二百六十生目 個室
5大竜会議いつ始まるのかわからない。
おかしい……パーティーは5大竜が来るまで続くらしいが。
一応日時指定されていたんだからちゃんと来てほしい。
つまり全員ある程度覚悟してきているわけか。
私もあまりに長そうだったらちょくちょく抜けておこうかな。
本番まで誰かが知らせるシステムあるようだし。
そりゃあみんな多忙だろうから何もかも忘れて遊ぶのは一時だけだろうしねえ。
パーティーは宇宙空間がよく見える窓付きの場所で行われている。
けれども時間を示すものはない。
太陽と月の交代劇もここは宇宙だからおこりうらない。
つまりすごく体感時間が狂う。
パーティーの整理整頓食事製造運搬とやってくれる謎の係がいるから余計に時間を忘れて遊んでしまう。
ちなみに謎の係というのはまさしく木で彫られたパペットたちが担当している。
彼らも翠竜の物なのだろうか。
そしてアレらと一緒にされると翠竜の使いたち物質系魔物は不満がると。
なるほど少し理解した。
鱗人種たちは生き物しか食べないかと思って居たけれど普通に野菜や切り分けられたローストビーフ的な何かを食べていた。
ちょっと料理に関しては『的な何か』になってしまう。
詳しく観ていないが何からとれた何を使った何なのか想像がつきにくいものばかり。
ちょっとあのローストビーフ的な何かを観てみようか……
[ギアーレのンロ・ラストライザ焼き 普段食することのない秘境にいるギアーレの特に貴重なラストライザを使い、ンロと共にルードロント製法を用いて慎重に丁寧に焼き上げました]
逆にわからないことが増えてしまった。
というよりこの説明文……だれかが意図的に書いている。
私みたいなのが探知系使うのを見越している……
こんなこと出来るのは当然探知系に優れた神たちだけだろう……
フォウみたいなのできるんだなあ。
「今は何時間たったのだろう……」
この場に意図的に時間を感じさせるものが配置されていない。
なんとか下にある星の光満ち引きで計算できるくらいか。
それも窓からぐっと覗き込まねば見えない。
時間を感じさせない乙な演出と見るか……
時間を誤魔化している謀略的なものとみるか。
どちらにせよ私は神の中ではかなり若輩者。
故に腹の減りと疲れでだいたい1日は理解できる。
すごく世俗的。
そんな常に食べ続けるタイプでもないしね。
というわけでどうやら半日たったらしい。
料理はこれだけの種族が入り乱れているのにもかかわらず少し濃いだけで美味しかった。
ある程度毒になるものも食べても平気な体というのもままあるが。
あと当然のように酔う原因となりうる品物は出されていなかった。
何が起こるかわからないからなあ……
神と酒って定番の失敗談あるし。
「おっとお嬢さん、おつかれかな」
「レグリア。ちょっとさすがにね」
「それだったら。おーい」
レグリアはどこからともなく現れ声を掛けてくれた。
レグリアもレグリアで神としてはよくわからないんだよなあ。
果たしてなんのために私へ目をつけたのか。
レグリアは手を鳴らしながら呼ぶとすぐに石のドールゴーレムが現れる。
「こうすれば、すぐに誰かを呼べるからね。意思を込めて叩くことが大事だよ。それなら拍手じゃなくても大丈夫だから」
「なるほど……今度やってみる。ありがとう」
「お嬢さんをベッドルームへ」
石のドールは肯定しすぐに動き出す。
私を誘導し歩んでいくようだ。
ついていこう。
レグリアはすぐに目を話してまた別の相手と会話をしだす。
この空間は異常だ。
こんなに遊びのものが少ないのに時間が異様に早く進む。
ただ対談と踊りそして曲と宇宙だけでは過ぎないほどの高速さ。
迷宮にも似たようなところはあるけれどここはその比じゃない。
やはり時間変更の結界でもあるんじゃないかな。
石のドールは近くの廊下を突き進みその先の扉で止まる。
ここがベッドルームか……
中へと入る。
いかにもな客室だが城というだけあって豪華。
そして集団ベッドかと思ったらどうやら個室らしい。
石のドールが私に鍵を渡してきた。
そのまま石のドールはかき消えるようにいなくなる。
どれほど鍵に意味があるかはわからないがここが私の宿泊施設となるらしい。
いや……こんなの用意してくれるぐらいならば早く来てほしいんだが。
とは言え贅沢は言えない。
部屋が豪華かつ完璧なセッティング。
汚すのがもったいないくらい。
とりあえず今日は神使と交流できて有益だった。
普段襲ってくるやつしかいないから……
今日はゆっくりやすもうか。




