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二百四十七生目 錬金

 商会代表のふたりと会えた。

 商会たちもこの競売場に深く関わっているのだ。


 そもそも商会だって専門的なものを売りたいし買いたいのだ。

 ただふつうにやっていたら取り扱えない品々は多く許諾やら場所確保やらちょっと特殊な管理方法やらあんまり迂闊にできない。

 そこを街や国そして他の商会パワーを借りてどうにかするのがこのシステムでもあるのだ。


 そのため初日なのにもかかわらずたくさんの出品と近隣国の取引履歴がある。


「ははは、大自由市場ですか! 夢がありますなあ」

「我々商人は利益になると思ったときにしか、理想を口にしません。しかし、おそらくは近々またこのことを話す時が来るかと」

「ドラーグどのにもよろしくおねがいじます」

「その時を楽しみにしています」


 割と真面目に楽しみ。

 皇国の民間能力を高めるには必要な施設だからね。

 片方の商会は昔から関わりのある団体。


 ドラーグと仲のいい商会だ。

 

「そうそう、深い質問ではないのですが……我々ふたり、どちらが恰幅よいですかな?」

「え? 恰幅、ですか?」

「ええ。ああ、もちろん直感で構いません」


 そうだなあ……

 直感的にはドラーグと関わりのある商会さんのほうが見た目恰幅あるかな。


「あなた、かな?」

「ははは、勝ち抜けですな、ではローズどの、また」

「おお、やはり竜の加護を得ていると言われる御方は強いですな……私も商人の端くれとして、立派な体になりたいものです」

「商人って恰幅が良いほうが良いのですか?」

「もちろん。不健康に痩せた者の売るものなど、信頼はありませんからね。何よりコレのにおいがしない……おっと、ローズどのはローズどのですから、別の話ですよ! では私も」

「はーい」


 硬貨のマークを指でかたちづくりコレと言っていた。

 なるほど……

 彼らは笑いながらどこかへと去る。


 恰幅が……つまり太って線の太いほうが良いとされる環境……

 そういうものもあるのか。

 世界は広いなあ。


「あ、あいつらはもう去ったのか?」

「うん、もういいよナブシウ」

「ふう……全く困ったものだ」

「う、うーん」


 壁にされていたクオーツは苦い顔。

 まあそのうち慣れるよ……

 それはともかくとして。


「ナブシウ、そういえばさっきなにか言いかけていなかった?」

「そうだ、お前クオーツだったか、我が神の一端、錬金術の力を使いこなせ。さすればお前に未来が訪れる」

「錬金術……? 一体突然、どういうことなんですか?」


 何を言い出すかと思いきや突然の勧誘が始まった。

 錬金術とはナブシウが使う技術で……

 生成された武器から金属を成分ごとに取り出せる。


 非常に現場で役に立ったらしい。


「その身体……テテフフライトが一定以上に純度があれば、非常に錬金術に適した媒体となりうる。その体はまさしく錬金術を極めるために出来ていると言っても過言ではない。錬金術師に教わるといい。都市ならば何人もいると聞く」

「……え?」

「錬金術師……? いや、知識としてはなんとなくあるけれど……」


 錬金術師とはまさしく錬金術を行使するたちのもののこと。

 主に薬の調合や薬剤の処方する。

 ぶっちゃけ……


「……今は錬金術師じゃなくて薬剤師ってよぶはずだけど」

「……うん? 薬剤師? 何を言っている、薬の錬金は金属錬金の亜種みたいなものだろう」

「いや、それは今製錬って作業で鍛冶師が行うものだし……」

「……どういうことだ? 我が神のまだ起きていた頃に教わった話では、それは錬金術師の分野だろう。確かに勇者の剣を作る際は田舎鍛冶ばかりがいて、錬金術もまともに見たことがない輩ばかりだったようだが」


 なんだか話が噛み合ってない気がする。

 そもそもナブシウの神が起きていたころっていつなんだ。

 相当過去のはずだぞ。


「錬金術師、錬金術師……わたくしの知識ベースのものと、ナブシウさんの話では、一致している部分が少ないですね」

「そもそも錬金術とは、この世の元素を探り複数の物質の構築を変化させる技術であり分野だ。我が神の(もたら)す高尚なものであり、お前らの言う物たちは似ても似つかないものだが……」

「まさか、現代では錬金術が科学的要素になり、細分化しちゃって残っていない?」

「なっ!?」


 なんとなく推論を言ってみたらナブシウは雷が落ちたような衝撃を受けたらしい。

 いやまあ世界の常識がいつの間にか変わっていたと知ったらびっくりだよね。

 おそらくその前っていうのは例の遺跡なんかが健在都市だったころの話だろうけらど。


 だとすると少なくとも魔王戦争以前の話になる。

 何世紀遡れば良いんだろうか……

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