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百三十二生目 荒野

 崖下へとたどり着く。

 ニンゲンの気配はしない。

 その代わりに目の前に広がる洞穴。


 ドラーグから降りて洞穴の中へと歩みを進めた。

 階段を降りて行き下までたどり着く。

 視界が開けたその先は……


 乾いた風が吹き抜けた。

 荒々しく岩があり隆起した大地がある。

 しかしそこにはたくましく生きる草花が生い茂っていた。


 荒野の迷宮。

 黄土色の大地がところどころむき出しになっている自然そのものの気候。

 時間はあまりずれておらずに夜か。


 空気は地上より乾いていると感じるのに濃密だ。

 おそらくは迷宮内特有の力が満ちているのだろう。

 活力がみなぎる。


「なるほど……確かにあの図鑑の絵のとおりでしたね」

「とりあえず近くを探ってみよう」

「はい! あ、ちょっと待ってくださいね」


 そういうとドラーグはその場で伏せる。

 すると緑色の鱗がじわりと変化してその場と同じ黄土色に染まった。

 あら便利。


「そんな事できたんだ」

「はい、生まれつき少しは目立たなく出来るんです」


 これでじっとしていれば多くの魔物たちは見つけることは出来ないかもしれない。

 においもごまかせれたら良かったんだけれどね。


 とにかく地理情報を入手せねば。

 光魔法"ディテクション"を唱える。

 レーダーを作動して一定範囲内の魔物反応などを見られるのだが……


 強化して広い範囲の情報を細かく入手。

 これにより私の頭の中でガンガン勝手に地形が記載される。

 つまりは地図だ。


「とりあえず私が魔法で地理情報を手に入れていくから、それと共に直接見て回ろう」

「ここに棲む魔物たちの強さも見なくてはなりませんしね」


 それはもうアヅキの言うとおりだ。

 あんまり魑魅魍魎(ちみもうりょう)ならばここを拠点にするのは諦めたほうが良い。

 気配を抑え歩み出す。


 地形的には極端なデコボコが繰り返されているような場所だ。

 地形的に高そうな場所へと向かう。

 ニンゲンならよじ登るのも大変な地形はドラーグとアヅキならば問題なく飛べる。


 それを繰り返していたら当然快く思わない者がいるわけで……

 吠え声と共にずらりと魔物たちが現れた。

 原住民たちだ。

 ハイエナ……の魔物かな。


[ワラエナLv.14 異常化攻撃:筋力低下]

[ワラエナ 強靭な顎は骨だろうと食べ巣窟には非常食の骨が常に転がっている。相手がつかれるまで追いかけ回す狩りは交代で何日も行う]


 鬼の面を被ったかのような凶悪な顔が14匹。

 それらの背後には少し大きな黒い覆面を被ったかのようなハイエナ。


[オコエナLv.3 異常化攻撃:暗闇]

[オコエナ ワラエナのメスが群れのリーダーとしてトランスした。群れへ指示を出し連携させ美しく狩るという]


 ハイエナリーダーが一吠えすれば14匹のうち4匹が前に出てきた。

 うち3匹が一斉に吠える。

 何らかの力のこもった音波だと気づいた時には既に耳に届いているわけで。


「ぬっ!?」

「うわっ、体が!?」

「筋力低下か!?」


 急に全身に重りをつけられたかのような違和感。

 大した差ではないがこれが筋力低下か。

 先程の"観察"で得た情報といい、これで追い掛け回されたら疲れ切ってしまうだろう。


「アヅキ、ドラーグは上空から攻撃を!」

「はい、空からなら奴らとて!」

「あ、は、はい!」


 まだ筋力低下になれておらず少し飛び立つのに時間がかかったが問題はなさそうだ。

 指示を受けなかったもう1匹は何をしているかと思ったら吠えてはいた。

 しかしこれはこちらに影響はない。


 そのかわりハイエナたちが漂わせる強さの気配が増していく。

 筋力強化とか疲労軽減とかその類だろう。

 それにしても私はトランスしてからみんな私よりでかい敵ばかりな気がする。


 ハイエナは知識上では体長が160センチ越えてたりするがこいつらも例外が無い。

 ばらつきはあるが私から見たらみんなデカイよ。

 ハイエナリーダーに至っては2m越えてるでしょ。


 トランス済みということはかなりの強敵だが今のところ指示だけで動く気配は無い。

 今の内に大型魔法でも仕込もうかな。


 当然彼等は吠えただけで止まらない。

 私めがけて飛び込んで来た。

 コレ自体は脅威ではないしおそらく食らっても大した問題はないのだが当たったら痛いし。


 避けた先にもう1匹。

 その先に置くようにもう1匹。

 例えるなら小石でも投げられたら少しは痛いから避けているのだが何とも息があっている!


 私の動きがここまで読み切られているのはハイエナリーダーの采配だろうか?

 幸い私の早さに向こうがついてこれていない事で何とかなっているが……

 さらに問題は上空にも起こっていた。


 上空から安全に迎撃しようとしたドラーグとアヅキだがそこは読み通りなのか。

 当然のように上空にも攻撃が飛んでいた。

 残りの10匹が順に武技を飛ばしている。


 牙のカタチをしたエネルギー体が空のアヅキ達を襲う。

 幸い早くないが遅くもない。

 連続して放たれると避けるのがかなりしんどそうだ。


 さらに私は"無尽蔵の活力"があるから問題ないがアヅキやドラーグは先程の戦いで行動力の大半を使っている。

 ここからは節約しなくてはならず直接攻撃がメインになるはずだった。

 なのに今は接近出来ない。


 だから作戦を変更する事を伝えた。

 "率いる者"を使い私から行動力とスキルを使って攻撃してもらう。

 火魔法"フレイムボール"や土魔法"ストーンショット"で敵の迎撃が出来た。

 やっとなんとかなりそうだ。


 使い慣れていないせいでぎこちないがそこは仕方ない。

 私は回避に専念しあの魔法を早く使おうと唱え続ける。

 1分ほど準備しているがまだ駄目か……!

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