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四百八生目 成金

 ゴーレムメンテナンス工房が無駄に派手な装飾へ力を入れていた。

 幸いかそうでないかはわからないがあくまでニンゲン界で取引が行われやすいものたちばかりなのでそこはわかりやすかった。

 もっと……迷宮の奥にはあらゆる価値を揺るがすものたちが眠っている。


 あの全身が金属の犬みたいな神ナブシウがいる黄金の砂漠ではここにあるものたちぐらいならば簡単に入手できてしまう。

 ナブシウ自身の体というまさに神話級な金属に詳細材質不明な黄金ピラミッド。

 嵐に舞うものも空から降ってくるものも生息しているのも宝石や金属がとびっきりのものばかりだった。


 金属や宝石だけではなく迷宮の奥には人知を超えた聖域に存在するものはたくさん有ることを冒険者であり迷宮住みの私はよく理解している。

 だからまあ値段がしっかりあるものたちが値段を出されてあちこちから集められたというのがわかるだけでなんとなく安心もした。

 まあ成金だと思う心までは変わらないが……


 よそのゴーレムたちが最高級のメンテナンスを受けるのを横目でみつつ奥の方へ向かう。

 事前予約すると奥側のエリアになると聞いていたとおり最奥らしい。

 ……奥側何かニンゲンが集まってさわがしくない?


 私はドラーグの方を軽く目で見るとドラーグも首を傾げる。

 心当たりはないらしい。

 私たちはその集団へと足を向ける。


「「おおー!!」」


「す、すごい、本当に本物のテテフフライトだ、純正!」

「つなぎなし!? ありえるのか、このサイズだぞ!」

「神ががったデザイン構成、どれだけの力があればこんなに魂の宿った造形が産み出されるのだ!?」


「ゲートーキーパー系統でここまで複雑な機構は見たことがまるでない……技術ごと未知の領域に踏み込んでいる」

「んふふ、この玄人好みのデザインと、プロにしかわからないような繊細な仕掛け、まさしく歩く挑戦状」

「多分わからんやつは物騒だと思うだけだが、解る(・・)奴にはこれを見るだけでムーンシャインが3杯行ける」


 何かと思ったら迎えに来たふたりに職人たちが集まっていた。

 なんだか大変なことになってる……


「そういえば、高級素材でいえばあのふたりはまったく負けてませんでしたね……ほぼ一品物ですし」


「言われればそうだったッ」


 他所様のことをとやかく言っている場合ではなかった。

 私達はその集団の方へ割いるように入る。


「ノーツ! ローズクオーツ!」


「あ、良かった、ローズオーラさま! なんだかすごく囲まれたし、ノーツはスリープモードにはいっちゃったし、困ってたんです……悪い気は、しないけれど」


 ローズクオーツは全身を美しく磨き抜かれていた。

 元々美しかった体はまるでいちばん初めの頃に見た輝きそのものだった。

 これが成金プロの技……!


 ローズクオーツはちょっと恥ずかしそうにしているがまんざらでもなさそう。

 まあ当たり前だけど全身触られるし細かく見られるからね。

 ローズクオーツは普通に眠るようにしてスリープモードへ落ちるのでこの状況下で眠るほどキモが座っていないのだろう。


 ……そこまでキモが座っている方がちょっとこまるね。


 対してそこらへんの感覚を持たないノーツは当たり前のように機械的なスリープモードにはいっていた。

 こちらも磨き抜かれて美しい。

 新たにオイルもさしなおしたりコーティングを塗り直したりと完璧だろう。


「あ、この2体のお客様!」


 それを誰かが口にして。

 一斉にこちらへ目が向いた。


「「えっ」」


「ローズクオーツ体のほう、一体どうやって原石の発掘を!?」

「ノーツの三面図は!?」

「常時浮遊しているこの秘密って!?」

「疑似人格脳の構築は何がどうなって!?」

「むしろ何かテテフフライトに秘密が!?」

「足の駆動部に回る車輪の機構周り、一体どんな秘密が!?」


「うわわわ、ふたりとも、行こう行こう!」


「ごめんなさーい! また今度ー!」


「起動指示確認。おはようございます。移動を開始」


「み、みなさま、ありがとうございましたー!」


「「まってー!!」」


 料金は先払いしてある。

 逃げるが勝ちの質問攻めだった。









 

 ノーツは予定通りそのまま街の外へ歩き探索。

 何せあの巨体だからね……

 そのかわり片眼鏡は私がはめている。


 ローズクオーツは私達と共に歩んでいた。

 ……浮いているけれど。


「この後の予定はなんでしたっけ?」


「夜までは散策だね。そこからはついに王宮までいくよ」


「じゃあ、いろんなお店やさんめぐりましょー!」


 ドラーグに反対する必要もなく全員揃って歩む。

 街中の散策は面白かった。

 とにもかくにも他の地方について目を瞑ればココは世界屈指の発展度で夢のよう。

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