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三百七十九生目 溺水

 私とドラーグそれにローズクオーツで大河付近を歩く。

 服に警備ギルドの記章をつけて。

 いやあ……大河をやっと間近で見れた!


 橋が大きくかかっており街が崖上でつながる。

 大河は緩やかにどこでも広がっており一切の濁りがなく輝く。

 私の大河イメージはどうしても泥水イメージがあるけれどここは魔力作用で浄化されているようだ。


 うわあ……サンプルとって後でバローくんに調べてもらおう。

 何に役立つかは知らないけれど面白そう。

 歩いていればすぐにわかるけれどもちろん生活の基盤だ。


「こんにちはー」


「おやまあ、警備ギルドさん? 精が出るねえ」


「こんにちはお祖母様がた、水くみと洗濯ですか? わたくしも運びます!」


「おやおや」

「助かっちゃうねえ」

「かわいいねえ」


 ドラーグの見た目たのもしさとローズクオーツのキュートなゴーレム風貌の合わせ技でお年寄りたちの心を掴んだらしい。

 少なくとも良い傾向ではあるだろう。


 ローズクオーツが桶を運びお年寄りたちが洗濯をしだすと川が僅かに汚れた色を出すが……

 まるで吹き飛んだかのように光とともに浄化された。

 うわすごい。


「すごい……きれいになった」


「おやおや、ウクシツ大河を見るのは初めてかい? わたしたちの聖なる河、聖書に記されたこの大河は、誰にも侵されず誰のものでもない、みんなのものなんだよ」


「百と何十年か前にはこの川を巡って多くの国が乱立し争っていたそうなんじゃが、だからこそ我々はもう誰にも独占させないようにして、大きな国としてのまとまりを得たんじゃよ」


「え、そうなんですか! ちょっと前……じゃなくてだいぶ前にはこの国たちはバラバラの国だったんですね!」


「若い者は教会でとんとそこらへんを学ぶといい。資材(デマジー)以外はだれでも受け入れるからのう」


 相変わらずの資材(デマジー)の扱いだが……

 それはともかく。


『不可思議な現象を検知。観察を要請』


 ノーツがサイレントモードの念話で指示を出してきた。

 さりげなく洗い場に近づき丸眼鏡を河に向ける。

 その間にもどんどんと浄化されていく……


『解析中……』


『いろんなところ映しておくね』


 一度映像データがとれればそれを延々と解析できるらしい。

 そのような表記をみながら視界を笑顔の人々や……

 警戒擦るドラーグと運びに勤しむローズクオーツ……


 そして広がる大河と街並みという1つの風景画になりそうな景色まで。

 1つ1つがとても新鮮でなおかつ煌めいていた。

 この場所でとんでもない地獄が展開されているだなんて誰も思ってはいないだろう……そんな景色が。


 ちなみに丸眼鏡の反対側から見ても普通に透過されているらしい。

 変なところで魔法の力が働いている。


『質問。先程から目を止めた景色は、美しいと思った景色でしょうか』


『え? うん、そうだね。良い眺めだと思ったよ。なんで?』


『了解。現在美的感覚のデータを収集中。わたしの中にも美的感覚を学習して得る試み。多数の視線から解析をし、ビックデータを集積』


『わお……多分そこら辺の知識、私の知識が原因だよね』


『肯定』


 そりゃあノーツにも私の知識や前世はバレているからね。

 そうなるよね。

 自分が機械の中でどう感情を得るかというのはとても面白いと思うからガンガンやってほしい。


 振り返り次の場所へ向かおうとして。

 橋の方から何かが落ちる音がした。


「人物落下!」


「急ぎましょう!」


「え! ええー!?」


「おやまあ……もしかするとアレかねえ」


 おばあさんたちが何か訳知りっぽいが今それどころじゃない。


「ローズクオーツはそこでおばあさんたちを見守ってて!」


「え、あ、はい!」


「僕、いきます!」


 ドラーグの方が橋に近いがダッシュの関係で私が徐々に追い抜く。


『視界が集中。これは美しいと思って――』


『――違うから! 助けなくちゃいけないから急いでいるだけ!』


『了解』


 まだ微妙にデータ不足な話がノーツから飛んできたりもしつつ。

 落ちてきた真横に辿り着いた。

 光神術"インファレッド"で大河の中で熱源を見つける。


 つまり水中の深み……うっ。


「それー!」


「ドラーグ! お願い!」


 私が僅かな時間怯んだスキにドラーグが飛び込む。

 私の見る方向にいると確信してくれたらしい。

 細かな位置を知らせるため"以心伝心"をつなげこちらの視界を送る。


 徐々に動いているし沈んだままということは意識がない。

 ファイトだドラーグ!


 バシャバシャと水をかき分け進み……

 巨大な体躯を使って泳ぐというよりもかき分けて進む。

 それでも徐々に深くなってしまい泳ぎに切り替えた。

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