三百二生目 事務
射撃訓練することとなった。
とは言え私はド素人……
まずは手早くガンナー自体になってしまおう。
アノニマルース軍訓練所へ行き。
訓練所にいる受け身訓練の魔物たちに声をかけ。
私と彼等8名と向き合う。
「それじゃあ、付き合いよろしくねー!」
「こちらこそ!」
「ガンガンどうぞ!」
「数が多いから大変そうですね」
「ううん、大丈夫ッ」
私はゆったりと構え……
全身から針を飛ばす!
8体全員に均一命中するようしっかり狙いをつけて撃ちまくる。
「うわっ!?」「くっ」「痛っ」「耐えろっ!」
相手は"防御"などで必死に防いでいるが……
盾を使って受けてもどんどんと生命力を削られる。
やがて"防御"の光も超えてその身が削られるように撃ち抜く。
皮膚が裂かれ1部が刺さり盾は刺さりすぎて砕けていく。
やがて耐えきれなくなったひとりが吹っ飛んだ。
「ぐあっ!」
「終わりッ」
私が宣言しトゲの嵐が止むとみんな全身から力を抜いてその場で倒れ込む。
今回条件が悪かったとは言え私に対してここまで一方的にやられるとは思わなかったのだろう。
いわゆる顔色も悪く見えた。
「こんな……我々が8体もいたのに……?」
「時間稼ぎにすらならなかった」
「訓練しても、しても、ここまで届かないとは」
「鍛え方の見直しだな」
口々にどうこう言っているが練習用装備でかなり耐えていた気はする。
実際の軍事行動ではいろいろな補助や集団魔法で結界貼りつつ動いたりするからね。
「みんな、ありがとう! 合同訓練って形だから、こっちから見たレポートは後で上げるね。凄く強かったよ!」
「はは……耐えきってしまうつもりだったんだけどなあ」
誰かのつぶやきは風の中へ消えた。
グレンくんがサムライの心と言ったものがなんとなくわかった。
魂に対して新しい力が付与されているのかそこが実感できる。
私の脳内で展開できるログにそれらしい機能も見られた。
魂に意識を向けるとガンナーという項目が視える。
そこを意識して選択すれば前見た条件たちが並ぶ。
機械知識も銃所持も遠隔攻撃複数回も達成だ。
この状態で本を読む必要がある。
今私は持っていない。
能力職業習得所(仮)はまだ作り出したばかりなのでまだ仲間内で読み回している。
手はず通りなら今夜戻ってくるはずだ。
夜はもうじき。
家で待っていよう。
家に帰って事務作業。
事務をやるとは言え私までまわってくるものはかなり難題。
ニンゲン関係は特に私へ投げられる。
ホルヴィロスなら正確な判断がくだせるだろうし他の秘書たちもたくさん働いていてくれるが。
きっと私の意見を聞きたいのだろうという内容。
例えば……
[アノニマルースにやってくる人々の中で、女性ヒトや魔物たちに対して、恥じらいを理解しふしだらな格好を止めさせるようにといくつかの苦情が入っています。具体的には、頭部以外全身を覆うような腕が長くスカートが下まである服装、髪を結い清潔にすることとあるそうです。かなり高圧的に来られることが多く、また多くは権力が多少なりともありそこそこの年齢があるため、こちらも苦悩するはめになっています。アノニマルースとしての方針はどういたしましょうか]
これについての返答は。
[大半は旧来の保守層だと思われます。権力を振りかざしてきた場合、基本的にアノニマルースは皇国に準じているむねを伝えてください。また、アノニマルースは独自の運用していますが、それはアノニマルースが決定することであり、変えたい場合はアノニマルース役所行へ投函するようお伝え下さい。アノニマルース役所は規定書に記された通り、正式に授与してある自由化についての法文を使い、説明を試みてください。とにかく現地で喚かれた場合は、すぐにその場から離れ責任者を呼んでくるか、警備員を呼んでください。アノニマルースは多数ある種族に対して特定種族だけ服装をかえる規程や文化を導入する予定はありません]
そもそも皇国が今自由化を一気に推し進めているところでこれを言ってくるのは。
皇国や帝国や他の国かもしれないが……
とにかくお年寄りが中心だろう。
本人に悪気はなくても国や時代の移り変わりについていけなかったのだ。
アノニマルースは御しやすいと思ったかそれともまだ昔の感覚が残る外よりココはさらに深く自由化していて驚いてしまったのか。
まあ私も普段見た目毛皮だけだし……
とにもかくにもわざわざどうこういう必要はないだろう。
ホルヴィロスなんて植物だからどうすれば良いのだ。
おしべとめしべで分ければいいのか。
まあ急激な変化で常識がついていかない感覚はわかる。
慣れてもらうしかないだろう。




