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百八十二生目 石像

 土魔法"ゴーレム"や地魔法"ゲートキーパー"によるゴーレムづくり。

 うまくいかないのは……

 私のパワーが原因とハックに言われた。


「ど、どういう……?」

「うーんと……そう、例えば山のように大きな魔物がいるとして、その魔物が初めてモモを持とうとしたときに、ちゃんと持てると思う?」


 ハックの3つ目がせわしなく動いている。

 めちゃくちゃ考えてもらってる……

 私もちゃんと考えないと。


「……モモは、多分かなり持てないと思う。大抵は潰しちゃうかな」

「そう。現状はそれと同じだとしか推測出来ないよ。お姉ちゃん」


 ……え?

 私が山のように大きな力でモモのように繊細な素材をぶっ壊したということ?

 生唾を飲む。


「でも、私はそんなに力を込めていないし、そもそも魔法はふだんから使っているから……」

「うん。もちろんわかっている。けれど、多分お姉ちゃんがちゃんと使おうと思った時点で、ええとお姉ちゃんの能力? で僕の分まで経験がないのに力だけ増してしまって、本来順番に力と感覚を掴むのに、色々すっとばしちゃってる……んだと思う。あんまりにも初めてのことだから、僕でもわかりきらないけれど……」


 自信なさげだけれどかなり的確な気はする……

 私はモモを掴もうとして失敗し続ける力の有り余った何か…… 

 だとしたら救いがなさそうなんだけれど。


 私の"指導者"でハックから得ていた糧が……

 知らぬうちに私の内側でくすぶっていて。

 今こんな訳のわからない状態になっているとしたらなんとも困った話だ。


 つまり私は1の力でやっているつもりがもう150くらいの力になっていると。

 あんまりにも差がある……


「なんとなく……わかったけれど、これってかなり大変なことなんじゃあ……」

「さっきの話に戻るけれど、僕が出来ることはあんまりなくて……この状態そのものを解決するのは難しいし、無理にやらないほうが良いと思う」

「解決しないほうが良い……?」

「うん、おそらくお姉ちゃんの中に眠っている力が相当歪んじゃう。下に合わせることで本来のポテンシャルが死んじゃうと思うんだ。だから……」


 ハックは素早く魔法を使いゴーレムを生み出す。

 この悲惨な場を片付けさせていた。

 そうしてハックがしっかりと3つ目でこちらを見てきた。


「お姉ちゃんの力に耐えられない素材じゃなくて、お姉ちゃんに合わせられる素材から見直そう!」

「そ……そんなことが!?」


 てっきり私が馬鹿力みたいに繊細な作業を全てぶち壊すもんだと思っていたら……

 どうやらそうではないらしい。


 物の方をあわせる……そんなことが。


「うん、もちろん」

「え、でも私初級の品すらできない状態なんだけれど……」

「お姉ちゃんは多分初級しか挑んでないよね?」

「それは、もちろん順番にやらないと」


 鍛えるときの基本だ。

 だがそれを聞いたハックはごきげんに尾を揺らす。


「だったら活路があるよ! きっとお姉ちゃんは、初級のものだから(・・・)出来ない!」

「そ、そうなの? それはそれでどうなんだ……?」

「さすがに初めてのことだらけだから、僕にも完全にはわからないけれど……けれど、やってみようよっ」


 私はハックの真剣さに思わず肯定する。

 せっかくハックがやる気になってわからないことだらけなのに付き合ってくれている。

 私はそれ以上にわかってないがついていくしかない。










 それで。


「これ行ってみようよお姉ちゃん、これ!」

「いやいやいやー!?」


 思わず私がしりごみするほどの素材たちが私の前に置かれていた。

 帯電獣の雷角……千年樹の万葉枝……古代文明の心臓。

 他にもひとめ見ただけで豪華な品々たくさん。

 ええ……限界拡張魔力系ダイヤモンドまであるんだけれど。


 ただださえ貴重なダイヤモンドを迷宮から取ってきて慎重にカットしたあと魔力加工を得て何重にも魔法を受けられる器にしてある……

 これお金出せば買える範囲超えている。

 ハック……知らぬ間にすごいツテを得ているな。


「お姉ちゃんならこのぐらいしないとだよお! ほら、設計図も書いてもらえたし、失敗保証のために身代わり人形もあるからぁ」

「ええっ、そこまで!? どれどれ……ってこれは……」


 これ……もともとハックが作れるように頼んだ品なんじゃあ……

 見せてもらったけれど私の理解が及ばない。

 多分難易度上級はあるんじゃないかな……?


 ハックがさらに本を積んだり魔法陣を描き出したりしている。

 正直知識がおよばなさすぎるが……

 どう見てもプロご用達のものしかない。


 これ……私が魔法を扱うコツを掴むためだけにやっていいのか?

 どちらかといえばもう至高の品を作り上げるときのやつじゃないか。

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