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百九十九生目 拳上

 ノーツの足払いが炸裂。

 キレイに低く姿勢を保ち蹴り込んだ足はもともと足技中心になっていた敵ゴーレムの足をすくい……

 浮き上がった。


「上空支援により脚部へのダメージ成功率95%」

『それ結構外しますね……でも当たったので大丈夫!』

「ヴヴ!」


 背中から思いっきり打ち当たり衝撃で腕を離してしまう。

 つまり……

 悪魔の目がむき出した。


 これだけハッキリすればもう大丈夫。

 高速かつ柔軟にふわりと落下してゆき……

 同時に唱えていた魔法を唱える。


「"レストンス"」


 前足を目まで叩き込むように降りつつ前足から光の束を放つ。

 その光は悪魔の目へとストレートで叩き込まれ。

 悪魔の目を灼いた。


「ヴヴアァァァァァァッ!!」


 完全に入った。

 私は目を蹴ってくるくる回りつつ地面へ降り立つ。

 敵ゴーレムは慌てて下がりながら木を守ろうとするが……


 砕けた。

 正確には木が枯れたのだ。

 当然他の部位もどんどんと剥がれてゆき……


 やがて元のゴーレム姿に戻る。

 どうやら引き剥がせたらしい。

 そうして敵ゴーレムもふらつきその場に倒れ。


「……ヴゥッ!!」

「た、耐えた!?」


 ここでゴーレムが倒れずに足を前に踏み直す。

 息や心拍があるわけではないので細かいことはわからないが……

 物凄いギリギリ必死に耐えているように見える。


 しかし直後に私のそばで轟音が走る。

 ノーツだ。


「敵機体戦闘続行」

『ココ大事なところだから、大事なところだから確実に決めましょう!』


 足裏ローラーで高速で駆け抜け。

 敵ゴーレムの前までたどり着き。


「ヴ、ま、負けるかああぁ!!」

『せーのっ』


 敵のやぶれかぶれな殴りをかいくぐるようにかがみ……

 そしてバネのように上へ跳ね上がって同時に拳を突き上げる。

 強烈なアッパー!


「ヴァッ」


 能力差が逆転したところでの深い1撃。

 当然ゴーレムが耐えきれるはずもなく。

 そのまま後ろへと倒れ込んだ。


 ……よし今度こそ起き上がらず気絶している。


 ノーツは初戦というのもあって結構傷が見られる。

 耐久値も結構落ちているな……

 直さないと。


「ふたりとも、今直すよ!」

「了解、自動モードへ移行」

「よっしょ、ああっ、ありがとうございますご主人様っ」


 ノーツの扉が開き中からクオーツが飛び出す。

 クオーツは地面近くまで重力任せで降りてきた。

 クオーツも大きな変化はないもののやはり内部での激しい動きで耐久値が落ちている。


 製造者に限り視えないつながりを利用して製造したときと同じ土魔法"ゴーレム"や地魔法"ゲートキーパー"で傷を癒せる。

 というわけでダブル発動。

 同時分離発動にはコツがいる。


 脳への思考分割並列行動……はまあ私の場合いうほど難しくない。


(まあねー! わたしたちがいるしねー

!)


 ドライやアインスがいるからその性格に当てはめられる。

 ようは問題ないということだ。

 肉体も気をつけねばならない。


 意識的に右耳側と左耳側で放つ魔法をかえるのだ。

 私自身から放たれた(エフェクト)2本。

 それが2体とも別々に浴びる。


 見るからにへこみや傷が癒やされていく……

 良かった。

 初めてだけれどちゃんと出来ている。


「ほわわ、疲れが癒されます……」

「機体耐久値上昇。なお継続中」


 ノーツはわかりにくいがクオーツはあからかさまにほっこりとしている。

 ちゃんと流し込めているようだ。

 ……お。遠くから足音が。


「おーい! 遅くなったぜーっ!」

「イタ吉たち!」


 一斉に走ってきたのはイタ吉を含む多くのアノニマルースで戦える者たち。

 そして……


「お姉ちゃん、ごめん遅くなった!」

「ううん、かなり迅速だと思う」


 ハックだ。

 連絡そのものは受信機を通せば色々出来るとは言え身支度や道案内など時間のかかる要素が多かった割にかなり早かったと思う。

 そして何より……


「ああっ、みなさんその怪我とかは!?」

「これがハックの言っていた……俺はイタ吉、よろしくな。傷はまあ、ちょっとここに来る前少し敵をぶっとばしてきただけだぜ」


 クオーツが慌てるがイタ吉たちの傷はほぼ軽い。

 メンバーも多いし変身個体がいなかったのだろう。

 傷はゴーレムたちのほうが深い。


「そうだ、みんなはここに寝ているカエリラスの捕縛をお願い」

「おうよ」

「お姉ちゃん、ゴーレムたちは積極的に褒めるといいよ。食べたり眠ったり遊んだりしない代わりに、褒められたり自分の役が果たせた時に、すごくうれしいみたいなんだ」


 私の脳裏に先程クオーツを褒めた時のことが思い浮かぶ。

 そこまで深い意味合いはなかったんだけれど……

 転がっていたのはそういうことだったのか。

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