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二百九十四生目 建築

 冒険者ギルド内が外部の派手さと反比例してキレイなのは私のおかげらしい。

 なにがだろうか。

 不思議そうにしていたら秘書さんは解説してくれる。


「ローズオーラ様は有名な冒険者でもおられます。その恩恵はこの冒険者ギルドも受けていて、決して意味のわからない迷宮内にある魔物が所属するギルドもどき、ではなくて公式に認められた、しかもかなり高待遇を受けているギルドになっています。色々実験的な試みを取り入れているのは事実ですが、そのおかげで最先端とも言えるのです。ローズオーラ様が魔物だということまで知っているニンゲンはそう多くないですが、国家的にはそれを踏まえて認証されています」


 私が活躍することで私が暮らす街であるアノニマルースにある冒険者ギルドも事実上かなり扱いが良くなっているらしい。

 特にアノニマルースはその都合上冒険者たちと対立することの多い魔物たちが運営している。

 それでも認められているのは私の動きが公的にはちゃんと認識されているから。


 国家と冒険者ギルド本部側に手綱をつけたほうがいいと思わせた思わせた時点で勝ちということだ。


「そして、魔物たちはもちろんローズオーラ様が魔物だと知っています。それ故にみんながローズオーラ様の活躍に恥じぬように、ここの冒険者ギルドも盛り上げていこうとしていてくれるのです。その……若干改築を重ねてすぎている部分もありますが」


 私の街の冒険者ギルドとして恥ずかしくないようにみんなが立ち回ってくれていてそれが良い方向に作用していてくれていると……

 それほどありがたいことはない。

 冒険者ギルドはあの派手な看板も含めてどうやら大幅な改築を重ねているらしい。


「アハハ……外からも目立ちますもんね」


「ええ、本当に。エレベーターへどうぞ」


 おっと。

 そういえば上に行くにはエレベーターがいるんだっけ。

 ここから歩いて上の方に行くには改装を重ねた回りをいかねばならない。


 エレベーターなら直通だ。

 もちろんこのエレベーターは電気ではないし試験導入の1つ。

 私が時間をかけて捻出したエレベーターの安全性確保した設計図を元に生み出している。


 簡単に言うとそれまでちゃんとしたブレーキがなかったものが今はブレーキやエアバックにサイドブレーキもある。

 自動化させてあるのにかなりの安全性を保っているのだ。

 ただ……まだ狭い。


 イタ吉たちならともかく今の私が入るのは不可能。

 エレベーターの前まで来て……変身っ!

 再びケンハリマ状態まで縮んで針鎧を解除する。


「な、なんだ!? 姿が……!? えっ、まさか同一存在……!?」


「まさか、あれが伝説の6化神……!?」


「6? 4護像なら知っているが……」


「というかローズオーラ当者なのか、その当者とあの伝説は同じ!?」


「ふふふ、新しいやつらが驚くのはいつ見ても良いな……」


 何か謎の伝説が作られている気がする……

 さっきイタ吉が話していた別の存在に見えるってこれのことだったのか。

 そして古株魔物が遠巻きにその驚く様子を頷きながら見ている。


 私がここ自体に出入りすることは少ない。

 あっても普通にケンハリマの姿で来る。

 こういう時くらいなのだグラハリーの姿で来るのは。


「エレベーター、今のところは問題ありませんか?」


「ええ、この通り」


 イタ吉秘書さん行動力を僅かに通してボタンを押すと中からエレベーターの動く音。

 そして鉄格子のような扉の向こう側にエレベーターがもうひとつの扉を纏ってやってくる。

 ガラリと音がして開けば乗り込める。


 私はおそらく前世でも専門じゃなくてどこかで目を通したものを元に再現しただけなので解説に苦労した。

 ただ安全性を高めることはもともと急務だったらしい。

 前世の世界でも人力ならエレベーターは紀元前からあったはずだからね。


 実ははるか昔に作った簡単ログハウスの設計図は今あらためて建築界隈で注目されているらしい。

 前世の世界では通常の造りながらこっちの世界では特殊と異様を組み合わせた代物にみえたそうだ。

 建築関係に疎い冒険者たちでは気づかなかったが建築を任せた彼等が活躍したことによりその異質さが知れ渡った。


 当たり前だが私の建築は魔法ゼロが元。

 違う方向から発達した技術に注目が集まってアノニマルースでも他の街々でも応用されたものが広がっているのだとか。

 いつの間にか建築界の一部技術を何世紀か跳ね上げてしまったらしい……


 まあ応用できるほうが凄いのは当たり前なのだが。


 エレベーターは私達が乗り込みイタ吉秘書さんがボタンを押すと扉がちゃんと締まり動き出す。

 この上でイタ吉が待っているはずだ。

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