三百七十三生目 意義
みんなの自己紹介が終わって。
私にノーツそしてローズクオーツにドラーグというメンツで街を散策する。
事前に話を共有しつつ。
ノーツとは巨大なロボットみたいなゴーレムだ。
正確にはゲートキーパー。
ローズクオーツは小さいゴーレムでピンク色の宝石。
足はないが浮いていてキュート。
そしてドラーグは巨大な竜の魔物。
しかし10%の姿と良い分裂して2メートルほどまでに小さい。
そう。
このメンツで動く際に必然と建物ほどあるノーツだけ邪魔すぎる。
私も思っていたら。
「便利なスキルを覚えたもんだなあ」
「ありがとうございます。現在もう少し機能拡張が計れないか研究中です」
ノーツの新スキルによってノーツから射出されたもの。
それは片眼鏡に見えるものだった。
私がこれを通して世界を見るとノーツも同じく通して見えるらしい。
音も聞き取れるのだとか。
においや味それに感覚はさすがにわからないが……
別のレーダー系が働いていて想像以上に感知できるものは多いとか。
感知したものは私もこの眼鏡を通して見られる。
単純なズームインや写真動画撮影。
それにレーダーやロボットみたいに物質と生命体を見極めたAR動画投影重ねてくれたり……
まあかなりSFだ。
これでもまだ足りないと言うのだから。
そして重要なのはこれが常にノーツとつながっているということ。
ノーツに私を通して見聞きさせられるのは良いしマイクから声も普通に聞こえる。
これでノーツと同時観光が可能だ。
本体は庭で邪魔にならないように鎮座している。
ちょっと庭師さんたちがビビるだろうが動かなければ像だと思われるだけだろう。
「――とまあ、ここでは他国では見られないようなことが起こっていてね……」
「それはひどいですよ! この国の王様を倒しましょう!」
「過激派!? いや、それよりもローズクオーツがそのことを言うんだ」
「え? そりゃあいいますよ! だってこの現状、ひどすぎるじゃないですか! ほら!」
私たちの前には物言わぬ労働者たちが歩いていく。
ローズクオーツはそれを目で追っていた。
「それを言われると私の立つ瀬がないというか……」
「どういうことですか?」
「ノーツはまだ成長途中だからわからないけれど、ローズクオーツは色々と違う。それなのにローズクオーツは自分を私の道具扱いする……しかも盲目的に私へ従ってくれている。その狭い世界感覚はまるで、目の前の資材たちみたいに私がさせているみたいで……」
ローズクオーツは前世持ちだ。
偶然ゴーレムの魂として流れてきてしまった。
記憶もある。
しかしローズクオーツ自身の魂は子供だ。
幼き転生者はまだまだ見聞をひろめなくてはと思うのだが……
ゴーレムの身体という点で私がローズクオーツを縛ってしまっている。
前世とは違い疑似生命のローズクオーツはゴーレムとしてのありように心も変質されている。
食事ができない代わりに役立つことへの欲求が高まりそれが主従関係と化している。
「いえ、わたくしはそんな!」
「私が偶然ゴーレムの身体にローズクオーツの魂を縛ってしまったから、きっと歪みが出ている……」
「うん? というと?」
「ちょっとね」
ドラーグは全身を服装に包み身体のシルエットが出ないようにしている。
身体のシルエットがあきらかにドラゴンだからね。
目元すら薄く覆っているため見た目は2メートルの巨漢だ。
私が目線で合図するとなんとなく察してくれて黙ってくれた。
ちなみに私達は全員言語を皇国語に合わせている。
たくさん人が往来する中この国での危険思想を話せるしだれも気づかない。
帝国語ならギリギリわかるかもしれないけれどね。
「ううーん……わたくしが大丈夫だと思っているけれど、ローズオーラ様がそんなことを……資材……わたくしが……?」
ローズクオーツは自分と資材たちを見比べる。
そして奴隷も。
ローズクオーツには言ってもなんというかいまいち噛み合わないので直接ローズクオーツに見て感じてもらいたい。
……ところで大きな点ではないのだがローズクオーツは『彼』なのか『彼女』なのかどちらだろう。
「それにしても……僕から見ても酷いですね。奴隷や資材なんかもだけれど、とんでもない法律がめちゃくちゃに継ぎ接ぎされている……活気があるように見せかけて、下からも上からも異様な抑えつけがあるように見える……多分もっと盛り上がれるはずなのに。世の中にはこんな変なところもあるだなんて。アノニマルースがどれだけ丁寧につくられているかやっとわかった気がします」
「みんなのおかげでね」
ドラーグは何か屋台を見つけて買いに行こうとしているがそこで必死に肉を焼いているのは奴隷で接客は上級平民。
ドラーグはドラゴンだからかこういう時鋭いんだよね。




