表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/2401

百二十三生目 群集

(わたくし)としての意見を言わせてもらうなら、このように多数の魔物たちが集う光景は貴重で奇妙ながら……

 とても良いと思いますよ」


 そうカムラさんは言ってくれた。

 魔物たちが種族の壁を越えて協力関係を築く、か。

 私達の群れの理想とはなんなのか、そういうのも考えていかなきゃなぁ。


 あまりにも多い数の魔物たちが森の中にいて目立ちすぎるため細かく別れる事にした。

 昼の間は私達遠征組は休み、それ以外の昼行性魔物たちはバラバラな魔物たちをなんとかまとめ情報のやり取りや食事確保に走った。

 こういう時はニンゲンの長時間活動能力が羨ましい。


 ちなみにさらに羨ましいのはアンデッドたちか。

 カムラさんやユウレンが生み出した骸骨たちは不眠不休で働ける。

 戦闘行動で行動力の浪費をしない限り肉体的な休みは必要ないし食事もいらない。


 正確には邪気を取り込んでいるらしい。

 生物が一切死なない土地なんて無いため実質無限活動可能というだけだ。


 というわけで単純作業やもろもろの働きはユウレンやカムラさんに丸投げした。

 また働き詰めで身体を壊すのは勘弁だ。

 食糧の確保はみんながやってくれるから大丈夫。


 ただ私もきっちり休む前にきっちり仕事を終えなくては。

 先程の説明で"無敵"と"ヒーリング"を組み合わせると『どんな異種族間とも仲良くなる可能性』を生み出す。

 もちろん私の"無敵"が通る範囲でだが。


 というわけでこうなってしまったからには仕方ないと森の魔物たちへと近づく。

 数匹で固まって居たサイズが私と同じくらいあるリスたちだ。

 私に気づいたリスたちは小さく悲鳴をあげ身を寄せ合う。


「あ、あの、こんにちは」

「ひううっ!?」

「た、食べないで!?」


 万能翻訳機ごしに聞こえる悲鳴。

 うーんやはり対話以前に恐怖政治やっているみたいになっている。

 彼等にはまだ"無敵"と"ヒーリング"はやっていない。

 彼等からは私は対話不可の捕食者以外にみえる可能性は今のところないだろう。

 だからこそ近付く。


「食べないからちょっとおとなしくして」

「ううう……!」


 そっと彼等の腕に前足の肉球を乗せて"ヒーリング"と"無敵"同時かけ。

 ふわふわで大きな尻尾は触ってはだめと前世知識であった気がする。

 魔物も同じかは知らないが簡単に取れるらしいね。


「あ、あれ、癒やしの……? ふあ……!?」


 うん、効果発動。

 今なら爬虫類とだって仲良くなれそう。

 食事をくれる何かの異物とかそういうのじゃなくて。


 まあペットならその距離感が良いというニンゲンも多いだろうけれど今は困る。

 というわけで次々とリスたちへスキルをかけた。


「それでは改めて、少しお話しましょう」

「あ、あれ? 私たち……それにその話し方、私達の?」


 学んだ言語を光神術"サウンドウェーブ"や身振り手振りで再現してリスたちと同じ言語で話す。

 さあここからがやっと交渉と対話だ。





 あれから各種族、匹数で言えば100超えに"無敵"と"ヒーリング"をかけてまわった。

 休もうと思ってきりの良いところまでやろうとしたら結局最後までやってしまい凄い疲れてしまった。

 ただまあおかげで空気の悪さは緩和された。


 少しずつ森の魔物たちも種族の壁を越えて話し出し私たちにも協力しだした。

 怯える様子もない。

 やはり話が通じるまでいければ何とかなるな!

 少しずつこうやって交友を深めていけば良さそうだ。


 そうして数時間かけて行った作業はやっと終わってくれた。





 おはよーございます。

 休んだり食事したり揉め事を回避したりしてたらあっという間に翌朝。

 骸骨たちが給食つくっているかのようにひっきりなしに何か作っていたのはちょっと面白かった。

 長時間重労働でも難なくこなして見せているのが良い。





 ここで少し私のステータスチェック。

 レベルが6から10に上がった!

 数値が少なくなって上がりやすくなったのもあるが格下相手ばかりだから普通はこんなに上がらない。

 この現象は"率いる者"の効果だろう。


 アヅキやインカにハックそれにイタ吉なんかの経験値を元手は減らさずに一部貰える。

 彼等自体はギリギリの戦いであればそれほど経験値が貰える。

 一部とは言えめちゃくちゃデカイ。


 そんな風に常時利用できているので"率いる者"のレベルが1から3まで上がっていた。

 これでさらに経験値が増えるだろう。

 あ、貸したり貸し出したりするスキルも強くなるはずだ。


 増えたスキルポイントは4つ。

 上級スキルには複数ポイントを使うからためる意味が出てきた。


[救急魔術師 聖魔法、光魔法、空魔法を覚える。また救急魔術師としてスキルでまとめられる]

[聖魔法 聖属性の魔法が使えるようになる]

[空魔法 (くう)属性の魔法が使えるようになる]


 4ポイントだったのだが取るさいに1ポイント消費が減って3ポイントで済んだ。

 光魔法が取得済みだったからその分減ったらしい。

 光魔法が"三魔"と"救急魔術師"両方に所属していることになるが問題ないみたいだ。

 1番嬉しいのは"三魔"と同じレベル5に引き上げられたこと。

 光魔法と同基準まで引き上げられていきなりちょっとすごいものまで使えるように。


 聖魔法は前々からちょくちょく名前が出ていたが光魔法の上位みたいな魔法だ。

[トリートメント 生物の傷を治す]

[レストンス 聖なる力で邪気を浄化する]


 レストンスは唱えたら光の線が束になって飛んでいったのであの法衣たちも使っていた魔法だ。

 1番良いと思ったのは、これ。


[リターンライフ 死の縁か死んだ直後の相手に使うと死ぬべきではない場合肉体が蘇生される。]


 蘇生魔法である。

 条件は厳しそうだが持っておいて損は無い。


 そして空魔法。

 これだけだと全然わからなかったのだが……


[ミニワープ 視界内で移動可能範囲で瞬間的に移動する]


 なんともとんでもない能力を持ったものだった。

 ちなみに全体的に消費行動力が多めで私みたいにスキルで軽減していないと使うのは大変だろう。

 他にも一時的に隠れるようなスキルもあったが……


[ファストトラベル 行ったことのある中で特定の場所にわずかな時間で転移する]


 戦いの時にパッと出せるほど早くはないが2、3分で別の場所へ移動できる。

 唱えると私が行った事のある場所がパッと文字で表示されるのでそこを選んでワープ出来る。

 あっという間に景色が切り替わるので面白い。


 行けるところの特徴は何らかの印象が私の中に残っている事が大事らしい。

 小動物たちの街へ飛べば門前についた。

 見張りがいきなり現れた私に驚いていたのは悪いことしちゃったかな。


 使い勝手と燃費が等価交換している魔法たち。

 これらは使える時に使って鍛えておきたい。

 ちなみに"地魔法"からの派生だ。


 残り1ポイントでは上級スキルが取れないので普通から。


[魂の守り 魂への攻撃を防ぐ]


 魂へダメージを与えてくる攻撃に対して防御が出来る、ようは"防御"の魂バージョン。

 今はまだだが将来的に私を魂の世界から付け狙う相手と対峙するかもしれない。

 だから今の内に鍛えておこう。

 ムダにならないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ