表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1381/2401

二百八十五生目 報告

 とある報告書が届いた。

 ウッキウキでアノニマルースの諜報部員たちが書いたものだった。

 ワクワクしますね! みたいなことも書いてある。


[我らが仕える民のために日々磨き抜いた技が、影なる者すらも見守る大いなる神々によって、今盛大なる場へと導かれん日が近づいていることで、我らの時を早めているようです]ではないだよ。

 キレイに書いているけど自分のタイプに合う力が発揮できそうではしゃいでいる子どもみたいだ。


 それにしてもそうか……朱の大陸住まいの諜報部員兼暗殺者か。

 かなり物騒な話になってきた。

 しかも複数国にまたぐというのが気になる。


 今まで私は共和国だけに怒られたのかと思っていた。

 そのため私自身はさっさと共和国をデている。

 チョッカクヒゲさんの裏依頼の朱竜情報収集は他の面々にもそれとなく伝えて情報を集めてもらっているから私が共和国に留まる理由は本当に薄い。


 でも向こうはこちらがまだまだ危険と判断していつでも重要メンバー殺せるようにまたその情報を集めるように潜伏させていたらしい。

 私はともかくたぬ吉や役人たちが狙われたら大変なことになる。

 そこまでして危険団体ピヤアと国家の繋がりウラを明かしてほしくないのか……?


 とりあえずすごく面倒くさいことになっているので大きくため息をついた。

 カムバック……平原で走っていた時間……

 とりあえずパパっと出せる指示を考えよう。


 ぶっちゃけ私が考えて色々出してもそのまま現場に伝わるわけではない。

 関係性はちょっとややこしいのだが……

 基本的に扱いとしては別組織になる。


 私は彼等のトップではなくアヅキも彼等との関わり合いはない。

 というより実は彼等にトップはいない。

 いるとしたら『アノニマルース』だ。


 そんな変わり種のメンバーたち実は元々奇襲やら潜伏やら情報収集がスキな同好会。

 なのでちまたで言われている『形なき者』なんて名前はない。

 魔物なので各々の得意分野を活かそうとしたらそうなった以上でも以下でもないのだ。


 あのビラビリリに依頼をわたしてきた相手……完璧な"変装"だった。

 依頼が嘘だとバレてもいいから自分の正体だけは隠し通す。

 実際ビラビリリが気づけたのは依頼が嘘という点のみだ。


 私も最初はよく分かっていなかった。

 実は"変装"の弱点として同じような相手にまじると言いようのない違和感(・・・)を感じやすくなる。

 つまり見比べが出来てしまうのだ。


 ……まさかあの場にいる3人とも全員"変装"していたとは思わないじゃん。

 2人はよくわかってないフリしてて全員わかってんじゃん。

 もはやズルい。


 私が気づけたのは最後の接触時に。

 そんなことよりも書く内容は……


 とりあえず捕まえた暗殺者たちは殺してはダメだということ。

 国々が認めないのはともかく兵ならば自身の割り振られている番号と名前それとさり気なく所属や活動場所も聞いておいて欲しいということ。

 その番号と名前のみを国々に通達し照らし合わせてもらうこと。


 そして正式に突っぱねられたら皇国とアノニマルースの法にのっとり裁判にかけてほしいということ。

 その後は裁判次第となる。

 あとは……


 良くできたねって褒め言葉とそれはそれとしてやりすぎないようにというのと……

 ああ。あと『形なき者』って呼ばれててかっこいいねよかったじゃんって書いておこう。

 本当に彼等とのやりとりは肩がこる思いだ。


 内容がだいたい重いし書き言葉が迂遠。

 だれだよ魔物に面白がって迂遠な言葉遣い教えたの……

 面白くなって使ってるじゃないか。


(……自分で集めた情報だろうな)


 だろうねえ……ドライ

 こっちも文面を乗ってあげないとすねた返事よこすので困る。


 こういうのはストレートじゃないとわかりづらくなるだけなんだよねえ。

 まあおかげで私の訓練にもなるんだけれど……

 こういう外交文書は本当に私向きじゃないよー!


 一応専門の相手もいるけれど私も立場上やらなくちゃならないらしい。

 大変だ……


 数日後指示の返事が来ていた。

 だいたいは指示通りに進めるということだが……[形なき者はダサいので絶対名乗りたくないです]と迂遠な書き方できっちり否定されていた。

 ……そんなに悪いかな?










 そして。


[やっと話が出来る。恐ろしく疲れた。被害者なのにあんな深く聞かれるとは恐ろしかった]

「お疲れ様フォウ……」


 翌日に日を改めフォウと待ちあわせ。 今度は攫われないようにフォウの家まで来た。

 さんざん聞き取り調査の長さや苦労の愚痴を聞かされるハメとなる。


 気持ちはわかるが真面目なだけなので許してほしい……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ