三百二十九生目 剣舞
ナブシウとローズクオーツが壁を錬金術で作り上げていく。
大部分が地形の砂だが錬金術の腕が良いらしく見るだけでエネルギーが非常に堅固な結びつきを見せている。
神力で『不壊』も付与されていった。
「良いか、地形は変わって叔母上になんら悪影響はない。だがこの力だけはこの場にとどめて込めなくてはならんのだ、分かっているな」
「わかったような、わからないような……! と、とにかく壁と天井を作れば良いんですよね!?」
「少しでも脆いところがあれば、お前は死ぬ」
「ええっ!?」
何するのかはわからないがせわしくなくふたりは動いて錬金している。
徐々に出来上がる壁は天井も考えると時間ギリギリにできるかもしれない。
最悪こっちで引き伸ばすしか無いがあんまりプラン考えてはいない。
最良はこのままやりきることだ。
魔力的にも魔法完成度的にも。
「ここの……つなぎ目を……もうちょっとうまく……!」
「ほう、錬金品素材同士の合成ももうできるようになっているか。帰ったら次の段階へ進めて良さそうだ」
「ひいい!」
どうやらまだ学んでいる最中のことをうまく使いこなしていたらしい。
テテフフライトの粉も混ぜ込んでいる影響かほんのりピンクも混じった壁たちをスキマ1つないようにつないでいる。
天井まではまだだ。
アノニマルース会場。
「「亭亭たる樹立の神よ、立ち上がる創造を祝福し美しく聳え立つ事を見届け給え」」
演舞は徐々に激しさを増してくる。
それは観客が自然に惹き込まれる速度として。
ただ私たちを見てしまってはいけない。
この大きな舞台装置たちへ意識が向かないと。
私は箒を回すように薙いだあと下の方を持ち上方を剣のように見立て振るう。
アカネも同じように構え柄同士がぶつかり合い大きな音が鳴る。
そのままどんどんと切り裂くような振りをする。
互いにそう動くことで剣舞のようになる。
「中央のふたり、キレがヤバい……」
「な、なあ、あのふたりだけなんかおかしくないか?」
「すごい……こんなに美しいだなんて」
正直魔法陣の派手さに比べれば小さな魔女たちの存在感は漬物程度。
特に唱えていない間は地味になる。
ただ大人数の詠唱で魔法陣行使しようとすると素早くやれない。
調整と注ぐ力の具現化で時間がかかる。
様々な色の魔力を流し込んでいるからね。
ただその分相乗効果が大きく総魔法陣力が跳ね上がる。
今魔法陣は私がテテフフ前で行使したものよりずっと大きくなっている。
まだまだ途中でこれだからさらに大きくなる。
すると私たちは本当に存在感がなくなって舞台としてはまずい。
ならば魅せるしかない。
せめてもの存在感を。
目配せすればアカネはウインクを返してくれた。
――もっと来ても大丈夫。
その心が伝わってくる。
『第2段階完了』
『第2段階完了了解、第3段階開始』
『第3段階、まずはこっちから!』
1つ大きな魔法陣がしっかり出来上がって空中へ立体的に完成する。
当たり前だが情報量は二次元的より三次元的の方が大きい。
膨大な魔力が仕舞われたこれは私が作った大魔法を最大限活かせる形だ。
「なんなんだあの魔法陣……!?」
「ありえない……一体どうなって……?」
「明らかに一般の者が扱える魔法じゃない……なかなかどうして面白い。もしやすると……」
箒なので互いの剣舞は見立てにより自由自在。
槍のよう突きあい。
両手剣のように大振りしあい。
「本当に神が舞い降りるやもしれない」
片手剣のように振るわれた杖が大きな音を響かせ互いに打ち合った。
「……魔法陣エンジン回転上昇。多重展開高度調整。錬金仮想炉点火開始」
『よし、浮いちゃえローズとアカネ!』
『了解、空中演舞!』
私の真横を縫うようにアカネの箒がさしこんでくる。
同時にアカネの方へ高く叩きこんだ箒の柄はアカネが頭をそらし避けられる。
互いに"同調化"で意思疎通していなきゃもはや殴り合いである。
互いに距離を取るようにくるくる横回転して。
互いに正面へ跳んで光を纏った柄部分で剣のように横振りして衝突。
互いのエフェクトは弾きあい火花は散らず大きな木の音と共に拡散する。
それが火の使わない花火のように美しく舞台を飾った。
「「おぉ!」」
「み、みろ、浮いてる!」
「魔法陣も、わけがわからん規模になってきていないか!?」
私たちは互いに背へ翼を出す。
私は針翼を。
アカネは背を変質させた羽を。
そのまま浮かんで行き私たちは箒にまたがる。
魔法陣たちはガンガン回りだし魔法陣は複雑にどんどん高く展開していく。
巨人たちよりも高く!




