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二百五十四生目 構築

 クオーツが炎の剣を錬金術で作ることになった。

 材料は……


「鋼鉄の剣そのものに、魔力炎石。それに……」

「さっきの木材を持ち手に使うんですね。あれ? この石は……」

「ああ、火山の悪魔か」


 火山の悪魔とはハードダイヤと現代では呼ばれる超硬質な石だ。

 1番手に入れるのに苦労しなにより石ころサイズですごく高い。

 お値段宝石。


 そんな小石を……

 ナブシウはためらいなく口に含む。


「えっ!?」

「これはな、私の菓子として頼んでおいたものだ。たまに我が神の持ってきてくれた事を思い出す味だ……」

「わ、私たちの苦労は一体……」

「苦労に見合う価値はおそらくあるぞ。私の歯を楽しませるということは、我が神を喜ばす欠片になれるということだからな」


 まったくもって特にうれしくない!

 それは別に錬金物ではなかったのか……

 仕方ないナブシウへまともに対応していてもキリがない。


 その間にも錬金作業は進む。

 1番の問題は鋼鉄の剣だろう。

 ほかは素材に分解されているがこの鋼鉄の剣をベースにして仕上げなくてはいけないから。


 クオーツも迷って剣を取ったり魔力炎石を取ったり見比べたりしている。

 正直私はどうやればいいかだなんてさっぱりわからない。

 チラチラこちらを見られても困る。


「ううーん……ようは燃える剣ですよね……? どうやれば出来るのかしら……木のところをちゃんと持ち手に変化させなければ火傷しちゃうのはわかるのですが……」

「お前が私の足元に及ぶ程度に力があるのなら別だが、そうでないのならひとつひとつ基礎からやれ。同時に分解構築するなど到底はできん」

「だったら……」


 クオーツはまず持ち手になる木材と化した枝と剣を持つ。

 そうしてすり合わせるようにして……

 (エフェクト)が起こっていく。


 クオーツを包むように発生した輝きは手元の素材たちも包んでゆき。


「まずは……金属の分解を行って……」


 持ち手の硬質そうなところが少しずつ砂のように変化していく。

 あそこまでできるようになってすごいな……

 難なくとはいかずニンゲンならば額に汗を浮かべていそうなくらい必死だが。


「分解した金属は良く木材と織り込んで使えばいい。ただの鍛冶仕事ではなく錬金術なのだから、そのような再構築ができる」

「なるほど……それでは、ここは……」


 時間をかけてバラバラにしたあとよく木材粒子とも混ぜる。

 そこから錬金術をもちいて結合させていく。

 必死に時間をかけて出来上がったのは……


「まずは……第1段階」


 まるで鋼のようなのにその表皮感覚は確かに木材。

 よく持ちやすいようにされたそれは磨かれたかのようにザラつきもない。


「本体はそのままでは魔力石に込められた力は発揮できん。ただ炎素を移すのではなく、変質させろ。先程までのことをしっかり思い出しながらやれ」

「変質……ううーん……? 難しい……」


 さすがにクオーツもナブシウの難題に頭をひねりつつ作業を続ける。

 本来使うだけなら魔力石をコアにして鋼鉄剣の刃に付与すれば良いだけだ。

 しかし錬金術ではそういうことではないらしい。


「私が見た中で今の話に近いのは、使用者がエネルギーを流し込むと何かが起こせる武器があったけれど、それに近いことをしようとしている?」

「なるほど! それなら……」

「まあそうなるな。元の質を燃えれるようにしてしまうわけだ」


 クオーツが私の言葉で何か気づいたらしく作業の手が早くなる。

 変な動きをしているようにしか見えないがクオーツ的には重要な錬金術行使の動きらしい。

 やがて鋼鉄剣の刃部分が分解されていく。


「さっきみたいに魔法石をバラバラにしたら、また炎と魔法石の欠片たちになるだけだったんです。けれど、さっきみたいに……私が燃えた時のを再現すれば!」


 クオーツを包む(エフェクト)がどんどんと強まってゆき手に持つ魔法石や足元の鋼鉄砂たちも包まれていく。

 もちろん取っ手部分も飲まれてゆき。

 やがて光り輝く状態で維持される。


「な、ナブシウ? これは?」

「なんだ……? わからん。過剰反応を起こしているのか?」

「えっ、止めないと!?」


 ナブシウは否定のポーズをとった。

 そして静かに光を見つめる。


「まだだ。まだ嫌な感覚がない。恐らくは何かが……起こる」


 ナブシウを信じていつでも動けるようにだけしておこう。

 やがて光は激しく爆発するように一瞬拡散して。

 凄まじい風圧とともに中からクオーツが出てくる。


「ど、どうなった……?」

「見ろ……どうやらとんでもない結果を叩き出したみたいだぞ」


 クオーツはたしかにそこにいた。

 しかしその体を赤く火照らせ。

 なおかつ右腕の先から長く伸びる剣。


 握っているわけではなくつながっている!

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