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新章 大河王国 三百三十七生目 細工

 こんにちは私です。

 先日のハロウィンは大盛況だった。

 お菓子の城はまだ当然ある。


 実は時間をかければ自動回復するのだ。

 魔力を得るためのラインは引っ張ったし全壊させなければじわじわと治る。

 それがより奇妙さを生み出し神の住まう場所という定説が根強くなっている。


 区画整理の問題であの広場は元々いらなくなっていた。

 城にしても問題はなかったからね。

 いい感じの場所になった。


 土地が広いゆえにできる大胆変化。

 ただ……問題として。


「ほんと、どのような技術でこんなことを……」


「見ていたものの話はもっと集まらないの?」


「結構ちゃんと隠蔽されていたみたいで、魔法陣の読み取りは難しく……」


「これを兵器転用したら戦場がまた一変して……」


「むしろ普通の住宅へ利用を……」


「しかしそれだったら既存の魔法で……」


「あれは龍穴を使って限られたものが限られた範囲にしかとても……」


 ニンゲンの者たちがめちゃくちゃ調査しに来たのだ。

 こちらからすればあれほどガチガチに組んでしまった魔法陣は他に転用も困難な代物でしかないんだけれど……

 とりあえず今のところ無害なのでほうっておいてある。


 それに。


 研究者たちが壁についているロールケーキをつまむ。

 今冷蔵から出されたばかりで1晩置いたばかりのような最高の状態。

 それは今まで時が止まっていたからこそ。


 研究者はごくりと喉を鳴らしたあとひとくち食べて……

 笑顔を見せた。


「おいっしいー!」


「ほんと、味は良いよな……」


「だったら食料備蓄の方面から考えて……」


 まあ無理やり破壊するような真似もしないし魔法陣原本はこちらで管理しているから問題ない。

 たとえ解析されても神力を組み込み理解が別世界観から求められその上魔法の広がりがない。

 つまりあらゆる方面で大丈夫なわけだ。


 ハロウィンは大盛況で終わらせられた。

 それから数日たってもどこかまだ浮ついた気分がある。

 同時に足ついた普段の感覚も戻ってくる。


 そして。







「それっ!」


「眠いな」


 崖の迷宮にある深淵。

 そこはグルシムの住処。

 そして私はグルシム相手に銃ビーストセージを向けていた。


 放たれたトゲ銃弾は真っ直ぐ放たれ……

 グルシムの額に迫って。

 簡単に首を背けられて避けられる。


 オートピストルモードで高速連射。

 しかし当然のように避けられてしまう。

 そう。今は私の銃訓練中。


「動く相手を追えるようにはなったんだけれど……」


「美しい軌道だ。それが腐らなければな」


「やっぱり、そうだよね……先読みかあ……」


 ようは私が撃つということが素直すぎて弾道が簡単に読めるため回避が容易なのだ。

 正直ここに来るまで何日間練習したのかってぐらいだが……

 しかし先読み撃ちならば考えることですぐできるかも。


 ドライ……いつもみたいに出来る?


(応用だな。任せておけ)


 飛行は高速でアインスに任せつつドライに狩猟本能を任せる。

 結局は戦闘時の先読みと同じだ。

 本能的に高速演算して……


 先読み発射!


「眠いな」


 素早く飛び回るグルシムに対し正確に弾丸が撃ち込まれる。

 ただし正確に撃ち込んだ銃はグルシムが簡単に避けてしまう。

 銃弾は足先や尾先をすり抜けてしまう。


「それっ」


「軌道は美しいが……むっ……」


 そう。

 今まで正確に頭へ飛び込んでいった弾丸が足先や尾先へ飛んでいるのだ。

 気づいた時にはもう遅い。

 グルシムの速度でもすでに回避不可能な位置に腹を抉る弾丸が飛んできていた。


 だからこそ。


「砂に撃ち込む矢のように」


 グルシムは当たったはずの弾丸がすり抜ける。

 代わりに不気味な擦れるような音と共にグルシムは影になる。

 それはまるで鳥の(いなな)き。


 30の影で出来た鳥になり空を舞う。

 私たちを通り過ぎようとして……


(なあ、アレ試してみてもいいか?)


 確かに今なら試せるかも……

 威力は上乗せしないでよ。


(そこはわかってる。そら!)


 背後に向けて鳥が集いそうになったところへ……

 力を込めた射撃!

 発射されたトゲは大量に分散し一斉に鳥へと襲いかかる!


 しかしたとえ面制圧でも分神中の攻撃でも無力化するのがあの分裂回避。

 避けきることは容易のはずだが。


「ッ!?」


 すさまじいエネルギーのぶつかりあい。

 ただし行動力の火花ではない。

 神力の蒸発煙だ。


 いくらかの散弾は外れたものの……

 1つになったグルシムに複数刺さるトゲ。


「……小細工か」


「うん、能力に神力をね」


 "無敵"の爪が出来たし色々試したのだ。

 今のは神力変化させたガンナーの"銃の撃ち方"だ。

 実体や相手のスキルに関係なく当たっていれば当たったことになる。


 砂に撃ち込むのなら神力で濡らしたのだ。

 神力の拮抗でかなり削れたけれど初めてまともに攻撃を当てた気がした。



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