百九十二生目 銃爆
クオーツが連続で腕を振り切り裂いてから叩きつぶした!
自由に形……いや質量そのものが変わってそばで見ているだけでも驚いている。
そうしたら……
すぐに形が変わり彼らの身体だけがちょうど浮き出る形に。
あれはねり飴ではなく宝石なのだから……
「ぐっ、は、離せ……!」
「固え!なんだこれ!」
「あ……つめたい」
きっちりと身体を抑えられていた。
ちょっと観てみたらちゃんと状態異常拘束が入っていてアレはああいうスキルらしい。
変身した獣兵ならばなんらかの方法で抜け出せそうなのだがどうやら肝心の関節をガッチリ締め上げられていて身じろぎもうまくできていない。
なんというか恐ろしいほどにちゃんとした拘束。
あの……あなた達先程造られたばっかりですよね?
私の初期なんて小魚に食われそうになっていたんですが。
ゴーレム種というのはこういう点が変わっている。
ハックがその場で作ったゴーレムで相手を燃やしたり出来るのは作り手の技術力だ。
作られた瞬間のレベル1でとんでもなく高い初期値を得ていることもある。
そのため彼らもほんのレベル10程度で10年20年生きてきた彼らを一方的に攻めていた。
「ご主人様のご厚意により、生かしておきますよ、感謝なさい!」
そのまま穴の位置ごと捉えた兵たちを一気に動かす。
遠くから見るといきなり穴ごとグインと兵たちが奥へと移動させられていてびっくりする。
当然兵たちは急激に負担がかかって何か悲鳴に近い声で叫んでいる。
そして壁に直接届くまで腕の体積を伸ばし……
端まで届かせる。
突如建物の壁に叩きつけられた彼らは口から唾液を撒き散らし。
「「ガハッ!?」」
そのまま彼らを縛る部位だけ腕が切り離された。
クオーツの腕だけはしっかり元へと戻る。
え……何……貴重鉱物で質量保存無視……?
さらに容赦なしに魔法を放つ。
空に光で出来た月と暗闇が放たれ……
5名の兵たちは何がなんだか理解をする前にスッと眠りに落ちた。
あの魔法昔見たけれどすごい便利なんだよね。
私は使えないんだけれど。
ハチャメチャな戦いをした後クオーツはいい笑顔でウインクした。
「やっれったっ!」
一方そのころ同時進行で。
ノーツはミサイルを放ったあと流れるように身体から光線を複数放つ。
実害はないタイプ。
ダイヤモンドから発せられているのかな。
その光は空中に紋様を描いたかと思うとあっという間に何かが空中から生み出される。
おそらくは機械の部品。
両腕それぞれに出来てノーツはその2つをくっつける。
おそらくはなんらかの不足で1発では出し切れない質量分を2度やることによって補った行動だろう。
2つの機械はガチャガチャと組み込むと不思議なほどに馴染み最初から1つの形だったかのようになった。
それは……ノーツが両腕で持つ程に巨大な銃だった。
ノーツはその銃を腰あたりに添えて。
クオーツが相手していない5体に向かって放った。
「「ギャアアア!?」」
悲鳴はふたつの意味を持っていた。
ひとつはやたらでっかい銃を向けられたこと。
そしてもうひとつは……5体の間に着弾したと思ったら爆発したこと。
大きすぎる薬莢が排出された音と共にその悲鳴がこだまする。
全員吹き飛ばされているな……
ただ連射はできないらしい。
ガチャン! という音と共に動き発射され薬莢が出て落ちる。
そこまで1連の動きをしないと次は出ないようだ。
逆に言えばそれが終われば第2第3なんてすぐ来るわけで。
吹き飛ばされ必死に逃げ回り建物の影に隠れる。
しかし当然ノーツも歩いて追撃するから更に逃げ回る。
「じゃ、弱点だ! 強いゴーレムほど弱点が多い、方式にもよるが、刻み文字を消す、コアを突く、関節に金属をねじ込む、何かあるはずだ!」
「お前探ってこいよ! 言い出しっぺがっ!」
「言っている場合かっ、全員でやらなきゃ死ぬぞっ!」
ガンガン歩き見つけ次第撃つ。
そして爆発して慌ててカエリラス兵が逃げる。
市街地だから無理な追撃も出来ず互いに大きく出られていない様子。
そして私は……
「な、なんでだ、無双の出来る力じゃあ無かったのかっ!」
「そりゃあその力は飛び切り強いけれど……キミがそこまで強くなれていない、力に振り回されているだけだ!」
火魔法は家が燃えるから土魔法"Eスピア"!
カエリラス兵が慌てて跳んで地面から迫りくる槍を避ける。
凄まじい跳躍だが……
当然剣ゼロエネミーの追撃が入る。
なんとか剣をクロスさせ受けさばいて……
「なっ、刃が欠けた!?」
受けさばけきれず刃こぼれを起こしたらしい。
ゼロエネミーがものすごく強いという前提はあるものの斬り合いでの発生は技量不足により起こりうることだ。
さらにしたから"二重詠唱"の"Eスピア"が来てカエリラス兵の身体を貫いた。