百五十四生目 無効
大盾ゼロエネミーでライブラの本爆撃に耐える。
高い所から振ってくる本がぶつかると魔法を放ってくる。
即時発動するタイプの魔法でとにかく爆発するような効果が起こる。
「どうして……! こんなにも攻めて来るんだ、キミは本能に従っているタイプじゃなさそうなのに……っ」
「何、だからこそだ。退屈、退屈退屈……退屈なのだ。わたくしの身に知識がつけばつくほど、退屈さは増していく……だからこそ、より新鮮な刺激が求められているのだ!」
何かが記されている紙が全身に張り付いているライブラにとって知識が身につくとは文字通りの意味か。
そんなことでサンドバッグにされてたまるかという気持ちでいっぱいになったが。
「ほほう……まだ耐えるとはっ」
最後闇の光が爆発して終わる。
生命力がこれだけで半分消えたんだけれど……!
でも動きは今見たから次からはもっと避けられるはず。
それに……神力がいい感じに煮詰まってきた。
とにかく攻撃魔法ではなく"ヒーリング"を重ねつつだ。
「この程度では倒れないよ、やあッ!」
反撃の意思を示すためにもゼロエネミー長剣化し私も相手に駆ける。
そんなに部屋の幅はないのですぐ追いつき……
尾のイバラを瞬時に伸ばし叩きつけ長剣ゼロエネミーが瞬時に大量切り裂き。
「ほうっ!?」
相手の紙束がいくつも散る。
いまのはさすがにしっかりと入った。
血とかが出ないのは幽霊なのでね。
さらに攻めていかないと!
「なかなかやるではないか。相手として不足なし、どれ、貴殿を調べてみようか」
む……"観察"みたいなことか?
ライブラはゆるく移動しつつ紙を自身から何枚か取り読み取っていく。
わりとあの地味ーな動きがこちらの連続攻撃を阻んで直撃を避けているので侮れない。
「ふむ、ニーダレスどのか。最近神になられたと。本当にここ数年、活躍が盛んなようだ……土の魔力が得意で、それに趣味の方は……」
「いや趣味は関係なくない!?」
「おっと、ついクセが出てしまった」
そんなツッコミをしている間にも戦いは進行している。
相手はよそ見しているようで新たな紙を取り出しては魔法を発動。
私にぶつけている。
こっちはこっちでガンガン切り裂きつつイバラで攻めたり守ったり。
そして炎も放つ。
紙媒体なのでやはり良く燃えるものの耐久力を見るに深手にはならない。
やはり本体がゆらゆら動くだけで済むようにしているせいかとにかく耐久力自体が高い。
まあ大きいしそこは予想通りか。
だがこちらもただやられているばかりじゃない。
神力がそろそろ最高に!
「ところで、先程から貴殿にやや違和感が……そう最初見かけた時よりも、何か存在が濃くないか?」
「そうかもねっ」
もう発動した!
私の神力は一瞬にして内側に抑え込まれる。
これで1つの塊になった。
「……? 何が起こった――」
相手からすればこちらが急に神力の強さが衰えたように見えただろう。
しかしもうここまでくれば安心。
展開……"大地の神域"!
――私を中心に景色が変わっていく。
まるでそこが陰湿な空気だった室内なのを忘れるかのごとく。
「なっ」
世界は荒々しい大地に包まれていく。 それはまさしく荒野のように。
むき出しの岩壁はまさしく生命の息吹。
「"大地の神域"……しっかりと塗り替えさせてもらったよ」
「なぜ……貴殿ほどではとてもじゃないが、ここまで定着していたわたくしの神域をまるごと剥がすことなど出来ないはず……!」
神力塊を1つ消費して作り出したこの神域……
無駄にはしない。
今この場には相手の有利になるものはひとつもない。
逆にこっちは。
深く足を地面に食い込ませ……
駆ける!
「こっちだ!」
「むうっ!?」
土魔法"クラッシュガード"で使い捨ての守りを私の全身に光で纏う。
さらに地魔法!
[Eランス 自身前方に巨大な土の槍を構え敵に放つ。接続と切り離しができる]
駆ける私の前方にどこからともなく集まった大地の光が集って行き……
一瞬にして私ごと覆う岩石の槍と化す。
光が槍と私ごと纏い空中に浮きながら加速し放たれる!
「させぬっ」
ライブラが氷の壁を作り出す。
大量の大きなトゲがついているものだ。
だけれども。
「それっ」
「なっ?」
尖った先同士がぶつかると氷の壁だけすぐに壊れる。
相手から見れば鎧袖一触に見えたはず。
しかし実際は光の衝突自体起こっていないのはおかしい。
これは私が纏っていた"クラッシュガード"が『1回攻撃を無効化する』からだ。
"クラッシュガード"がなくなった代わりに氷の盾を無効化し消したわけだ。




