百八十七生目 暴動
テテフフライトから作り出されたクオーツ。
ゴーレムなのにとても異質で様々なことに興味を持ち……
そのおかげかあっという間に経験が積まれレベルが上がっていく。
レベルが低いのと私の様々な能力そしてゴーレムのクオーツの適性によりまだ戦闘すらしていないのにレベルが10まで上がった。
はっや。
当然異様な早さだとハック談。
そして私達は何もただフラフラしていたわけではない。
「大きな鉄の塊なら、この先に歩いていったぜ」
「わかった、ありがとう!」
「いまからきょうだいのストレイヤー……ノーツに会えるのが楽しみです!」
歩く鉄巨人の情報……ストレイヤーことノーツがどこの道を歩んでいたのか情報を集めつつ進んでいた。
クオーツに情報を集めつつ合流できて一石二鳥だ。
ただ結構移動が早いらしくあんまり遊んでいると追いつけないや。
ただ情報によるとだいぶ近づいている。
しばらく行けば……いた。
ここはアノニマルースの軍訓練所か。
向こうから何やら多数の声が聞こえる……
さすがに目立つからなノーツは……
そう思いつつ角を曲がって。
「「うわっ?」」
そこにストレイヤーことノーツはいた。
ただ……
大量に魔物たちが乗っていた。
「おお、すごい、すごいぞー! 見た目に違わぬハイパワー!」
「次オレねー!」
「学習プログラムにご協力ありがとうございます」
「イイねー、こういうのなんだかアツいよねー!」
軍員だけではなくいろんな魔物たちがストレイヤーをアスレチックにしている……
ノーツもノリノリでそれを鍛錬にしているようだ。
重そうに誰かが乗っている腕を持ち上げ……
そのままポーズをとる。
周囲から歓声が上がり……
また違う魔物が乗る。
以後繰り返しのようだ。
「おーい! ノーツ! みんなー!」
「ローズたちだ」「すごいなこいつ、なあローズ」「ローズ楽しんでるよ」
「おかえりなさいローズ様、ハック様」
ノーツはこちらに気づくと実に落ち着いた声を駆け……
どうやら気づいたらしく動きが止まる。
先程から目を輝かせているクオーツだ。
互いの存在に気づき……
一瞬。
変な光線が飛び交った。
えっ今の何?
お互いの顔……ノーツは顔が無いので身体から何か照射されたような。
互いに満足げにうなずき……
「「照合確認」」
「互いに情報を交換しましたっ」
「これより当該機はクオーツと姉妹機となりました」
「おなじく、ノーツと姉妹ゴーレムになりました! きょうだいができてとってもうれしいです! これからふたり共々よろしくおねがいしますっ」
い……今のでやりとりが完了したのか。
ハックもよくわかっていないらしく私とゴーレムたちを何度も見返していた。
私もわからない……
ふたりは揃っておじぎをする。
すごく丁寧だ……
ゴーレムは本当に最初からある程度の知識があるんだろうな……
「えーっと……よろしく?」
「う、うん。こっちが製作者だからといって、変に気を使わなくて良いからね」
「はいっ! 誠心誠意ご主人様だからといって変に気遣わないようにします」
「あ、はは……」
ビシッとキメている時点でもうできてはないんだけれども……
まあいいか。
……うん!?
突然警報音が鳴り響く。
これは軍の方に来た警報か!
「危険行動。軽騒動対策部隊を編制し、ただちにB門の14へ向かってください」
「え? なに、事件?」
「あー、門前あたりで軽い騒動があったようですね。多分誰かがキレて暴れたあたりでしょう。警官隊は避難を優先するので、ぼくら軍が取り押さえるんです。今仲間たちが行きますよ」
そこらへんの魔物が説明してくれたがそこまで警戒すべき事案ではないらしい。
話していた通り3匹の魔物が建物の中から飛び出ていった。
「なるほど……」
「ワタシたちも何かお手伝いをしたほうがよろしいでしょうか」
「いいや、あの程度ならへーきへーき」
軍員のひとりがそう言ったように特に騒動がほかから聞こえてくるということもなく……
「危険行動。Bの28にて」
「え?」
「危険行動です。えっとまたB地区48です……」
「これは……」
近くの軍団員たちもさすがにこの事態は想定していなかったらしくみな待機している側も落ち着かない。
こんな連続で暴動が起きるだなんて……
しかも同じ地区だ。
偶然にしてはできすぎている。
ゴーレムたちもキョロキョロしているしハックなんか邪魔にならないよう隅によっている。
ええと……
「今、B地区で起きていることって誰か把握している人は?」
「偵察を出しているところだから、もう少しすれば……」
直接向かえば良いのか……?




