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三百三十生目 神域

 舞台にいる魔女たちは舞って魔力を魔法陣に送り込みながらも移動する。

 スポットライトに照らされながらそれぞれ広く魔法陣のそばあちこちへ。

 地面と空双方が魔女の発する(エフェクト)と光源によリ明るく照らされていた。


 私はアカネと分かれるように動き空を飛び交う。

 魔法陣内をちゃんと飛び回る動きだ。

 見た目より難しいのは照明と合わせなくちゃいけないところ。


 縦横無尽に飛んでいるように見せかけ台本通りに飛んでいる。

 "同調化"がなければこんな短期間ではできなった!


『ローズチームパターンC、アカネチームパターンDへ』


 裏で"同調化"をつないでいる相手が台本に描いてある軌道を見ながら伝えてくれる。

 意思の共有化により意識すればこの情報を渡してもらえる。

 空中のポインタを間違えないようにたどりさえすれば私にもできるのだ。


「「聖なる輝きは(よこしま)な因果を打ち払わん」」


『ローズチームそのまま客方面アピール』


 よしきた。

 正直これが1番の緊張どころ。

 私でなければやれない技。


 私は空中操作をアインスに一任して……


(ほいきた! いくよー)


 客席側の空に突っ込みながら箒にまたがった状態でローリング!

 しかも2回も。

 ちょっとアインス2回は聞いてないうっ……大丈夫がまんできる。


(いつもよりおおく回っております)


「「ワアアァーー!!」」


 ただおかげで歓声が上がる。

 くっ……今のタイミングで取り出した銃ビーストセージ。

 それを空に掲げエネルギーを送り込んで(エフェクト)を輝かせる。


 当然それに注目が集まった。


「「アラザドを迎えるための想いを、この光に集めん」」


「な、なんだ? いろんなところから声が」


「すごい……まるで直接響いてくるみたい」


「声で頭が揺さぶられそうだなんて初めてだ」


 光神術"エコーコレクト"を使いあちこちから音声を流し揺さぶる。

 光神術はもうこういう使い方も慣れたもの。

 耳が良いものほどこれで頭の中に響いていく。


 ほぼ同時に音を出すのは光神術を長年使ってきた私からすれば楽な技術。

 こうして私に視線も耳も向いている間にやることは。

 みんなに共通認識と想いを植え付けること。


 想いを束ねるんだ。


「「時を固め、再び巡り合う重なる瞬間まで此処に縫わん」」


「死を貴び。生を歓び。我ら祈りを捧げん。皆の想いを束ね、収穫の精霊神アラザドに捧げん!」


 違うことを違う音で発言するのもよくできる。

 スポットライトも私へ強く当たるようになる。

 だがおかげで最高に注目が集まっていた。


「アラザド……」

「あの光に……」

「お菓子の家……」


「おばあちゃん……」

「あの世……」

「精霊神……」


 たくさんの想いを具現化するには神力。

 そして神器を通して成立させる。

 私の周囲に結界のようなものが浮かびそこに大量の文字が流れていく。


 これを……制御する。

 願うは神の降誕。

 お菓子の家に住まう収穫の精霊神をここに転生させる!


[降誕][神][転生]


 可読できるように文字が並ぶ。

 神器である銃ビーストセージに私の力を超えた神力が溜まっていく。

 様々な想いが……力が……今普通ではありえないほどに高まっていっている。


 神力なので具現化されていない分は見えていない魔物がほとんどだろう。

 ただ異様な力を感じることはできるし神力の余波で生まれる光は見える。

 神秘的かつ心の奥底に響くような力が。


『ラストだー! 合わせろ!』


「「集うのは願い」」


 わたしは魔法陣の方まで飛んで戻る。

 飛び回っていたアカネが空高くに止まり杖を振るえば魔法陣がさらに展開していく。


 もはや魔法陣は舞台と客席の区別などない。

 すべてを魔法陣の内側に閉じ込めていく。


「な、なんだこのデタラメな魔法陣は!?」


「足元にも、空にも……一体どこまで……」


「そ、そうか、篝火! 篝火で囲った範囲がすべて……」


「広場全てが魔法陣の内側!?」


「なんて……幻想的」


 何もかもが不可思議な紋様とそれの外部読み取りを乱すデコイパターンたちにより描き出されるのはこの世と思えない景色。

 闇の中でこそ一層際立つ輝きたちに光が瞬いてこそ深まる影。

 もはやここは現実世界ではない。


 あらゆる狭間の可能性が内包された神域ともいえた。



「「輝け」」


「……魔法陣」


 魔女たちが最後の句をつげホルヴィロスが本の力を全解放させつぶやく。

 あたりは大量の魔法陣が入り乱れ回転し噛み合い駆動して……

 もはや発動は今かと言わんばかり。


 マジで間に合え……砂漠組!

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