二百四十六生目 利益
競売場にきたらナブシウを見つけテテフフライトを見せたらひったくられた。
「この石は我が神の齎した福音のひとつ。わが神の蓄えている宝物にも見たことがある。これほど大きい物、もしや宝物庫から盗んだものでは……」
「いやいや、そもそも宝物庫を知らないし、これはテテフフからもらえたんだよ?」
「なっ、叔母から!?」
今度はナブシウが引いて離れる。
その間にテテフフライトを回収した。
テテフフという蝶型魔物を叔母と呼ぶのはそレほどまでに古くナブシウの神と仲が良いかららしい。
「まあともかく誤解は解けたようで良かったよ」
「叔母が……そうか……むしろより酷いことが起きているような……」
ナブシウが何かぶつぶつと自分の世界に入り込んでしまった……
本当に大丈夫なのか?
かなり不安なんだけれど。
「ナブシウ?」
「まあ、いい。それよりもテテフフライトを手放すな。我が神の恩恵を叔母からもらったのならば、売り払うよりも考えることがある」
「うーん、でもゴーレムを作った残りだから、少し持て余しているんだよね」
「ゴーレムを作った!? テテフフライトでっ、どこに、いつ?」
「おっ、落ち着いて」
わりとめんどくさいことになってしまったかもっ。
でもまあ隠すことでもないので……
クオーツのことを話すか。
と思っていたらフヨフヨと近づく影。
そう噂をすれば影というやつだ。
「あれ、ローズ様! さらにお友だちですか? はじめまして、ワタクシクオーツと申します、以後お見知りおきを……」
「わああっ!?」
……不意打ちで知らない相手に声をかけられたナブシウはまた震えて固まってしまった。
ナブシウ……
話が進まない……
でもちょうど来てくれたのは良かった。
「ナブシウ、あのゴーレムがテテフフライトから作った相手なんだ。ローズクオーツって言うよ」
「そ、そそそうか、ふうぅー……足音もなく空から忍び寄られるとは……それで、ローズクオーツだったな、我が神の最高傑作の1つである私、ナブシウを拝顔する栄に浴する事、許可する」
「は、はあ……よろしくおねがいします! クオーツで大丈夫です!」
ナブシウが頭を振って思考を切り替えたらしい。
それに対してクオーツはついていけず呆気にとられたが……
なんとか持ち直した。
と思っていたらクオーツが私に近づき耳打ち。
「……今、知識の中に彼がいたのは分かりましたが、ここまでなんですね……他者の知識と直接会うのとではまるで威圧感が違います」
「あ、あはは……」
それはもう苦笑いするしかない。
私も初めて会ったときは圧倒されたもの。
「ところで、わたくしの話とは?」
「そうだ! お前の体、テテフフライトでてきているそうだな。そのテテフフライトは我が神の恩恵による賜物、我が神にかわってしっかり見届ける義務がある。よく見せろ」
「え、え?」
そういえばクオーツは前世ニンゲンだということは伝えてなかったな……
まあむやみに伝えないほうが良いだろうけれど。
クオーツはあまり物を欲しがらず服もいらないと一蹴されてしまっていたが……
いまナブシウに全身をくまなくまさぐられるという事態に陥っているしやはり何か着せたほうが良かったかな……
まあクオーツは困惑しつつも楽しそうにしているからいいかなあ……
「アハハ、なんだかくすぐったい!」
「ふむ、存外テテフフライトとしての純度や造りが高度だな、ならば我が神の……」
「おおっ、ローズどのではないですか?」
おや?
近づいて来る足音が2人。
そんなことを思っていたら恰幅の良いふたりが現れた。
「オアー!? また新しい奴がきたっ」
「え!? どうしてわたくしに隠れ……ええっ」
「おや、ご友人との歓談を邪魔してしまいましたかな」
「いえ、大丈夫ですよ。この度は協力ありがとうございます」
スッと私はホリハリーに近い2足歩行型に変化し服を表出させ握手する。
ニンゲンはイバラや前足そして当然においかぎや鼻合わせは嫌悪感を示すためこうなる。
服は着たほうが礼儀正しいとされているしね。
それと……ナブシウから目をそらす効果もある。
さすがにあんまりにもあんまりだから助け舟だ。
「どうもどうも」
「いやはや恐縮です。まさか競売場の立ち上げに皇国で携われるとは、我が一族の商会で恒久的な名誉になりますとも」
「こちらも本当にありがとうございます。これを機に皇国で本格的な導入をし、皇国内ラインをつないで大自由市にしたいですね」
ナゼ競売場だなんて作って商会から反発を喰らわないのか。
理由は簡単。
そもそもたくさんの商会が協力して作り上げ利益を上げているからだ。




