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三百三十三生目 降誕

 玉座に集う何かの力。

 わからない……凄まじいエネルギーと神力を感じるが定まらない。

 そこへ確かに集っているのに形にならない。


「う……ローズさん、これは何なの!? 成功したの?」


「ろろろローズさん、明らかにおかしくないですかっ」


「お姉ちゃん、どうしたら……」


 もちろん私もこんな事態知らないっ。

 だから本質を見極めるしか無い……

 集っていく力はまるで競うかのように揺れ動いている。


 同じ力の波動なのに邪念とそうでないものがわかれているようだ。

 あの邪念……今の曖昧に揺れ動いている状態ならば。

 干渉できるかもしれない。


「多分、力の方向性がちゃんと定まりきれていないんだ。アラザドが、ちゃんとアラザドになるために、こちらの神話に置き換えきるしかないんだけど……」


「お姉ちゃん、それを今からやるのは……難しいよね」


「うん、だから直接邪念が暴れるのを沈めて、方向性を安定させる」


 私は地面へ降り立って拳を構える。

 実体のないものに触るというのも変な感じだが……

 できるかはやってみないとわからない。


 (エフェクト)を腕にまとった。

 使うスキルは……"無敵"だ!


「やあっ!」


 駆けて拳を突き出す。

 (エフェクト)が凄まじいエネルギーの集まりにぶつかると……

 拳が受け止められわずかに沈む。


 私の毛皮をエネルギーが伝いひび割れるように切れ血が飛ぶ。


「「ローズさん!」」「お姉ちゃん!」


「大丈夫! 痛くはない、痛くはないけれど……」


 本来は痛くないとおかしい。

 その現象が起こっている。

 さらには血が飛び散るかと思えばそれらは床や壁につかず空中でとどまりエネルギーに回収され消える。


 血がエネルギーになっている?

 邪念側が吸っているのかな。

 あまりよろしくない。


 このままで"無敵"と相殺になってしまう。

 ならば……神力だ!

 まだイバラを刺したままの銃ビーストセージ。


 そして亜空間から剣ゼロエネミーを魔法で取り出す。

 1度拳を引くとさっき裂けたはずの毛皮が何事もなかったかのように塞がる。

 エネルギーの方向性が2つあるから傷をつけようとする側と癒やそうとする側で拮抗し痛みを感じなかったのか。


 右手に剣を。

 左手に銃を。

 構えて天に掲げ祈るように神力を振り絞る。


 さっきみたいな派手な変化は必要ないから消費少なめで。

 私の"無敵"を神力で上乗せする!

 文字が流れ[無敵]と書かれ……


 ドクンと力の鼓動を感じた。


「今の……」


 "無敵"の力である(エフェクト)を神器たちは纏う。

 その(エフェクト)たちは大きく伸びて……

 まるで爪のように3つずつ枝分かれする。


 これは……神力によって"無敵"が変化を!?

 説明書きがあるわけじゃない。

 しかし直感的に理解ができる。


 この爪は相手の心に届けるための実体なき刃なのだと。

 どうしてただ神力で補助しただけでこうなったかはわからない。

 しかし今は最高のタイミングで扱えた。


 "無敵"は相手の敵愾心(てきがいしん)を削り。

 種族の壁を超えて親密になれ。

 その輪を他にも広げられる敵を無くすスキル。


 ただ下位スキルだから相手が上位スキル持ちになってきたらどんどん厳しくなっていった。

 世界はあまりにも対立している。

 きっかけさえも与えられずに。


 この爪はきっと障壁を切り裂ききっかけを与える刃。

 私は全員仲良しこよしになりたいわけじゃない。

 それでも……敵にならずに済むならと思ったことは少なくない。


 "無敵"の爪を大きく切り裂く。

 爪をクロス時に引き裂けば先ほどとは違いエネルギーに干渉せずスルリと抜ける。

 抵抗感のない振りに一瞬効かなかったと思ったが違う。


 抵抗感はたしかになかったが手応えはあった。

 邪念がうずまき。

 他のエネルギーたちも渦巻いて。


 1つの塊へと変化していく。

 私は神器たちをしまって距離をとった。


「……多分、行けた」


「今度のは、なんとなく行けそうだねお姉ちゃん」


「外側から見ているだけでも、先程より圧倒的に安定していますね」


「何をしたの?」


「ちょっと、互いに優しくしてみた」


「さっぱりわからない……」


 アカネは呆れ顔で顔を私からそむけ光の塊へ目を向ける。

 自分で何が起きるか見極めようとしているようだ。

 やがて光は姿形を取り……


 1つの肉体がそこに生まれ落ちる。


「これは……!」


「テテフフ……?」


 赤い宝石をそのまま削り出したような美しいティアラ。

 着こなす事に風格が求められる王のマント。

 背は体から離された位置にまるで伝記上で語られるような精霊の(はね)をそのまま立派にしたかのようなきらびやかで非現実的な(はね)


 女王の精霊神がそこにいた。

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