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百九十五生目 巨人

 ローズクオーツが勝利した。

 今度こそ笑顔で勝利のポーズを決めている。

 向こうはなんとかなったか。


 じゃあこちらはというと。

 目の前にはボロボロになり目を覆っていたカバーも壊れている変身兵。

 もはやまるで余裕が無いのがみてとれる。


「これで……終わり!」

「な、なんでだ、無双の力がこんな……!」


 私は目に向かって聖魔法"レストンス"を放つ。

 実はさっきも放ったがカバーに防がれてしまった。

 ただそのおかげで明確な弱点理解につながったのだが。


 

 "レストンス"による光の束は明確にその目に吸い込まれるよう飛んでゆき……

 貫いた。

 この光自体に殺傷能力はないが対憑依には効果バツグン。

 まるで目を射抜かれたかのように後ろへ倒れ込み。


「ガアアアアアァーー……!!」


 絶叫。

 おそらく全身から力が抜けていくさいになんらかの苦痛が発生しているのだろう。

 やがて姿が変化しだし……


 光が何かの暗い影を追い出したかのように見えたあと。

 彼はその場で目を回し倒れ込んだ。

 もう変身は完全に解けている。


 よし……彼らの弱点を掴めた。

 私はスキル"防御"ではなくあらゆる覚えた武術により敵の攻撃をしのいで無傷。

 生命力に衰えなし。


 敵の攻撃が最大の威力を発揮するインパクトと呼ばれる瞬間。

 その時に剣や針それに鎧で巧みに敵の力向きを反対化させ相殺する技術……

 慣れがまだまだいるが恐れをこえて使えれば今後も大きな力になってくれそう。


 みんなに念話をしなくちゃ。

 けれど伝える相手は軍の知り合いだけで十分。

 "以心伝心"でつなげる。


『ジャグナー!』

『お、おお? ローズか、念話ってやつだったな。悪い今それどころじゃあなあ――』

『敵の弱点がわかった! 片目のカバーを壊して憑依浄化系統の技を目に叩き込んで。それで相手は再起不能になるから、それじゃ』

『――な、お前戦って』


 念話を切る。

 色々話すにしても後だ。

 こっちも大詰めが残っている。


 さらに言えばあの変身兵。

 私達と対峙したのは運が悪かったと思ってもらってそれ以外の場合。

 一騎当千とはいかないものの1人あたり10の軍団兵を相手にしてその戦力は有り余る。


 固まって3人以上で動いている奴らが居たら……最悪だ。


 私は屋根から降り立つとちょうどクオーツが勝利のポーズをとっている瞬間だった。


「クオーツ、相手は……」

「もちろん完全ノックダウンです!」

「良かった、クオーツありがとう」

「ヒャッ」


 お礼を言ったらクオーツが奇声をあげた。

 さらには異常動作か何かなのか身体を腕で擦り上げながらフラフラ揺れ動いている。

 大丈夫……?


 血は通ってないからわからないがまるで茹でダコのようにのぼせているかのようだ。

 けれどなんとか正気に帰った。

 その原因は向こうからの轟音。


 この音はノーツの戦闘音だ。

 予想通りノーツが大きく引いてこちらまで足裏ローラーで駆けてきた。


「製造者ローズ様、姉妹機クオーツ、危険な外敵が迫っています」

「うそ、ノーツの身体に傷が!?


 ノーツの身体はレベルが低いからありえない話ではなかった。

 しかしあの高い位置にある頭上付近に殴打跡があった。

 耐久値もしっかり減っている。


 こんなこと出来るのは1体しかいない。


「逃げるな……ヴヴヴ……つまらないだろ……?」


 ついに動いたか大型ゴーレム!

 全身を重そうな岩やレンガで固めている。

 アレの拳で殴られればそりゃあノーツだって傷つく。


 ノーツが距離をとってガシャンガシャンと巨大銃から炸裂弾を放つ。

 敵ゴーレムはそれを身に受けつつも意に介せず直進してきた。

 なんとなくだが邪悪な笑顔を浮かべた気がした。


「あれはまさか、飛来物に耐性が?」


 そうとしか思えない。

 いくらなんでも爆発そのものがほとんど効いてないだなんておかしい。

 巨大なゴーレムはその身が全身(まと)になるからこそそれの対策を施すことは多いとは聴いたことはあるが……


 そのまま直進し生き物ではありえない体制でストレートでぶん殴る。

 ノーツの身体から異音が発せられると共に大きく後退させられた。

 きっちり強い……!


 それもそのはずあのゴーレムだけ最初から比較の値は練習相手にもならないではない。

 とても弱いとされている。

 ……それだとかなり弱いだけに思えるが頑丈巨大パワーとそれだけで厄介なのだ。


 とにかくさっきから見るに足が遅いのと動きものろいのが大きなネックになっていて私とぶつかった場合絶対に勝てないとされている。

 しかしこのゴーレムの余裕は多分アレだろうな……

 私が素早く近づき相手の肩にまで跳び乗る。


「ヴ?」

「そいやぁッ!」


 そこから頭を思いっきり強烈に蹴り付けた。

 当然地面である肩に爪を深く食い込ませて。

 相手は大きく体勢を崩し……


「な、なにぃぃ……!?」


 さすがに驚いたらしく叫びながら倒れた。

 ここからだ……

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