百四十生目 復活
アノニマルース内に私の死が広まってしまった。
しかも情報としては片手落ちで復活は知られていないので最悪である。
さっさと死んだこと自体を誤報として打ち出すしかない。
そしてそのためには私が生きている姿で表に出ないと……
『では、手はず通りに。主の復活、誠におめでとうございます』
アヅキとの念話が切れた。
とりあえずの手でアヅキ主導で誤報を打ったが……
どこまで効果あるやら。
結構新聞ではないが情報媒体を介しての情報の広まりがアノニマルースでも活発で……
しかもわざと政府系からはラインを切ってある。
噂好きとごまかしたがつまりは号外が出回っている可能性があると。
一応政府系を通して出せる広報的なものはあるのでそこでどうにか訂正はするが訂正って弱いんだよなあ……
私が生き返って当たり前の顔して表あるかないといつまでも私のやらかしで私が死んで終わったみたいな感じになっちゃう。
とりあえずなんとか生き返らないと始まらない。
何かやることないか……
何か……そう忘れていることがあるような。
部屋内をちまちま歩いて関係各所に連絡を入れる。
念話ってほんとこういうとし便利だね……
普段なら普通に話せば良いんだけれど。
うーん復活……
復活方法……
部屋のインテリアをいじくって落ち着くしか無い。
この石きれいだなあ。
どこで手に入れたんだっけ……あっ。
「繋がりの結晶……!」
「これが、ローズ様を復活させるために必要なものですか?」
ドラーグと合流できた。
部屋に招き入れホルヴィロスは逆に余計な客を入れまいと表を張っていてくれている。
ドラーグは1%の姿できたので小さいのが浮いている感じだ。
ドラーグが繋がりの結晶こと生命の石を手に取る。
ドラーグに反応をしたのか淡く輝き出した。
なんとなく適正ありという感じだ。
「うん。それをドラーグが使えれば復活できると思う。その……ドラーグが私の復活を強く望んでくれれば」
「うわぁ、あったかいような癒やされるような……あっ、僕が使うんですか!?」
ドラーグの生命力やら行動力やらが癒やされていく。
優しいぬくもりが広がっていた。
私の見込み通りなんとなくドラーグなら使えそう。
ドラーグが私に向かい合うように移動する。
生命の石の位置は基本的に変えにくいからね……
少し動いてもらえる程度。
生命の石ごしにドラーグの顔が映る。
自己無敵の"望みかえり"をしよう。
「これ私が頼むのも変な話だけれど……よろしく」
「ううん、元はと言えば僕が原因みたいなものですから。絶対にローズ様には無事生き返って欲しい……それだけです」
ドラーグが集中しだす。
すると生命の石が輝きだし……
おそらくは私にしか感知できていないいないものが分かりだす。
それは見えるようにかおるように。
ドラーグから……そしてどこか周囲から。
一斉に光の筋が淡く集まる。
生命の石に集ってゆき……
どんどんと生命の石の輝きが集まっていく。
まさか……私が死んだという噂のおかげてあちこちから復活の祈りが?
「わあ、なんだか輝いてきましたよ!」
「うん、さらに続けて!」
ドラーグにも生命の石が輝いているのは見えるのだろう。
更に継続してもらう。
やがて生命の石は辺りを照らすほどに明るくなってゆき……
割れるような音と共に突如強く光が放たれた!
「「うわっ!?」」
強い光は私を包み込み……
なんだか暖かい不思議な感覚。
そして聞こえてくるのは石の壊れる音と。
たくさんの願い。
私の復活を祈るかのような。
私の死を思うかのような。
それらが全て私の中に吸い込まれていく。
声が……心が形作り。
今私は復活する!
「……よし!」
光が収まる。
そこには瞬膜ごしに見ようとしているドラーグと……
私がいた。
前みたいに霊体ではない。
正真正銘私だ。
肉体を持つという充足感が体中に巡る。
こんなにも身に力が入るだなんて!
ひとつひとつの動きに実感がこもる。
はぁ……生きていて良かった!
「本当にありがとうみんな……ドラーグ!」
「ローズ様ー! その姿、生き返られたんですね! やりましたね!」
「わっ! あ、ありがとうっ」
ドラーグが私に飛び込んできた。
頭同士でぶつけるかと思った……
まあ今のドラーグは20センチもない。
普段のサイズで来られるよりは断然ありだ。
そもそもこういうふれあいがちゃんと出来ている感触がある……
やはりいきているって良いねえ。
ただ気持ちは切り替えなくちゃね。
ここからの動きについてだ。




