三百八十八生目 寄生
みんなのことをしばらく聞く。
簒奪された神たちはそれぞれの自身に紐付いた話を語る。
みんな神として産まれたタイプのもので多くは先に思いがあってから産まれたタイプ。
しかし最初に現れた小象だけは違った。
「わたしはこの部屋を作ったもの。そして、この大地をならし、陸を守り見ていた、王と呼ばれた者……」
「もともと王様だった?」
「然り。わたしは元々半神半人の身なり。神が人と契り産まれた存在。わたしは王となり、神話となり、大陸に広がる。そしてわたしは王を引いて、より全体を見るようにしていた。あくまで小さな神であり、大河王国となった今すべてを支える力はなかった。そこを突かれたのか、不意に多くの力を奪われ……今に至る」
「あなただけは、もともと産まれてから神話ができていったんですね」
「然り」
小象は肯定してくれた。
半神半人というかなり珍しい立ち位置ながら今はこうするしかないあたり結構今回の相手はしんどいかもしれない。
「改めて、私は別件でこの国に訪れたローズオーラです。最近神になった者です。私は今後王都に行くことへなっているので、そのときに根源を見つけてみるね。ただ、相手が上手の場合が多いため、あんまりにも期待しないで」
「それはこちらも百も承知、しかし流れる藁にも縋らねばいつぞ大海の底に沈んでもおかしくない身、その想いだけで万力の助けとなる」
私が伸ばしたトゲなしイバラを小象神は鼻で触れ合う。
まあようは握手である。
ふたりで想いを交わして……
私達の間に輝きが生まれる。
物理的な。
これは……神格!
「おお、ここにいる全員の想いが結実したのかもしれませんね。これどうぞ、今は私よりもきっとあなたたちのほうが大事だから」
「済まない、この借りは必ず」
小象神が神格を回収して……
空に打ち上げる。
天井に食いついて。
そのまま灯りのように光を放つ。
すると空間に虹色が差し込まれて行き……
私達は一斉に色づく。
部屋が広がって地面になり。
草花が芽生え色づいた。
一気に空間が暖かくなった……
彼らも神力をある程度取り戻したのかいつもどおり簡素な体に色づいた紋様を光らせる。
だいぶ存在に情報量がましたようだ。
「ふう……だいぶ生きたここちに戻った」
「助かった……」
「これでしばらくは生きられる」
「今更ではあるんですけれど、こんな力を奪われる地よりも、別の場所に移ったほうがいいのでは?」
「それは不可能。我々は多からず少なからず、この地に根付いた神たち。浮遊する神たちはすでに逃げたものも多いが、ここにいるのは、逃げる力の無い者たちと……ここの信仰を受け、返さねばならないものがいる」
「象神のあなたが、その神としての義理でここにいるわけですか」
小象神は肯定する。
神の義務というやつかあ……
私はまだまだそこらへんの感覚が薄いからなあ。
神たちはここの生き物たちが生き抜くことで力をもらい……
そして力を生き物たちのために還元する。
昔会ったスイセンという神も邪悪ながらその形を成立させていた。
だとしたらこっちのまだ見ぬ神は寄生型と言われても仕方ないかもしれない。
5大竜の名を借り国中から力を吸い上げ王都だけに集中させているのだから。
正直今の王もかなり怪しんでいる。
実は半神半人というやつなんじゃないだろうか。
だとしたらかなりまずいよね。
「やれるだけやってみる」
私は彼らにも強力を取り付け……
表の世界へと変えることにした。
ちなみに帰るときもおちた。
落下はしたがつながりを無視しちゃんと近くの木陰に降り立つ。
帰りは行きと違ってある範囲内でランダムかつ誰も見てない場所らしい。
……ちょっと面白い仕組みだなあ。
「……以上、記録データ」
夜。
私達は領主邸の庭にいた。
ノーツが大きすぎて屋敷内に入れないからだ。
ノーツの片眼鏡が記録したデータをノーツの力で投影していた。
映像を空中や地面にスクリーン投影しつつ音声再現できるだなんて豪華だ。
なおメカメカしい見た目と違って原理は魔法化学。
全員見た後少し黙ってしまう。
なんというか内容が内容だけにね。
「神様たちも……大変なんですね」
「ローズ様、この国を壊すということに関しての具体性は結局聞けなかったんですよね?」
「うん。国中から力を吸い取ってそれが限度に来るため壊れる、みたいな感じらしいけれど、神自体の正体が掴めていないせいで、それを迎えた時にどうなるかがわからないんだって」
「どれだけでも最悪の想像ができますね……」
ローズクオーツもドラーグも「うーん」とうなり考え込む。
ノーツは投影を終えて光をしまっていた。
最悪神がかかわってくる情報はどこまでアール・グレイたちに開示したほうが良いかなあ……




