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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
死世界の住人は生きているか
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百五十二生目 紙神

 霊的瘴気が濃くなったのでイヤリングを聖魔法"レストンス"を宿らせ進んでいく。

 結構ちゃんと明るくなってくれたな……

 私の夜目が効くってだけかもしれないが。

 ここからは迷宮としての難易度自体が段上がりしてくるから気をつけよう。


 不気味な部屋を抜けそのまま異次元みたいな廊下に出る。

 正直どこからでも幽霊魔物が出てきそう。

 野生時代冴えていた気の張り方を取り戻せてきている気がする。


「……うんっ?」


 足元に違和感。

 ここらへんのどこかに何かが……

 なんとなく慎重になって1歩踏み。


 踏み抜いた。


「うわッ!?」


 おっとトラップ!?

 急に床が崩れる。

 後ろにとんだのにその場すら床が無くて……


 翼の針を出して宙に浮く。

 危な……

 底が見えない穴。


「ケケケ……」


 どこかに落とされていたかもしれない。

 不気味に笑う声がどこから響いた。

 なんつー危険罠を仕込んでくるんだ……


 飛べたからいいものを。

 結局次の部屋まで飛ぶハメになった。

 扉を開けて……さあ次は。


「わっ!?」


 ブービートラップ!?

 中に入ろうとしたらいきなり上からギロチンの刃が落ちてきた。

 違和感に気づいてとっさに身を捻ったものの恐いよ!


 罠のオンパレードだ……

 気を引き締めないと接敵すらせずにやられそう。










 落とし穴にギロチンから始まり……

 毒ガストラップ……これは嫌な気分になるだけで効かなかった。

 トゲの床……飛んで避けたらトゲの天井もあった。


 光線を放つ像……簡単なゴーレムなので破壊した。

 鍵付きの扉……罠が2重にあったりして1番厄介かもしれない。

 とにかく罠だらけ。


 しかし何より驚いたのはこの状況でも暮らしている幽霊じゃない魔物がいたこと。

 霊的瘴気に適性がある身体なのだろう。

 罠なんかも慣れた様子で避けていた。


 私も罠前提の動きにならないと。

 扉を開けると……

 目の前に吊るされた丸太が迫る!


 身を反らしてスレスレ避ける。

 恐ろしい……!

 けれど1度避ければあとはただぶら下がっている丸太だ。


「……ケケッ」

「そろそろ……!」


 さっきから気配はする。

 しかしここじゃない。

 ここで光魔法"エクスポーズ"をしても無意味だ。


 相手の存在が潜む場所まで行かないと。

 そしてそういうところから……

 遭難対象を探すのだ。


 それにしてもこれだけ罠があると遭難するのもうなずけるよ……


 扉をくぐり廊下を渡っていく。

 たまにある窓の向こう側は激しく汚れ曇っていて見えない。

 しかし時折ちらつかせる景色はなんだか闇を煮詰めたようなものだ。


 この幽館の迷宮を最初に来た存在は何を思っていたのだろうか。

 案外初めから幽霊なのかもしれないけれど。

 さて。


 次の扉を開ける。

 いかにもという重々しい雰囲気の木製扉。

 そこを通れば……


 まさに言うなれば書庫。

 本が詰まれどこまでもある本のために高い位置に上がる足場すらあり。

 その本たちが今にも降って落ちてきそうだ。


 あの本たちの中身は大半単なる本らしき塊らしい。

 中身があるわけではなくあっても1つのページが太くあるのみ。

 ただ……たまに来訪者からかっぱらったのか本物がある。


 その本物は当然遺失物なため価値は様々だが……

 重要なのはここにある本ははるか昔の遺失物すらある。

 つまり現代では存在しない類の本すらたまにあるのだとか。


 そしてそんな書庫だが……

 私でないと気づけない気配がある。

 神力の気配。


 ここには弱々しいが……

 少なくとも小さき神がいる。

 しかもバリバリの敵意。


 ならばこちらも遠慮はいらない。

 光魔法"エクスポーズ"!

 花火が打ち上がり辺りを照らす。


「ハハハハハ! お見事っ」


 どこからともなく影が浮かび上がり……

 あちこちから集まって1つになる。

 そうして出来上がったのはひとつの巨大な幽霊。


 "観察"!


[ライブラ Lv.48 比較:少し強い 危険行動:本爆撃 異常化攻撃:恐怖]

[ライブラ 知識に飢えた想いが募って小神となった。実体を持たないが霊体状態で完全な活動が出来る。幽霊たちに慕われているようだ]

[恐怖 かかると行動に制限かつ心的不利状態になる]


「こちらも、こういうものでねっ」


 胸の石に首飾りを当てる。

 力強く光り輝き……

 神力が開放された!


「おおっ!? なんと神か。これこそ相手しがいがあるというもの。先程の相手では物足りなかったところよ」

「先程の相手……? もしや、ニンゲン?」

「ほほう、物知りは好きだな。そうニンゲンたちさ。すぐしっぽをまいて逃げられたが、どこへ行ったか……どうやら知りたいらしいなあ」


 こちらの考えは見透かされているらしい。

 その姿はまるで全身ボロボロの紙を貼り付けたかのような人型。

 しかし下半身が無くたまにのぞかせる地の部分はニンゲンのそれというより化け物のそれで。


 この世ならざる者が薄気味悪い色を放つ。

 勝つためには思考を止めないようにしないと。


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