百三十二生目 矢雨
ゾンリューを全滅させた!
赤纏のスドラウグはまだゼロエネミーとしのぎあっている。
とりあえず私は……
「ドラーグありがとう! まずは回復させて!」
「いつつ……でも、まだスドラウグ自体が……」
「間違いなくその状態で行っても勝てないから、ゴウと私がなんとかする」
「ええ、飛んでいれば撃ち落とします」
ゴウがうなずき私は光魔法"ヒーリング"。
ドラーグの生命力を素早く回復させるために重ねよう。
とにかくスドラウグを落とさないと。
「ごめん、頼みます!」
「おつかれ、パパ」
「まあ、もしまた呼び出したらまたあなたに頼るかもしれませんから、ね!」
雲よりは下ぐらいの位置でゼロエネミーと戦っている。
結構耐久値治されたが……大丈夫ゼロエネミーが端から削っている。
もちろんゼロエネミーの削りには限度があるから耐久値半分以上には戻されてしまったが。
そもそも1対1でガリガリ削れているのもすごい……
("私"が念じて動かしているんだ、相手の急所、嫌なところ、全部突ける!)
ゴウが放つ矢はまっすぐと飛んでいく。
そのまま空へと吸い込まれ雲の向こうへ。
空振りではなく……
殴って大剣ゼロエネミーを何度も弾いているスドラウグの天空から。
大量の光矢が降り注いできた!
初弾は避けられても次もその次も広めの範囲で降り注ぎ……
巨体にその攻めが良く刺さる。
スドラウグは数秒振った矢の雨をなんとか受けきった。
スドラウグが必死の思いで飛行を続けているがそもそもその間ゴウは何をしているかと言えば。
「1回で終わるわけが無いで、しょ」
「グオオッまたかっ!?」
圧倒的手数によりスドラウグを追い詰める。
それがゴウの対空スタイルだ。
また空から矢の光が大量に降り注いだ。
「ウガグッ」
さすがに嫌がって地上の方に向かってくる。
赤い宝石の関係で背中が弱点になりうるので。
常に背中側になる空では不利だからね。
勢いよく地面へと飛んでくる!
「撤退撤退!」
「あぶなっ!」
私が指示をだし全員離れていく。
それでも着地の踏みつけは凄まじく……
私たちも軽く吹き飛ばされる。
「「わあっ!?」」
大丈夫ただの衝撃波。
身体があらぬ方向に空中回転するのをうまく手で地面を受け止め……
そのまま転がるようにバク転。
足で接地し受け切る。
周りを見てみるとちゃんと無事なようだ。
ドラーグに至っては吹き飛んでないし。
私も2足時の動きに慣れてきたなあ。
「先程からチマチマチマチマと、もう見逃しはせん、直接潰してくれる!」
「させないよ!」
「行こう、パパ」
スドラウグがその巨体を持ってしてこちらへ拳を振りかぶり……
ドラーグが前に出て受け止める。
光がぶつかりあい火花弾け合う。
互いに爪の格闘技をしつつ攻撃をさばいていく。
ドラーグの得意距離に持ち込めればいいけれど……
私達はドラーグの攻めに合わせ駆けて回り込んでいく。
「ええい邪魔だ! 貴様らは我の力に恐れ慄いていれば良いのだ!」
「それは勝ってから、言ってください!」
「それっ」
ドラーグの攻撃に合わせコロロが槍を突き刺していく。
爪と爪がぶつかるそのスキマを縫って攻めるその姿はまさに怖いもの知らず。 ドラーグを信頼しきっているゆえにか。
槍は的確に刺さっていく。
当たりさえすれば毒が表面のウロコを溶かし中に侵入出来るからだ。
まさしくチマチマとした攻めだが十二分効果はある。
イタ吉たちが真っ先に回り込み脚に対して切り裂いていく。
蹴り飛ばそうとするとそのスキをドラーグが狙うのでスドラウグも警戒して下手に動けない。
ただ軸足を切られれば上半身の動きがおろそかになるから痛し痒しだ。
「そらそら!」「どうだ?」「俺も爪で斬っちゃお」
「グゥ、ガアァー!」
さらに大剣ゼロエネミーが背中から狙ってくる。
スドラウグはとにかく動く立ち回りで背を取らせないように気をつけてはいるが……
大剣ゼロエネミーも移動速度は早い。
スドラウグの背や翼に何度も傷跡が刻まれていた。
スドラウグは大きく周囲に回転しつつ身体で相手を薙ぎ払い。
少し浮いてそのままスライドするようにすべりながらすぐ接地。
明らかに警戒している動きだ。
「ん、あれはなかなか落とさせてくれない動きをしていますね」
「どんどん攻めるしかない!」
ゴウの弓が空を狙うたびにうまく降りられ避けられてしまう。
飛ばないは飛ばないで厄介だなあ。




