二百四十九生目 休憩
私はナブシウの錬金術をやることに巻き込まれた。
ナブシウはクオーツを引っ張るようにさっさとこの場を離れていき……
私は列に並んでいる。
「ええと……」
メモの中身は錬金術に使うものらしい。
[1、鋼鉄製剣 ニンゲンの振れる長剣やら短剣やらと書かれているもの
1、炎岩砂 品質問わず1kg以上
1、魔力石Ⅲ 品質はこれで能力指定は無200g
1、火鳥の尾羽根 1枚で良い
1、朽ちた大悪樹の枝 生きたものは持ってこないこと
1、火山の悪魔 純度はどうでもいいが質は良いものを]
うわ……あんまり知らないものもある。
というかなんなんだ魔力石Ⅲって。
そんな魔力石知らないぞ。
品質はと書かれているあたりもしや質を指すのか?
なんとなくナブシウの知識が古すぎて今はそう呼ばれていないものが多そう。
思ったよりも苦戦するぞこの買い物……
メモは全部おそらく古代の文字で記されていた。
私が読めない可能性を考慮しなかったあたりいつもどおりだなあ。
仕方ない。少しずつ探そう。
「こんにちは! 買い用窓口っす!」
「すみません、買いたいメモがあるんですが、それぞれのものがちょっとよくわからなくて……多分古い言い回しだと思うんですけれど」
「えーっ、お年寄りからの頼みっす? 仕方ないなあ、ちょっとオネエチャンに言ってみるっす」
なんでこの窓口さんなんとなく軽いんだ……
そもそもお姉さんとは。
私を知らないタイプの魔物も多く増えたし私の容姿的にどうしても小さく見られるのだろうか。
とりあえずお言葉に甘えて上から順に口頭で伝える。
ただやはりというかなんというか。
「ええ……ぜんぜんわかんないっす」
「まあそうですよね……」
「ああでも……ちょっと待ってくださいっす。魔力石は品質を示すって話でしたっすかね?」
「あ、はい」
窓口の方は裏に回って何かゴソゴソと動き……
やがて何か紙束を持って帰ってきた。
「あー、あったっす。むかーしの表記のなごりで、今も似たような品質わけが場合によってはされているから、それと同じようなモンっすね」
「おおっ、本当ですか」
期待していなかったがまさかのヒット。
外しているかもしれないがなにもないよりは良い。
さらに……
「ああー……もしかするとじゃあ……おーい、オヤッサン」
「なんだー? お客様の前ではちゃんと名前で呼べと……これは?」
「そのお客様から聞き取ったメモっす。どうやらかなり古い言い回しっぽくて、推測でもそれっぽいの当てられないっすかね」
「うーん……? なるほど、とりあえずこの相手には裏へ回ってもらえ」
「りょーかいっす。お客様ー! 一旦中の休憩所に案内しますので、そこでお待ちくださいっすー!」
「は、はい」
別の人にその場まで案内され……
屋内椅子が沢山ある場所まで案内され座らされた。
私だけいるわけじゃなくて様々な理由で待っている魔物たちがここにいる。
こういうところの椅子で足がない低いものがありそれに座る。
しばらく待つと窓口の奥にいた声だけ聞こえていた男の方が来た。
顔や全身が長い毛で覆われガタイの良いヒト型魔物で確かに見た目がオヤッサンだ。
「おまたせしまし……ローズ様!? 創立者の貴方様がここに!?」
「あ、はい。そこまで固くならなくても大丈夫です」
どうやら彼は知っている方らしい。
すまない……なるべくみんな把握したいとは思っているんだけれど多すぎて無理。
「はい、本当に教育不行き届きでもうしわけありませんっ」
「ああ……と、とにかく調査の結果どうなりました?」
オヤッサンの体が前へガッツリ折れてしまった。
こういう真面目なタイプはあんまりどうこう言わないほうが良いだろう。
忖度の狭間で潰されてしまう。
「それなら、この通りビンゴでした。多少予測込み、まだ穴がありますが多くは目処がつきました」
「おおっ」
リストを見せてもらうと予測と品揃えが書かれていた。
中身は……
[炎岩砂→燃ゆる石の灰、燃ゆる岩の灰、燃ゆる水晶の灰などのシリーズの模様。品質はこの種類を指す
火鳥の尾羽根→伝説の魔物フェニックスの尾羽根の可能性があるが、恐らくはレッドクックという魔物の尾羽根
朽ちた大悪樹の枝→生きている状態を否定したのと名前から推測しデータを探り、天日乾しシメレイジュの枝と判断。シメレイジュは朽ちたような見た目、意図的に森への潜入者を惑わせ、枝から発する邪気で相手をあやめるという特徴、大きいというのと生の枝はまだ不意をついて攻撃することがあることから判明。
火山の悪魔→魔物の事か悪魔汚染のことかと推測中だが見当つかず]
す……すごい!
本当にほとんどの特定を終えられている。