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百二十二生目 組合

「少なくと私はあなたの強さと優しさにひかれて!」

「俺は強いやつの元なら安心できる! 前のリーダーはお前に負けたからお前がリーダーだ!」


 わいのわいのと騒がれる中をなんとか情報を拾い集め整理する。

 私たちに倒されたあとに早めに目をさました魔物がいる時があった。

 "無敵"の効果か倒されたからか私たちの強さにひかれた者。

 殺そうとして倒されて気を失わされても癒やされた事に感銘を受けた者たちがいた。


 それで追跡して徐々に数が多くなり町の中に入った時に困惑したがまた逆方向に移動する痕跡をみつけ追いかけ私の後ろを常にこっそりつけていたと。

 だけれども強い気配を感じて私のだと断定しテンションが上がって突撃してきたと。

 なるほど、わからん。


 結局私が元ニンゲンで常に魔物になりきれていないという部分があるのか。

 その思考差なのか文化差なのかわからないがどうもこういう時に理解しきれない。

 アヅキは彼等の話を聞いて頷いていたけれど。


 多分あれだ。

 考えの根底がヒャッハー的なものに近いんだと思う。

 学校とかないしね。

 ホエハリ族は強さよりも学んで得る事重視だから余計に違和感あるんだ。


 とりあえずなだめかせ森の魔物たちとともに平原の魔物たちを座らせた。

 うーん多い。

 明らかにこの視線量は厳しい。

 アヅキがまた万能翻訳機を配っていたがいくつあるのだろう。


「ええと……とにかく、私たちに協力してくれる魔物はここに残ってください」


 そういって動くものはいなかった。

 森の魔物たちは恐るおそる、平原の魔物たちは嬉しそうにしている。

 違いは、ある。


 これから少しずつ慣れていきたいな。


「ありがとうございます。それでは、お願いします」





 他の仲間たちが狩りから帰ってきたら驚いていた。

 彼等は森の魔物が集まるのは知っていたが平原の魔物は想定外だったのだろう。

 また狩りに行ってもらうことになってしまった。

 何匹か平原の魔物が着いていったからもしかしたら効率よく済むかもしれない。


 さらにユウレンとカムラさんに呼ばれる。

 少し離れた所で内緒話のように円になった。


「まったくさっきの力の気配は何よ……」

「おみそれしました、あれほどの力を隠していたとは」

「う、そうかな?」


 自覚はない。

 まあそれに関してぐちぐち言われつつも本題へ。


「やっぱり……おかしいわね。ローズにこんなに魔物たちが多く付き従うだなんて。

 そばから見ていて思ったのは、やっぱりその"無敵"とか言うスキルね。前も言ったけれど」

「え、でもそれは……」


 ただ単に敵意を下げるスキルだ。


「ええ、でもあなたいつも"ヒーリング"と同時に使っているじゃない」

「あれは通りやすくなるだけで……」

「それだけじゃない、能力(スキル)は組み合わせによっては変わった効果を生み出すのよ」


 それを聞いて思い出したのは"言語学者"と"観察"の組み合わせ。

 自動で相手の言語を覚える便利な組み合わせだ。

 ……もしかして?


「……そういえばカムラなら能力(スキル)を受けると解析できるのよ。カムラ、頼むわよ」

「はい、おまかせください」

「はい、じゃあ失礼して……」


 カムラさんに触れて"ヒーリング"+"無敵"。

 数秒行うとその白く濁った目をカッと見開く。


「わかりました、ありがとうございます」

「はい」

「"能力解析"の結果これは……」


 再び目が細められその内容を告げた。


「対象者に対し一部の思考および感情に干渉し、特定の作用をもたらすようです」

「え、魅了みたいな!?」

「いえ、そういった状態異常の類ではないですね」


 はやる私をカムラさんが押しとどめる。

 ただかなり単語が不穏なんだけれど。


「これは……そうですね、凶暴で決して人には懐かない魔物がいるとしましょう。

 そこにこの効果を受けた人がいけば、何らかの努力があればその魔物と人は仲良くなれる可能性が生まれます。ただしその場合その魔物はその人以外には全て凶暴です。

 さらにその魔物がこの効果を受ければ見境なく懐かないはずが場合により誰かに懐くようになります」


 な、なんだその効果?

 それはユウレンも同じだったらしくカムラさんに聞き返した。


「つまりはどういうことよ?」

「この組み合わせは『本来は努力では越えられない、種族的な対立の溝をつなぐきっかけが得られる』効果があります」

「ええと……」


 つまり前世で言うとハブとマングースが場合によっては仲良くなれるようになるスキルということ?

 それって……


「あの街の疑似共有魂に似ているわね……」

「小動物たちの……私にそんな力が?」


 あの小動物たちは共通クラスの知性を与えることで種族の壁を越えて街を作っていた。

 私の力はそれほどではないかもしれないが似たようなことが出来る、のかもしれない?

 それはとんでもないことなんじゃないか?


「とは言っても(わたくし)の"能力解析"で少し分かったことを私が解釈しただけの事、ではあります。

 自身で使って感じる感触を一番大事にしてください」


 ふうむ、そうは言われても……

 なんというか今までなんとなく使ってきたけれどこれとんでもないスキルかもしれない。

 無敵とヒーリングの組み合わせ……今後は考えて使ったほうが良さそうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 例として バニシュ&デスの様に作用すると言うわけだね
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