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十二生目 逃走

 はい、おはようございます。

 本日はあまり天候が優れてないですね。

 実に大雨といったところ。

 え? 昨日で雨は止んで今は晴天?

 知らんがな、私の気分の事だもの。


 そんな世間話はイタチとすることは叶わない。

 流石に相手の言語まで理解できるほどの付き合いではない。

 濡れに濡れた上不味いきのみ食べて寝ようとしたらカマを両手に持って追い回される夢を延々と見させられた後で起きたらこっちを睨みつけるイタチ。

 これで気分が優れる人はよっぽどドMだ。

 あー体中痛い。

 血は完全に止まっているしおそらく怪我も結構治っている。

 人間ならしばらく病院通って何針も縫わなきゃならない程度には傷が残っていたはずなんだけど。

 魔物パワーというやつか。

 ありがたい、傷を残してこんな所で寝ていたら破傷風にならないかひやひやした。


 そもそも群れから出ること自体が最悪な事だ。

 まともに寝れず風音一つにビクつき緊張しながら見張りなしで野外就寝。

 もちろん疲れは取れず言われずとも自覚するくらいイライラしている。

 イタチも殆ど寝れなかったらしく見るからにゲッソリしている。


 あー、そうかあ。

 昨日私という獲物を取り損ね空腹のまま私を警戒し続けながら寝るのはムリがある。

 おまけに血を流し過ぎたし雨で身体も冷やした。

 果たして残りかろりーはどのくらい少ないのか。

 向こうから見た私もひどい有様に見えるだろうか?

 見えるだろうなぁ。

 同情から余っているきのみを弾き飛ばして渡したらそのまま弾き返された。

 同時になんだか馬鹿にされたような雰囲気。

『え? これ食べるの? ないわ〜。こんなの食べてるの? ないわ〜』みたいなこと言っているぞあれは。絶対そうだ。

 肉食獣め、肉しか食べれない自身を呪いながら飢えてしまえ。




 さて、私は昨晩のうちにスキル類を確認し終えていた。

 まずはレベル。レベルは12だ。

 正直この成長期にしてはそこそこ強いと思う。

 一気にレベル上がったのはやはり命のやり取りのせいか。

 命のやり取りする必要なければレベル上げる必要もないんだろうけれどそんなに現実は甘くないしね。

 その甘くなさは睨んでくるイタチが教えてくれる。

 スキルレベルはいくつか上がっている。

 ここまでの訓練の成果+今回の戦いで色々と。

 防御レベル5。命綱。

 カウンターレベル3。今回の活躍スキル。

 串刺しレベル4。今回の名脇役。

 光魔法レベル2。これが無ければ100回は死んでいた。


 追加魔法はこんなところ。

[ディテクション 一定時間自らの感覚で察知した危険なものや安全なものを脳内に分かりやすく表す]

[アンチパライシス 身体が動けなくなる麻痺等の症状を治癒する]

 ディテクションは使ってみたら一発で理解出来た。

 今まではスキルツリーやらログやらはハッキリと想像内で見えていたがそこに突如小さな簡略化された地図が出てきた。

 自己を中心にした目や鼻それに耳等で何となく理解しているものが書き込まれている。

 雑ながら地形が線で表示されるのはありがたい。

 まず数メートル離れた位置に黄色の点。

 イタチだ。

 おそらく相手が警戒している味方ではない相手。

 緑の反応が小川の中にいくつか。

 魚の魔物かもしれないがこちらに気づいてはない。

 これは私がいつの間にか耳で拾っていた位置を参考に書き込まれているわけだ。

 意識すれば白色の点が多数あちらこちらに。

 これは無害、というか私が食べれるリストに入れているきのみだろう。

 私も薄々思っていたがきのみたちはたっぷりある。

 正直今いると思わない限りレーダーに表示する必要はないだろう。

 意識して消せばそれらはなくなる。

 便利だ。

 ただ、まだ鍛えてないせいか2分か3分ほどで消える。

 私には幸楽による行動自動回復があるから回復分ある程度相殺するはずだ。

 アンチパライシスは読んで字の如くという奴だろう。

 厄介な時に使おう。


 次にスキルポイントが3あったのを新たに振って獲得したスキルたち。

 防御から"回避"を獲得。

 ハが前獲得していた避けやすくなるスキルだ。

 今回のでよくわかった、避けるは正義。

 そして残り2つ。

[土耐性 土系統のダメージを軽減し恩恵を増大させる]

[行動力節制 あらゆる行動力の消費を抑える]

 土耐性は光魔法からの派生で、これ単体は別に取る意義は薄そうなんだけれど何となくスキルツリーの傾向が見えてきた部分があって……これの派生はその読み通りだった。

 ただスキルポイントがまだないので楽しみに取っておく。

 光耐性と同じく常時発動型で行動力は関係しない。


 行動力節制は読んで字の如く。

 幸楽からの派生で、今回の件で絶対に欲しくなったスキル。

 行動力が無いなんて野生では恐怖だ。

 身にしみた。

 泥沼化した戦いの時いつ行動力が切れるかという恐怖との戦いだった。

 おかげでやりたくもない血を流しながらの戦いを繰り広げたのは記憶に新しい。

 戦闘終わった後も観察に優先的に回したし痛みに耐えて寝るのは苦痛だった。

 レベル1では大して減らないだろうがなに、どんどん鍛えれば良いだけだ。

 幸楽と組み合わせて行動力をより多く確保出来れば気にせずにスキルを多く使用して生き延びれるというものだ。

 もちろん、しなくていいならしたくないが。

 幸楽、行動力節制共に常時発動型だ。

 まあこういうのはだいたいそうなんだろう。



 私が起きて朝食を取り軽いストレッチを済ませても同じ距離にイタチがいる。

 あいつ……どっかに狩りにいけば良いのに。

 私が気になって仕方ないというのか。

 仕方ない、拠点は変えるつもりは無いし照明弾を打ち上げしよう。

 私はライトを空に打ち上げ消えるまで強く発光させる。

 白だと太陽に負けがちなので別のカラーにしたい。

 打ち上がったライトをイタチが目で追っている。

 ……今なら振り切れるかもしれない。

 木にこっそり針の跡を残し我がホームを記録。

 そしてダッシュ!

 ハハハ、レベルが上がって素早さも増している私に追いつけるかな?

 いや、むしろ私なんて忘れ勝手に狩りに行ってもらって構わないのだよ!

 ハハハハハ。


 ははは……

 なんで距離が変わっていないんですかね。

 振り返らずとも足音聴こえ、私のディテクションが常時変わらない距離にある黄点を示す。

 当然のようについてきてやがる!

 いや、距離的にも立場的にもあれはつけてきやがってる!

 振り返れば『なにやってんの?』と言いたげな顔!

 そのままそっくりお返しする!

 ダーク!

 私後方中心に長く長く走り続けるほどに長く闇を生成!

 暗闇の中で彷徨えい!


 ……迷いがねぇ!

 あまり離れすぎないように折り返しながら走ったのに普通に暗闇の中つけて来ている。

 夜に狩りをする奴をナメていた。

 一寸先も見えない闇で足を止めないとかスキルで聴覚強化とか嗅覚追尾とかあるに違いない。

 ダークやめ! 意味がない!

 ならば、さっきの小川方面に!

 レーダーを確認しつつ緑の複数点がある場所へ。

 小さいから勢いをつけて飛び越える。

 緑の点が黄色に変化。

 そして振り返って"ウォーターリップル"!

 私は初めて使うから勝手がわからないが奴を止めるために威力強め!

 私がスキルを念じながら水に前足を突っ込むと途端に波紋が広がる。

 むしろ波紋というよりか波になって、水が意思を持つかのようにイタチに襲いかかった!

 イタチはそれに戸惑いつつも突っ込む!

 そして……


 スタッと私の近くに着地しやがった。

 しかも迎撃頼みだった魚の魔物を口に咥えてる!!

 観察を発動しログを開く。

[ニシママズ レベル2]

 咥えられる程度には小さいうえレベル低ッ!

 爪を使うまでもなくそのまま食べられているし……

 満足そうな顔しているけれどお前のために獲ったわけじゃねーから!

 生で魚食べて寄生虫にやられても知らねーから!

[観察 +レベル]

 あ、今ので観察レベルが増えた……

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