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四百十一生目 服装

 王は古来より神によって遣わされた民をよりよく導くための存在。

 魂の昇華へ導く役割がある尊き存在……とされている。

 その神こそ5大竜。


 魂の奔流を見守り魂を良くするのが彼らの役割で……

 蒼竜は厳格な力強さで穢れを払う水を。

 朱竜は慈しみ憐れむ心で罪を燃やす炎を。


 翠竜(すいりゅう)は大いなる堅牢さで豊穣し植物のように魂を育み。

 銀竜は猛き力と精神で穢れから身を護り。

 金竜は真なる豊かさは魂にあるとして知恵にて魂を彩らせ輝かせた。


 神たちのもたらした大地と聖なる大河ウクシツと共に魂の昇天をしてよりよき生を営め。


 ……とまあ。

 なお夢も希望もないことを言うがこれはこの国限定の教義であって蒼竜の神使をやったりなんだりしている身から言わせてもらうと全然知らない。

 蒼龍が厳格? 朱竜が慈愛?


 もちろん民衆に大神のただしい姿なんて伝わることはない。

 それぞれが想像の神を信仰しているが……

 実はある程度方向性は決まっている。


 朱竜は破壊と再生。蒼竜は守護と博愛。

 それらを無視してここの宗教はつくられている。

 しかも話を聞く限り100と数十年程度なのにだ。


 5大竜それぞれの信仰はそれこそ記録にある最古にすらあると言われている。

 存在する神だからわりかし文献も多い。

 世界的に揺れはあるが根はまちがっていないことがほとんど。


 そもそも蒼竜の大陸で蒼竜の信仰が強い国がそこにあるのにまるで考えが違う。

 これらを含めて考えるとやはり5大竜の名は借り物で別の形に変えてしまっているのだろう。

 蒼竜たちは国1つのニンゲンたちがどうこう考えが変わった程度で影響を受けないだけだ。


 やはり背後には別の神がいる。

 入り乱れていた国々をまとめ上げるような力を無理矢理にでも得た1柱の神が。

 どうなるかなあ……私の力で解決できたらいいけれど。


 そしてこの王宮にはまるで神殿みたいなレリーフや像があるようだ。

 何でもかんでも贅を集めているようでそういうルールは守っている……

 つまりここは王宮でいながらまさしく神の住まう場所になっているわけだ。


 いるのかもしれない。

 本物の神が。

 そしてそれは王そのものの可能性も高い……


「ここから引き締めていこう。まだ私にはよくわからないけれど、多分どこかに神がいる」


「神さま自体は、ローズ様が見ればわかるんですよね?」


「うん。相手がこっちと同じように封印したりしていなければ、よほどじゃない限りわかるよ」


 そう……神のオーラは神でなければわからない。

 神の力が具現化すればさすがに誰でもわかるだろうが……

 封印しているわたしだってちゃんと隠しきれずに探知の得意な小神に何度も見つかっている。


 言ってしまえば神ってなかなかにニオウわけだ。

 この後は私が複数の派閥が渦巻く国賓紹介王宮パーティーへといく。

 私は国賓代表としてかなり拘束されるだろう。


 だからこそ……


「ドラーグは奥地を分裂体たちで調査。ノーツとローズクオーツは不審な行動を見つけて」


「「はい!」」


 私の役割があるとすれば……

 陽動だろう。








 それからしばらく。

 何かメイドさんらしき方に呼ばれる。

 その先では全員の衣装が用意されていた。


 ローズクオーツにはゴーレムにしては華美すぎるくらいだがローズクオーツの肉体が宝石なのに合わせてお姫様風に仕立ててある。

 ドラーグは宗教上の理由で全身を覆っているといえば驚くほどすんなり意見が通った。

 覆いつつも全身をゆったりとした紳士コードで固めてこういう場にはお決まりの仮面も。


 仮面は鳥のようなくちばしがあるので安心。

 そして私は……


「は……恥ずかしい……!」


「すごい、ローズ様、似合ってますよ!」


「やっぱりローズオーラ様って磨けば光る方ですよね!」


 ドラーグやローズクオーツに褒められるが私としてはこういった服を着た経験がないから焦る。

 もしかしたら前世ではあったかもしれないが……

 今の私が着ることとはまた別。


 全身を彩るのは赤を基準とした色のドレス。

 しかもこういう場じゃないと基本的に着る機会がないような豪華絢爛なもの。

 服が……重い!


 当然スカートだししっぽだけはうまく出してもらっている。

 ガチガチに体を固め腕の可動部なんてまさしくお茶を飲めれば十分なほど。

 この状態で襲われたらスカートを持ってヒール靴で走って……自信がないなあ。

「非常にお似合いですよコルセットもおひとりでしめるられるだなんて、羨ましい引き締まった体です」


 メイドさんたちにそう褒められるもののなかなかできない格好に嬉しいやら恥ずかしいやらの感情が先に出る。

 ひとりで締められなかったら私の見た目バレが危ないところだった。

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