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二百二十三生目 危機

 聖魔法"オーロラオブデス"の即死効果で狩りを成功させた。

 ロイドは調子にのって狩りを続行。


「ほらっ、これはどうだ!」

「バフッ」


 対峙したウサットに"オーロラオブデス"!

 オーロラが降り注いでしまえばもう相手は死ぬ。

 本来相手が死んでしまうためと即死という性質上効く相手は限られレジストされやすいことから使えるのはこういうときくらいだ。


 "オーロラオブデス"は噂によると天へと昇る光とも言われ痛みや辛さをなくして即死できるという。

 もちろん理論上の話で食らった相手から聞いた場合はほとんどないだろうが。

 なにせ復活系はほとんど死後の前後記憶が吹き飛ぶ。


 私達神みたいな抜け道がないとね。


「よっしゃ、今度はアイツだっ」

「フッ」


 新たなウサットに向かって"オーロラオブデス"。

 来世はこんな終わり方ではありませんように……

 それはそれとして狩り。


「さあ、4体目!」

「クフッ」


 "オーロラオブデス"を発動。

 5羽のうち4羽死んでもらった。

 わるいけど狩りなのよね。


 死んだウサットはロイドが手早く血抜き処理する。

 出来得る限り毛皮に傷をつけたくないように見えた。

 ひと通り血以外は使いみちがあるということか。


 私は冒険者稼業で狩猟を受け持つことはほとんどないのでちょっとドキドキする。

 イタ吉はわりとそっち方面にも強いはずだが。

 私のしていることは彼らには許されないだろうけれどこちらも生きていくため故にゴメン。


 次が最後になるか……


「ふう……お前めちゃくちゃ効率いいな……オレの出番は指示するぐらいしかないな。あの魔法詳しくはないが、そもそも大きな魔法はオレではとても実戦に耐えうるエネルギーじゃ足りない。召喚獣ってこういうものなのか? すげえ助かるな」


 どうなんだろう。

 比較はできないものの過去戦った相手では少しは効率が良さそうだったけれどそれでも干からびかけるまで吸われる戦いも多そうだった。

 やはり相手によるとしか言えないと思う。


「バフッ」


 まったく話せないから伝わらないが。

 また雑に私の頭を撫でてきた。


「よしよし。そういえば、お前の名前なんて言うんだ? さすがにずっとお前だと呼びづらいしな……」


 うーん名前か……伝え方があれば良いんだけれど。

 多分今聞かれているの召喚獣としての私……ニーダレスのほうだろう。

 名前……名前か。


 ……あっ。

 単純なことを忘れていた。

 私は手先から針を1本出す。


「うわっ、そんなことも出来るのか!? 痛くないかそれ」


 生やしているだけなのでまったく痛くないです。

 この針をうまく使って……

 地面に溝を掘っていく。


 言葉はさっき"観察"したときに理解した。

 街なかに溢れていた言語と一致している。

 これで……良いはずだ。


「えっ、なんだ、これ……文字か!」


 ロイドが困惑している間に書き上げた。

 ブロック体だしロイドが標準的な文字学習を受けていれば問題ないはずだ。


「お前……意外にかしこいのか?」


 すごい真面目な顔をして言われた。

 召喚獣の召喚される先をなんだと思っているんだ。

 いや確かにもっとシンプルなエレメンタルな存在が喚び出されることもままあるらしいけど!


 さすがにこれまでの行動に少しも知性を感じてもらえてないとは思わなかった。

 やはり4足だとどうしても見下されがちなのだろうか……?


「いや、そんな目するなよ……悪かったよ。なになに、にーだれす、ニーダレスか。改めてよろしくな、ニーダレス!」

「ワフッ」


 あと私個人のネームだと身元が割れてしまう可能性がある。

 なるべくならそこはプライバシー保護でお願いします。









 最後の5匹目を探して歩くロイド。

 私はロイドのベルトにある石で待機中だ。

 私を外に出しているだけでじわじわ行動力を取られるらしくこまめな出し入れが大事らしい。


「おかしいな、さっきまではテンポ良くいたのに」


 目標のウサットがなかなか見かけなくなった。

 というより他の魔物もなんだか見かけないような……

 ……うん!?


 なんだこの気配……血の気配だ。

 剣呑な空気を……殺気を感じる。

 ロイドも何かおかしいくらいは感じたらしくライフル銃を構える。


 少し歩けばそこにいた。

 ウサットが。

 ただし……首を鋭利な牙で貫かれ無残に食い散らかされている姿が。


 さらに言えばウサットだけではない。

 たくさんの死がそこに積まれ。

 雑に食い荒らされている。


 当然場の主もいる。

 ハンターと称するのが最もふさわしい気配。

 長い尾を揺らす獣は私達にその返り血を浴びた顔を向けた。

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