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二百七十八生目 乱戦

 13人のニンゲンたち。

 しかしひとりひとりが兵のように隠された練度を持っている。

 その恐ろしさにどこかしらビラビリリも気づいているんだろう。

 今は動かず待っている。


 やがて雲が月を覆いそうになるころ私達の周囲にいくつも影が集まってきた。

 敵ではない。

 同じように認識阻害つきフードをつけている。


 つまりは同じ梟の目(オウルアイ)だ。

 基本は個人だが厄介そうな依頼だと頭を通じて共有するらしい。

 連絡方法は秘密だったがかなりスムーズに通ったらしくある程度は向こうも厄介さを理解していたようだ。


 つまり裏取りはちゃんとしているということ。

 集まった影は3つだから合計4名。

 私? 私はふわりと飛ぶふりをして頭から離れる。


 それを合図に影たちが一斉に離れた。

 2つある月が完全に雲へ隠れた。

 夜の時は今。


 ビラビリリの毛が逆立ち……

 一瞬で溜まった電気がビラビリリに纏う。

 毛を変質させた針を細かくばらまくように飛ばした。


「むっ!?」


 早速ただの悪漢ではないのを見せつけるかのごとく闇夜に紛れほぼ無音の針たちを彼等は見つける。

 さらにはどこに持っていたから金属製の武器……おそらく暗器みたいなのをとりだし正確に弾いた。

 魔物攫いたちは真っ昼間私に気を取られた瞬間とはいえ全く反応できていなかったのに。


 そしてこの針の奇襲は多数の目的を持っている。

 刺さっても良かったのだが……

 地面に落ち刺さった針たちはバチリと電気がまたたく。


「……!」


 しまったという顔でもう遅い。

 ビラビリリが雷撃を放つと針に吸われ……

 それを合図に針と針の間に多数の電気が走る。


 まさしく電磁網。


「「グオアアアッ!!」」

「3体か」


 ただ向こうもバカではない。

 攻撃された瞬間に散らばり離れる。

 13人もいたのに3人にしか雷撃が当たらなかった。


 素早く移動していく相手たちに他の影たちがうごめく。

 追撃に入るらしい。

 ビラビリリくんもより効果的な攻撃をするため飛び降り蹴りをかます。


「舐めるなっ」


 しかし相手は雷撃の痛みをこらえた。

 動きに淀みなくむしろ空中で身動き取れないビラビリリに対して追撃しようと暗器を構える。

 ただビラビリリくんの動きは恐れがない。


 なんと空中で蹴りをキャンセルして身を翻しつつまた雷撃がまたたく。

 すごい動きをしている……

 ビラビリリくんトランス前の時は本当に一般的な魔物だったのに。


 おそらく動きに対して思考をあまり挟んでいない。

 読みどおり動いている。

 どれだけ訓練したのかがうかがえる。


 雷撃は暗器に対して放たれ暗記は金属なので通電。

 持っていた腕部分が無理矢理収縮されたがすぐに弾く。

 結構強いな……大丈夫かな?


 向こうの敵たちはこちらを取り囲むように回り込んでくる。

 ビラビリリくんは次の準備をしながら待ち。

 やがて囲み終わった相手は一斉に暗器を投げ……


「舐めているな」


 ビラビリリくんは伏せた。

 その咄嗟な動きで暗器たちはすれ違い……

 同時に雷撃を放つ。


 それもそうだ。

 電気を放つことは大きな空気抵抗を受ける。

 近距離で放てば威力が跳ね上がり方向にも範囲が持てる。


 つまりは全方向に向けて雷撃!

 ビリビリと電気が走る。

 さすがに距離的回避行動が難しくみな防ごうと腕を構える。


 高電圧を防いだとはいえ喰らって大きく吹き飛ぶ。

 これでせっかくの囲いが無駄になったが……

 それでもダウンや気絶をせずに再度構えるあたりこなれているし能力も高い。


 ぶっちゃけやりづらさがすごいある。


「こんなのにかける時間がもったいない」


 しかしビラビリリくんはまったく意に介していない。

 3人では相手にならないと踏んだらしい。

 素早く駆けて跳ぶ。


 4足での駆けは速く凄まじい圧だろう。

 襲いかかられた相手は身が固まっているように見えた。

 あれでは追撃を避けられない。


 予想通り近接蹴り込みを喰らい怯まされたところに連撃を入れられる。

 スキを逃さぬように周囲が襲いかかってくるが気にしない。

 獣の獰猛さを存分に見せつけ殴りかかっていく。


 多少寄ってたかって毛皮を斬りつけられようとも怯みもしない。

 完全に痛みへ慣れている。

 今まで丁寧だった動きが荒々しく変わる事で相手がうごきを掴みそこねているらしい。


 ただあの感じだと早さを重視して軽量の傷を無視しだした感覚かな。

 そうそう出来ることではないもののあのビリビリリくんはプロになったということだろう。

 そもそも軽量の傷を無視するというかとはまさしく相手にはならないという見せつけでもある。

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