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二百六十九生目 調子

 5大竜会議でひどい目にあった。

 私が中心で救済者なる世界の敵をおびき出して倒すとかなんとか……

 とりあえず保留にはなったけれど。


 その後は関係のない話が始まって私は中心からアウト。

 戻った後いろんな神使にあれこれ聞かれたあげくレグリアに誘導され個室まで帰ってきた気がするけれどあまり覚えていない。

 今私は天井を見つめている。


「つかれだ……」


 肉体的には何もしていないのにおそろしく疲れた。

 精神がぶっとんで疲れるとこうやってひたすら天井を見つめてぼーっとする時間になってしまうんだと今しみじみと実感している。

 あまりに激動だった。


 私の挟まる余地がなかった……

 まさしく激流に流されていたよ。

 あんなに5大竜たちがある意味恐ろしいとは。


 単なる力の恐ろしさはまだなんとかなる。

 しかし1番の恐ろしさは彼らの考えというか……根の部分。

 私はまだ神というのをちゃんと理解しきれていなかったかもしれない。


 特に蒼竜はあれだけ近くにいたのにあそこまで思想が恐ろしく寄って(・・・)いるとは思わなかった。

 きっと大半は無自覚で少しだけ自覚があるから厄介で……

 自覚の上でそこは諦観し馴染もうとしている。


 だから表面はまるで対面しやすい感覚なのに実際は天上から見下ろして私達をまさしく()と思っている。

 合わせようとしているのではなく合わせてあげようとしている。

 ただ虫の目線で見てみようと遥か高みから首をおろしてみたりするだけ。


 その時点で頭の位置はあまりにも高い。

 だが……それはもはや変えられない部分。

 頭を外し縮めることなどできないのだ。


 得体のしれない恐ろしさはあるが……

 それでも私は蒼竜たち5大竜とちゃんと向き合うしかないのだろう。

 私という下側の視点からしか見えないこともきっとある。


 考えれば考えるほど疲れてきた……

 今私に必要なのは時間だろう。

 色々ショックだったしどこまで蒼竜が私の基準からズレた発想をしているかはわからない。


 だから敵味方という二極面じゃなくもっと落としどころを見つけなくてはならない。

 そして私も……あのように基礎部分の違いが周りとあるかもしれないという自覚を。

 その上で多くの付き合いをしていかなくてはいずれ恐怖感を得てしまうのだ。


 きっとそういう違い自体が良いものだと思えるように今は時間がいる。

 だから天井を眺めているんだ。

 ひたすらぼーっとする時間がそういうものを作ってくれる。


 そう思っておこう。

 扉がノックをされる。

 少し寝ようかな……


 ノック!?


「ど、どうぞー」


 ベッドから立ち上がって颯爽と駆け扉を開ける。

 レグリア……かと思ったら扉うに居たのは。


「ごめんなさいね、眠っていたかしら」

「祖銀さん……いえ、起きていました」

「改めて、ちゃんと説明させてもらうわね。許可も取ってきた……まあ無理矢理にでも取ってきたから」


 祖銀だった。

 どうやらちゃんと説明をしてくれるらしい。

 無理矢理とってきたって……


 蒼竜や朱竜があれこれ言ってくるのをピシャリと制する姿が想像できる……

 祖銀を招き入れ机を挟んで座った。


「すぐに慣れろ、とは言いません。けれどワタクシも多少は転生者と縁のある身、取って食べようとはしないから、そう震えなくても大丈夫ですよ」

「……あっ」


 言われて気づいた。

 私が祖銀と向かい合うとわずかながら身体が震えている。

 まだ畏れているのか。


「すみません、身体が勝手に……」

「いえ、初の5大竜会議を中心で受けて気絶しないだけマシ……という話を聞いたことがあります。なのでちょっとしたものを持ってきました」


 そんな扱いなのか5大竜会議……

 祖銀が亜空間から取り出したのはティーセットだった。

 私が皿に注いでもらったのを少しずつ飲む。


 ……おいしい。


「なんだか、ほっとする……」

「それは良かった」

「……あ、会議の方ってどうなったのですか?」

「無事終わりになりましたよ。あくまで緊急的なものがほとんどだったので、日付をまたぐ必要もなく終わりました」


 終わったと聞いて心底安心した。

 証拠に震えが止まっている。

 この調子ならば普通に話もできそうだ。


 私は大きくため息をはいた。

 ホッとするあたたかみがお茶から広がる。


「とりあえず……起きたことを順に整理しましょう」


 祖銀が蒼竜などから聞き取りしたことを整理しながら話してくれた。

 私に目をつけたのは転生時。

 正確には私だけではなく転生者全員。


 蒼竜なりの基準をかいくぐったものだけがそのあと蒼竜と接触する。

 まず魔物であること。

 そして意外性を発揮すること。


 グレンくんは勇者として魔王を討伐した。

 これは意外性も何もまさしく運命の対決の末だから意外性の発揮にはならない。

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