百三十三生目 閃光
赤纏のスドラウグに猛攻をかけている。
ゴウは空だけではなくもちろん地上向けへ3本同時射撃を繰り返し猛撃しているが。
矢は的確に刺さっていくがなかなか決定打にはならない。
針も投げているけれど先程までの色々と嫌っていた動きとは違いかなり大胆に攻めてきているせいで針をある程度追い払いつつも少し刺さってでもドラーグを切り裂いていく。
こちらのほうも油断したら直接の殴りが飛んできてきつい!
とにかく針をぶん投げつつ相手の背中を意識して動く。
"針操作"でなるべく自然に腕や足に吸い込まれるよう意識して投げる。
ただ一回動くと大きく位置ズレしちゃうんだよね。
なるべくドラーグと正面対決のおかげで動きが制限されていてもこうなのでもう直接殴りにいきたい。
魔法も大きいのドンドン放ちたい。
兵たちの手前やるわけにはいかないけれどね……!
とにかく数を重ね……
スドラウグに無数の傷をつけ。
スドラウグが放つ爆発する光球やら赤い宝石からのビームを防ぎ。
さらにしかける!
スドラウグの耐久値がじわりじわりと減ってのこり3分の1。
「グオオオォッ!! こんなことあってたまるか……! こうなったら……!」
「またする気かあ!?」
イタ吉の言う通りスドラウグは咆哮しステップ移動をして露骨に下がる。
あちらには国境とその大河しかない。
ならば取るのはひとつ。
スドラウグの口元に吸い込みと共に光が集まっていく。
リターンブレスだ!
ドラーグが低空を駆けるように素早く飛ぶ!
「パパ、息をあわせて」
「うん! スドラウグ、それはさせないよー!」
ドラーグがコロロの指示で今にも放たれそうなスドラウグの懐に飛び込み……
その勢いでスドラウグを掴む。
よし! ドラーグの得意距離だ!
「そーっれ!」
「ぬあああっ!?」
そしてスドラウグの巨体が浮く。
ドラーグが相手の腕を引き寄せてそのまま……まるで吹き飛ばすかのようにぶん投げる!
光を纏った投げ……キレイに入った。
突如天地逆になってスドラウグは思わず息を吐いてしまい不発。
そのままぐるりと吹き飛び……
ドラーグの背側に思いっきり飛ばされた!
「ガッ……!」
「行けそう……!」
「パパ、向きは気をつけて」
「うん!」
ドラーグは倒れ伏したスドラウグの真上に飛ぶ。
大口を開き大きく息を吸い込んで。
もしやあの空中から出来るのか? あの大技!
「ドラゴンー」
「「ロア!!」」
大量の真っ白な輝きがドラーグの口から放たれる。
その光は制御が効かないかのように拡散し……
首の向いた方向……つまり下側を覆い尽くす。
「バカな、その力は、まさか、ガアアアッ!!」
スドラウグが光に飲まれ……
やがて収束する。
光が収まるとそこは地面がえぐれクレーターのようになっておりその中心で1つの身体が横たわっていた。
ドラーグは発射位置からかなり後ろに押されていたけどコロロが調整したのか向きだけはズレなかった。
スドラウグは……ギリギリ活動はしているな。
ただもう目を回して瀕死だけれど。
私から"峰打ち"を借りて使っていたんだね。
「勝ちましたー!!」
「いえい、パパ」
「「ウオォォォ!!」」
赤纏のスドラウグは捕縛された。
このまま遠くへ運ばれて適切な迷宮に放り込まれることになる。
……おかしいな。
適切な迷宮って聞くだけでなぜか荒野の迷宮……さらにいえばアノニマルースに運び込まれるというのが容易に想像つくんだけれど。
しかも別にこれは1例目じゃなくて私の把握しきれていない範囲でもそこそこあるし……
まあ……最悪ユウレンに任そう……死霊術師として。
私達は治療をするために国境の邪魔にならないところで傷を癒やしている。
先程ゾンビ化した兵たちは無事もとにもどったと聞いた。
見た目大変な事になっていたけれど治ってよかった。
うっかり私もゾンビ化しないように気をつけないと……
みんな傷跡にあれこれと貼って深いのは私が聖魔法"トリートメント"をして治療。
「いだだだ!」
「はいドラーグ動かないでねー」
「パパ……」
「だ、大丈夫、パパ大丈夫あだだだ」
この魔法結構な治療痛が起こるんだよね……
でも今回のMVPドラーグはその分傷も多い。
こうして治さないとね。
ただこうしてみんな無事で傷だらけでも談笑が出来ている空間……
それこそがもっとも良いことだ。
血を拭い傷を塞ぎ。
また笑って立ち上がろう。
この依頼で助かった相手も多そうだ。
……何やらイタ吉たちがあれこれと話しているが何なのだろう?




