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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
死世界の住人は生きているか
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百五十九生目 奈落

 冒険者たちを見つけた。

 ただし空間の透明壁向こう側。

 壁と壁の間には霊的瘴気が溜まっていて彼らの顔がギリギリ見えるぐらいに暗い。


「あの、救援の方ですよね?」

「うん、もう少し耐えて!」

「良かったぁ……」

「散々迷ったけれど、よかったら分かる範囲で通ってきた順番をっ」

「それは助かる!」


 私はさっとメモ木片を取り出す。

 相手はほとんど見えないだろうこちらを必死にうかがいつつ語りだす。

 こちらから少し見えるだけでもボロボロだな……


「えっと、その付近に行ったあとはしばらく進んでからまた泳いだよな」

「穴があるのはわかっていたので、踏むと爆発する罠を見つけて避けましたね」

「あれは……そうその後だ。床があったのに突然抜けて全員落ちて……」

「幽霊達に追い回されつつ走っていたら、さらには床が抜けそうなところをなんとか抜けて……」

「扉を開けたら恐ろしい魔物が……それからなんとか逃げ切って、ここに来ました」

「うん……わかった。なんとか辿り着く」 

 急いで駆けて姿が見えなくなる頃に4足へと戻る。

 このまま速度をあげよう!

 まずは泳ぎか……


 正直話を聞いていてよかった。

 いきなりぬれてしまうことになっていたとは。

 またにおいが消える。


 少し駆けてにおいを追えば確かに床の下に消えていく。

 水の中に行くからだ。

 見た目と全く実質が一致しない……


 先の床に触れれば床が揺らめく。

 ありえない現象ながらこの迷宮ではありうる。

 やはり水だ。


 背中から翼型針を出し飛んで移動。

 そのまま向こう岸までついて……

 さらに駆ける。


 ええと次は罠の回避か……

 においがわからないからなあ。

 ……おっ。


 すぐに道がわかれている。

 なにかのニオイはどちらにも通じているが。

 罠……わなかあ。


 よくニオイをかいで……

 どこにある……罠……

 ……おっと。


 片方の道だけ確かにへんなニオイが。 魔力だまり……

 魔法が仕掛けられているのか。


 これは床の一部分にあるだけだから跳んで避けられるな。


「よっと」


 着地!

 そのまま次へ。


 ええと次は……

 あのメモに書いた内容を頭の中で読む。

 メモ自体は見なくても再現できるからね。


 そうだ。

 落下したんだっけか。

 においが復活してきてニンゲンたちの通った道筋がわかる。


 いくらかの道筋を進み……

 今度は注意深く落下罠を探す。

 全員乗ったらいきなり落ちたというあたり明らかに罠だろう。


 問題はタイプによっては私では落ちないということだ。

 その場合どう追うか……

 そうこう考えてにおいを追ううちに。


「これは……」


 においがいきなり途切れている部分を見つけた。

 なるほど怪しい。

 よく調べれば稼働する部分がある。


 単純な落下罠だ。

 一定の重さが乗ったあと少しだけ時間を置いて大きく開き落ちる。

 時間を置くのは足をおいた瞬間に落下して穴ではない部分を掴まれることを防ぐためだ。


 そして私が乗ると……

 反応しない。

 ぐらつかせようが反応しない。


 そりゃそうだよね……重さがかなり違う。

 ただやりようはあるはず……

 まず大きく跳んで……


「やっ」


 グラハリーのように大きくなりながら全身装甲針で覆い尽くす!

 鎧のような私の全身を覆いつくし……

 思いっきりプレス!


「うわっ!」


 そうして地面を揺らせば……

 底が開く。

 奈落の底へと落ち……


 景色が暗転。


 すぐに地面が見えた。

 ズシンと着陸。

 針鎧を解除し私自身の大きさももとに戻す。


 こう伸縮していると自らの感覚が狂ってくるね……

 どこまでが体の端かちゃんと理解して動かないと歩くことすらままならない。 ちゃんと落ち着いて。


 体をなじませつつ進む。

 


 よし行こう。

 さあて次は……

 あっ!


「ケケケケッ!」

「またまたマヌケ!」

「襲わにゃソンソン!」

「幽霊たちに追いかけ回される、か……!」


 たくさんのファンターやらなんやら幽霊魔物たちがやってきた!

 この霊的瘴気が濃い場所にいる幽霊たちを……

 ええ……10……20……数えている場合じゃない!


 こんなにいたら迎撃しつつ逃げるしかない。

 さすがに数が数だ。

 囲まれたらひどい目に合う。


「キャキャキャッ」

「そこそこ!」

「撫でたい……」

「なんとか道を!」


 "フレイムエンチャント"済みの炎針を射出!

 床が抜けそうなところか……そこを探しつつ駆けねば。

 においの向く方はこっち。


 さらにゼロエネミーを剣化させて連続で斬り裂いていく。

 ゼロエネミーは自身にわずかながら魔力を帯びている。

 ちゃんとファンターたちを斬っているようだ。

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