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二百二十六生目 岩棘

 マンドラに連続攻撃を叩き込む。

 炎が無効化できているだけで力の差は確実にある。

 ロイドからもらえた力でこのまま押し切るんだ。


 反撃の炎噴出を無視しつつ横に回り込み蹴り飛ばす。

 ぜんぜん威力がでなくて全部浅いけれど……

 マンドラの身体は気づけば針だらけに。


 そりゃせっかく近接で殴るんだからね。

 ついでに刺しておいた。

 少しずつ針が光に消え血がどんどん抜けていく。


 マンドラは改めて踏み込もうとして足を崩す。

 血が抜けて力が入らないのだ。

 あとは……!


「グッ、く、くく、無駄だ、一時的にお前は追い込めるだけの力はあるようだが……そこまでだ」

「ウ?」

「お前の攻撃は……軽すぎる……この俺に深手を与えることはできない……今は見逃してやる、だが次会うときは……」


 あ。それなら大丈夫です。

 地魔法"スパイクロック"っ。

 大地に複数亀裂がはしり弾けて空に舞う。


 砕けた地面は(エフェクト)を帯びて大きなトゲとなる。

 まさに無数の槍。


「おお」

「なっ、なんだこれは、知らない、さんざん殺してきた俺が知らない……!」

「ミヤッ」


 行けっ。

 トゲたちは逃げようとするマンドラの身体に飛びかかっていく。

 全方位から串刺していき……


「俺は、最強のっ、う、うああぁぁぁーー!!」


 ……やがて1つの岩塊として閉ざされた。

 こだました悲鳴はもう聞こえない。

 場にはロイドの荒い息遣いのみが響いていた。


「お……終わった……のか?」

「バフッ」


 うん。完全に圧殺したよ。

 普通ならね。

 岩が自然に砕けていく。


 中からこぼれ落ちたのは気絶して目を回すマンドラ。

 "峰打ち"をオンにしておいた。

 行動力を使わないので勝手にできるのだ。


 骨がいくつかあらぬ方向に曲がっているもののまあそのぐらいは勘弁してもらおう。


「こ、コイツ……今の攻撃を喰らっても生きてやがる……なんて強さなんだ……っ」


 若干ロイドが勘違いしているがまあいいか。

 話せないし。











 その後ロイドは私を石にしまって帰還した。

 マンドラは発煙する火だけ置いて離れた。

 どうせ動けないし冒険者ギルドで応援をよんでマンドラを捕獲してもらう次第だ。


 マンドラの話をしたら自然に私達が受けていた依頼は達成とされた。

 5羽間引けば良いのにマンドラが虐殺していたからね。

 普通なら破棄あたりになるけれど私達が原因を狩りそもそも4体まで倒していたことが特別達成認定とされた。


 それに……ウサットたちの死体をロイドが狩猟袋から見せると。


「これだ」

「え……っ? ほ、本当に死んでいるのですか?」

「もちろん、起きないだろう? 血抜きは済んでいるから腐る前に売り払いたい」

「少々お待ち下さいっ」


 机の上に並べられたウサット4体をギルド員の方が虫眼鏡のようなもので覗き見る。

 かなり驚いている様子だったが……


「血抜きの跡は……ここ。でもそれ以外は……生活傷以外はない……!? 自然死は……ないか。しかしここまで丁寧に外傷がないとすると……」

「いや、オレも詳しくはわからないんだ。ただ、連れの召喚獣に頼んだら、魔法か何かでシメてくれたんだ」

「ああなるほどわかりました、だったらこちらを使います」


 様々な虫眼鏡風の道具を使いこなしていたギルド員は今度万華鏡みたいに見える筒に目を通す。

 途端に感嘆の声を上げた。


「素晴らしい……ここまできれいな魔力痕はなかなかありませんよ。よほど良い魔物を召喚獣にしたのですね」


 ……召喚獣は基本的に魔物をすると思われている。

 いやまあ私みたいなタイプもいるからいないこともないんだけれど。

 実際は神の分神だ。


「そうなのか?」

「魔力痕からわかる限りでも魔法にムラやムダが限界までありません。人の技ではまず無いでしょう。さらに言えばいまだに魔力がこの死体に宿っていて、むしろ新鮮な死の状態で保護されています。魔力の利用価値もさることながら、これを使う召喚獣というのはすごいものなのですね……」

「召喚獣自体がマイナーなのでよくはわからないけれど、オレのこいつは、凄く強いさ!」


 どうしても冒険者としては自分の力を分け与えつつ戦う召喚士はあまり人気がない。

 ガス欠になりやすくそれなのに自分の活躍感は薄いからね。

 それはともかくなんだか高評価受けているな……


 まあそれはありがたい。

 ちゃんと狩れた証になる。


「この4体に関しては、かなりの高値をお約束できるかと」

「おお、やった! な、ニーダレス」


 軽く石を揺らしておく。

 ロイドは気づいたらしく軽く石に触れたようだ。

 石に対して触覚はないのでなんとも思えないけれど。


 それでもなんだかこういう変わったカタチでの付き合い方も良いなと今思えた。

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