三百八十三生目 逮捕
ウッダくん関係かわからないかれどフィノルド辺境伯が教会に来るらしい。
私達は近辺の警備だ。
「誰が私達の監督を?」
「俺だ」
この声はゴリラ……ではなく!
「ゴルガさん」
「俺が見張るんだ、一切の不正はできないと思うんだな」
ギロリと小さく鋭い目がこちらを見下ろす。
そしてそのまま目を見上げる。
ドラーグだ。
「あ、昨日の! よろしくお願いしますー」
「……なんとも気が抜けるやつだな。良いか、配置されるエリアは広いが警備員数も多い。領主様を悪漢どもから守るのは別のやつがやる。こっちは事前に威圧することで、悪漢どもの身動きを取れなくするのが目的だ。同時に、警備の中に潜伏しているやつもいると思って動け。いいな」
「はい!」
「地図はあります? それを見て話し合いしましょう」
ゴルガとドラーグそして私で警備の相談して……
素早く移動して警備を始めた。
太陽は高く視界良好。
問題があるとすれば教会はもちろんニンゲンたちが行き交う最中にある。
この地域を見回るのはかなりしんどいだろうというのが感想。
そしてここの宗教教会というものを初めて見た。
5大竜がイメージされたらしい紋様があちこちで見られる……
なんとなく思っていたんだけれどやはり蒼竜教派閥じゃないね。
私達は中に入らず外で待機。
ゴタゴタに人々が行き交うさなか巨体ふたりと小柄ひとり。
「……まるで俺とドラーグでお前さんを警護しているみたいだな」
「あはは、それ良いですね!」
「ちょっと思ったけれどね……」
ローズクオーツはすでに別のところで警戒している。
あくまで私達の力をはかるためらしい。
丸眼鏡はつけたまま。
「よし。ダベリはここまでだ。警備開始、ここからは俺が力を貸すことはそんなにないと思え。行動開始」
ゴルガが時間を示して動きが始まった。
私とドラーグは順路を歩いて周囲警戒するだけだ。
今回は監督のために珍しく3者同時行動。
とはいえ基本的には何もないだろう。
街中とはいえ裏路地はいかないし……
順路はとにかく人通りの多い中を行き交う。
だからこそ滅多にコトなんて――
「ひったくりー!!」
――コトなんて。
いきなり起こったね。
私はドラーグと目線を合わせる。
「行ってくるッ」
「はい!」
「何、ひとりで!?」
私は一気に飛び出した。
ゴルガの声が聞こえてくるがそれよりも……
この人混みに紛れこもうとしている犯人を見つける。
ひったくられた女性はすぐにわかった。
おばあさんが強い力でひったくられたらしく倒れ込んでいる。
そして倒れた方向に人混みをかき分けバッグのようなものを抱えているニンゲン。
ニンゲンは多くても駆けているやつはほぼいない。
「待て!」
「なっ、なんで警備ギルドがここに……!?」
声をかけてやると慌てて逃げていく姿が。
犯人だとおおっぴらに言っているのと同じだがそうじゃなくても見せてもらうつもりだったからなおよし。
そのまま駆け込んでいく。
こういうたくさんの行き交いがある場所をすり抜けるように走るのはなれたもの。
そして追いかけるだなんて……ね。
(狩りだ!)
ドライが活性化してまるで雷ように縫い走る。
私の中にある一面の具現化。
魔物としての私こそがドライだ。
当然私の力が遺憾なく発揮されればあっという間に追いつく。
この姿でもこそ泥に負けるほどではない。
肩に手をポン。
「なっ!? いつの間に!?」
「キミに窃盗の疑――」
「――らあっ!」
服の影からナイフ!
抜き取られた刃が私の方に光を帯びて襲いかかる。
私はそれを……腕で受けた。
いやなんとなく大丈夫だなと思って無理な避けをしないことにしたんだ。
するとナイフは私の毛皮で止まる。
うん……実力差があるね。
「は!?」
「警備への暴行現行犯!」
こうなれば容赦はしない。
いやすごく加減はするけど。
"無敵"をかけつつナイフを持つその腕を取り……
急接近してから足払い。
相手が浮くので勢いを利用して腕を離さないようにしつつ。
地面に投げつける。
そのままの勢いで相手を背に寝かせ後ろに手を組ませてから手鎖……ようは手錠をかける。
警備ギルドのいるものを聞いたときに出てきた1つで「拘束できるやつは持っておかないと」というもので買っておいた。
さらにカチリと鍵を閉じれば盗っ人の体を簡易な結界が覆う。
内側にだけ干渉する結界で魔力干渉を断って多くの魔法を封じれるのだ。
強いとだめだがこのぐらいの相手なら平気。




