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その能力は無敵! ~けもっ娘異世界転生サバイバル~  作者: チル
死世界の住人は生きているか
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百五十生目 厨房

 ヌメサラマンたちを倒した。

 さて私の治療も終え……

 進むにはこの水中を通らねば。


 せめて水上を行ければギリギリ飛んでいけるんだけれどね……

 途中屋根が崩落しているような作りの先に進まないといけない。

 道はあるのだけチェック済み。


「よし……魔法の準備完了」


 せーので飛び込み。

 うああ水中だ……。

 息は出来るようにしてあるがさっさと抜けてしまおう。


 水の中ではあいもかわらずと言った様子で魚魔物たちが泳いでいる。

 普通の魚と違って魚魔物たちは陸の生き物が来てもなかなか逃げないんだよね。

 恐ろしい……


 とにかく水の中では何もかも怖く感じる。

 この先の水場をくぐって…、

 さらに向こう側へ。


 (くう)魔法"ミニワープ"が使えるタイプの塞ぎだったらなあ。

 残念ながら弾かれる方だったんだよね。

 それも納得……できるわけではないがそのレベルで長く潜っている。


 そろそろ明かりが見える。

 陸は近い。

 よし上がろう。


「っぷはあ!」


 別に息を止めていたわけではないがついつい地上に上がると大きく息をしてしまう。

 やはり息が詰まる思いがするものね。

 陸へ完全に上がってから全身を振るわせる。


 毛からたくさんの水が吹き飛ばされていく。

 この時は少し爽快。

 さあ進もう。









 私は勢いよく廊下の角を曲がる。

 しかし背後や横の廊下壁からファンターなどの幽霊魔物が飛び出してくる。

 ええい。


「ケケケッ」

「おいでおいで!」

「撫でさせてー」

「しつこいッ」


 ひたすら針を連続で撃ち込む!

 全部炎が付与されていて……

 "針操作"で的確に相手に炎をお届けしていく。


 何十体もはや倒したのだろうか。

 それでも彼等は何度も何度も来る。

 単純に生者とこの迷宮相性悪い。


 結構単調な動きが多くあの意味のわからなかったゆらゆら挙動もタイミング合わせで針を当てられるようになってきた。

 1体相手に身体正面ひととおり針を刺してそこから引火。

 慌てて去らせていくのを10体同時に。


 しかしそのスキにまた下から3体湧いてくる。

 不規則な動きで私に殴りつけてきたり爪で裂いたり。

 どれも深くはないんだけれどとにかく攻撃が重なる。


「もうー!」

「「キャキャキャ!」」


 黄色い血が出て私から苦悶の声が上がるたびに霊たちはあざ笑う。

 腹立つ……!

 とにかく廊下を駆けて距離を取る。


 正直接近して殴ったほうが早いがすぐに囲まれ集中砲火を喰らう可能性があってやりたくない。

 生き残るから良いとかいう問題ではなく殴られれば……斬られれば……痛い……!

 幽霊たちには無縁な感覚らしくこちらの攻撃に対して遠慮なく突っ込んてくるけれど。


 炎は倒れやすいから恐れるというだけだ。

 なんとか次の部屋の扉前まで来て……

 とげなしイバラで素早く開ける。


「ウッ」

「ギャッ?」

「アギャギャ!」

「「ギェーー!」」


 あまりにまばゆい光が扉向こうから溢れてくる。

 急いで中に入り……

 後ろで悲鳴が聞こえた気がした。


「ハァ、ハァ……」


 扉を閉じた。

 追ってくる気配はない。

 あれ……?


 むしろ幽霊たちは離れていったのかな。

 この感じ……そして眩しい明かり。

 ここはたしか……


「キッチンか……」


 ここは通称キッチン。

 キッチンと言うがいわゆる台所という感じではない。

 レストランの厨房みたいな雰囲気だ。


 ここの部屋だけ異様に明るい。

 これは諸説あるが世界の光闇バランスをとるためにたびたびこういうキッチンポイントがあるらしい。

 この光のエネルギーあふれる空間に幽霊魔物たちは入らない。


 そのかわりここには何体もの通常魔物たちが出入りしているとか。

 今も確かに何名か休憩している。

 互いに種族は違うが気にしていない。


 どうやら戦わないのは暗黙の了解みたいだ。

 ……さて。

 受けている依頼の1つ救助だが。


 もし彼等が生き残っているのならばこういうキッチンにいる可能性が大きい。

 偶然飛び込めたがちゃんと探していかないと……

 まあ救難要請があったのはもっと奥だが。


 適当に"観察"して……あそこの木彫りで出来ているような体表のトカゲさんに話を聞こう。

 治療しながら。


「イテテ……こんにちは、横良いですか?」

「んあ? お前話せるのか……けむくじゃら。いいよ、ここならな」


 向こうも快諾してくれた。

 やはりそういう場所らしい。

 ここはみんなの休憩室か。


「さっきこっぴどく幽霊たちに追われてね……」

「なるほどぉ、ここらにはいなさそうな顔をしているもんな。幽霊たちに見つかった際の逃走ルートや撃退は、ちゃんと覚えておかないと生きていけねえぞ。まだアイツラの仲間入りはしたくないだろ」


 なるほど……この迷宮の常識なのね。

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