるんだろう。


 子どもは下……なのかな?

 王妃は普通に上へいるようだし。

 王の隣に立つ方がそうだろう。


「承った」


「「では――」」


 ふたたび長ったらしい挨拶がされる。

 ただ多くの者達が同時にやるからすごい音だ。

 体全体が震えそうな不思議な感覚がある。


 場が一体になりつつ(エフェクト)が飛び交い……

 私達や王を包む。

 ふわっとした心に温かみがさす。


 そのあとも長々と話は続いていくが……

 結構しんどい。

 だがそれもやがては終わる。


 しばらくの間話が続いた後に……

 神話の話を交えた教えなようなものをきいたりして。

 その後に王が本を閉じる。


「では、宴をゆるりと楽しまれよ」


 広場に光が戻ってくる。

 同時に体を襲っていた力が消えた。

 ふう……自由だ。


 光の配置が戻って広場全体が明るくなる。

 高台に玉座がや他の椅子があり王や女王などが座っている。

 彼らは彼らで別に食事や会話をするらしい。


 私達は立ち上がりテーブルの方へ……


「そこの、ローズオーラ」


「……はい?」


 突然声をかけられると思っていなくてびっくりした。

 相手は王。

 慌てて振り返り姿勢をただす。


 王はこちらを見下していた。

 その目に心が感じられない。

 というよりも体全体が独特の冷えを感じさせる。


 生き物としてのにおいを感じさせないような……

 けれど偽物ってわけでもない。

 国を……人々をなんとも思っていないような空気感。


「余興を……用意した。みな、楽しみにしておる……付き合って、もらえるな?」


「え? ええ、もちろん」


 おかしい……こんな流れは無かったような。

 王から発せられる静かな圧力が耳の奥で地響きの幻聴がなりながら。

 私は勢いに任せて了承をしたが……






 気がつけば。

 1つの長方形部屋。

 手には剣ゼロエネミー。


 対峙する相手はいかにも強そうなニンゲン。

 どうしてこうなった!


「ここにいる者たちは……全員、国賓のローズオーラが、類まれなる人への慈愛を持つ魔物と知っている……存分に、戦ってくれ」


「え、えっ、ええーっ!」


 観客多数の視線がこちらを見抜いた。

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