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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
死世界の住人は生きているか
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百七十七生目 祖銀

 銀竜……を引退した竜。

 祖銀が高度な魔法使いだった。

 色々聞きたいことがある……


「あの……なんでこんな迷宮に。ここ朱竜の支配する土地じゃないですか」

「確かにここはワタクシの土地じゃない。朱竜には黙っておいて。ワタクシは引退した身、ただその分やりたいことは増えましてね、こうして気ままに隠居生活を送るには、いっそのこと自分の土地から離れたほうが、都合良かったのです」


 なるほど……

 自分の土地だとどうしても任せているとはいえ気がかりになっちゃうのかな。

 それなら知らない土地まで行ったほうが良いと。


 それで選んだ場所がこんな凄まじいところなのが感覚的に5大竜だな……となってしまうけれど。


「それでニンゲンたちに技術を?」

「まあ、元々はそんなつもりもなかったのですが、たまたま見つかってしまって……咄嗟についた嘘が始まりです。元々こういうことをするニンゲンは複数いるのはわかっていましたから、それに紛れつつ秘匿してもらえる立場が楽かなと……ほらワタクシ自身は、着替えなんてしないので」


 そりゃドラゴンの体で着替えたりはしないよね。

 自分はしないのに教えられるというのもすごいが。

 そこは長命ゆえか。


 私はひとまずひと息ついて落ち着く。

 目的を見失ってはいけない。

 もっと深く聞きたいけれど初対面だしそもそも警戒されてしまっては意味がない。


「だいたいの事情はわかりました。あの、改めてなんですが……高速着替えの魔法術を習いたいのです」

「昔と違って、職がないから思ったよりも大変ですが……基礎の基礎だから、なんとか覚えてください」

「職……職業の力量ですか?」

「ふむ、そこまで正確に把握してあるとは。さすがにあの蒼竜も神使にはちゃんと教えているみたいですね」


 一っっ切おしえてはもらっていない。

 私が別ルートで話を聞けただけだ。

 アイツほんと驚くほど放任らしいのが他の神たちの話でわかるのがつらいな……


「昔は職の力量を上げることで扱える技術だったんですね」

「ええ。今はその能力を技術的に究明し体系化、能力の抽出に成功しています」

「その、なんで職がなくなったのかは……」

「……そういえばなんでなのでしょうか? 自然に受け入れていましたが不思議ですね……? まあ、今は良いとしましょう」


 究明成功していて良かった。

 スキルポイントを使わずに覚えられるならそれにこしたことはない。

 ……なぜ祖銀すらも職のことがわからないのかは不思議だが。


「それじゃあ、早速始めましょう」


 祖銀は指を振って魔力を指先に輝かせる。

 すると3つの服をかざった石のカカシ……つまりはマネキンが現れた。

 すごい……今の魔法読みきれなかった。


「この3つの服はそれぞれの属性を得ています。かんたんなものなので力は弱いのですが、着替えの感覚を掴むには十分でしょう」

「それぞれ、火、水、草ですか……」

「そうです。正しく魔力が測れていますね」


 まあこのぐらいはさすがにできる。

 ここまで来られるくらいだからね。

 感知くらいはできないと。


 祖銀は本棚から1冊分厚いものを取り出し私に渡した。

 こういう本……竜なのにどうやって調達してくるのかな。


「それでは、その内容を読み取りつつ話を進めましょう」

「はい……よし。とりあえず中身は頭に転写したので返しますね」

「え?」


 私はざっと中身を見てから本を返す。

 頭の中に画像データとして保管をしたのだ。

 読むのはこれから。


 私は短時間で大量の情報をインプットするためにこの技を身に着けた。

 まずは画像として脳内へ。

 そのあとにその画像を読んでいく。


「あ、まだ読んではないので本自体が必要だったらごめんなさい」

「いや、早……ええ? よくわからないけれど、とりあえず返してもらうね」


 よし。

 作業に取り掛かろう。










 いやー大変だ!

 覚える内容が多々あるのはともかくとして。

 意外に鍛えるのは体力を使う。


 結局魔法でちょちょいとやるわけにはいかないのだ。

 スキルに頼らない技……

 ひとつひとつ私が服の着方を身に着け付必要がある。


 そしてその感覚を体に染み込ませるのだ。

 服を着る。脱ぐ。

 単純なようでいて体に染み込ませるように行うととたんに重労働となる。


「最初、あなたが真っ直ぐ何も絡まれず進むのを感知したときは驚きました……」

「えっ!? あの時から見ていたんですか!?」

「ええもちろん。感知というのがただしいですが。だからあなたが色々な姿を取れることも知っています。あとで他の姿でも着てみましょうねえ……」

「わあっ……」


 祖銀の教えによると私が服を着る動作ひとつひとつを理解して行わなければならないらしい。

 何をどう服が擦れ毛皮に触り指を置きひっぱり留めて垂れるか。

 私が披露して汗をかき服の重みを理解するまで繰り返される。


 祖竜は少し考えたあと指を鳴らす。

 すると今度は私が四足時なら身に付けれそうな服を出してきた。

 うわあ……まさか今錬成したのか。


 とんでもない技術だ。

 まさに規格外なのは引退したとはいえ銀竜……!

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