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三百三十五生目 陛下

 ナブシウとローズクオーツは爆発現場へ癒やすために歩む。


「そんな危険な爆発を使わなきゃいけなかったのですか?」


「あの状態で放てる最大の力だ。それと……そこまでやって、ギリギリだ。あの邪悪な力が無駄な抵抗をしてな。かなり相殺されたが、勝てないと悟ったのか途中抵抗が緩んだ。転生先を奪い染め変えることに変えたのだろう。もっとも意思などない力の残りカス。思考はなくただ流れるままに行っただけだろうが」


 つまり力を押し切られたので残った邪念は転生先を喰おうとしたわけだ。

 それを私が"無敵"の爪で裂いて危害を加え反発し合う同士を互いに溶け込ませたと。

 しらずしらずのうちに互いとも連絡が取れない範囲で連携できていたようだ。


「そんなにギリギリ……」


 ふたりはなんとか爆破地点まで来る。

 ナブシウは「ふむ」と声をもらして。


「どうやらかなり相殺が大きかったらしい。それと壁の効果もな。場の汚染がほぼ箱内におさまっている」


「何か見えるのですか?」


「錬金術と同じだ。理解を表面上見えるものにしぼるのではなく、その奥底、構成する単位物質1つまで感じ取れ見極められるよう鍛えれば、自ずとわかる」


 ナブシウは何か見えているらしい。

 ローズクオーツもなんとかしようとしているもののうまくは出来ていない。


「何を遊んでいる、あの箱の中を癒やしにいくぞ」


「は、はい!」


 ふたりは箱の中へと向かっていった……












 こちらアノニマルースお菓子の城では私たち魔女がまるで大理石か何かで出来ているような大扉を開く。 これはこの世界で見られる魔法菓子の1つ。

 すごく高級で美しく飴のようだがパリパリと崩せ口溶けがいいもの。


 広間には唖然としてあちこちに目が行き待っていたものたちと早速広間でどんなお菓子があるか探索しているものでわかれていた。

 レッドカーペットのように見えるベリーのお菓子の上に魔女たちは展開していき道をあけさせる。


「収穫の精霊神アラザド陛下がいらっしゃいます! 道をお開けください」


「な、なんだ……? まだ何かが……?」


「アラザド……本当に?」


「すごい、これ、土足の汚れがつかない? 魔法で時をコーティングされていて……食べようと割ると……おお! 性質が変わった!」


 何か研究している者もいるがそれはともかくとして。

 私たちも何もわかっていなからね!!

 ぶっちゃけかなりアドリブだ。


 道が完全に確保されにわかに正気へ戻った観客たちはざわつきだす。

 ザワザワとした空気感の中……


 突如ツンとしたら空気の変化を感じた。


「「……ッ…………」」


 みんながそれで押し黙ってしまった。

 静かな広間にはみんながほんの小声で話し合うのみ。

 殺気のような背骨を走る感覚ではない。


 いわゆる……神聖な気配。

 声が自然に抑えられてしまう。


 その気配が染み渡る頃。

 神力が扉の方に高まっていく。

 神でなければなんとなくどこからか不思議な気配がする程度しかわからない。


 そして空間が僅かに揺らいだかと思うと……

 そこからアラザドが現れた。

 あまり強くない者からしたらいきなり現れたようにしか見えないだろう。


「「……えっ!?」」


「収穫の精霊神アラザド陛下です。みなさま、明るくお出迎えください」


 魔女たちが一部拍手しだす。

 出来ない魔物たちは爪を鳴らし……

 やがて観客たちからも拍手の音が重なる。


 雰囲気に飲まれているのだ。

 そのままテテフフはゆっくり歩くように移動しながら……

 その身に、(エフェクト)をまとい出す。


 複眼にまるで邪神時のような紋様が浮かぶ。

 しかしたくさんの目がある影響で邪神のそれには見えない。

 結果的に目の色が変わり輝いているかのようだ。


 さらにはまるで邪神のように暗い(エフェクト)を扱う。

 しかしそれは死霊術のように邪や死の力を生きながらにして簡単に扱っていた。

 牙を向かず味方している力のようだ……


 体にハロウィンで収穫されるような野菜たちが死んだ姿……つまり枯れて刈られくり抜かれ壊されたものたちを元にテテフフの身をまとう。

 浮遊するハロウィンのくり抜き姿の野菜たちも含め滑稽になりそうなのに増えるほど印象が増す。

 やがてそれは女王に相応しいまとう衣装へと変化し終わった。


 まるで……そう。

 それぞれがスムーズに繋ぎ合わさっているのは錬金術みたいだ。

 しかしこれは錬金術ではなくアラザドの力。

 アラザドが自身の持つ力を具現化したのだろう。


 完全状態のアラザドに観客たちは思わず息を呑んだ。

 様子を見るに不安だったが思ったよりもしっかりテテフフの記憶や心がそのままこれたのだろう。


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